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新生活の前の日の気持ち

 「母の友」という雑誌を読んだ。2ページの漫画のページがある。小幡彩貴さんの「Kinderszenen」という作品。
 明日から保育園はじまるね、のセリフしかないが、お母さんと思われる人の隣に座る子供の複雑な表情が気になる。母はそれに気づくが、静かに目の前の風景を眺める。新生活、というタイトルだった。保育園に入る前なのか、短い春休みが終わって明日から保育園がまた始まるのか、どちらかは分からない。
 明日から、今までとは違う新しい環境の中に入る。嬉しい気持ち、不安な気持ちが入り混じって複雑な気持ちになる。ずっとこれまでのようにいたいけれど、明日からは違う自分になる。少し前の自分より成長したのだ、と思いながら進学、進級した学生時代。
 学生時代が終わり、働くようになる。転勤や転職で環境が変わることもあるだろうけど、ずっと同じ場所で勤め、周りも変わらない。苦手な人はいるけれど、気の合う人もいる。人付き合いが得意ではない私にとって、慣れた環境からは飛び出したくはない。けれど、ずっと働く場所を変えようかと悩んでいる。
 もう辞めると決まったと思い、外出先ですれ違う人を見て、新しい仕事先で関わる人だと考えたりする。学生時代とは違い、定期的に環境が変わるわけではなくなった。どうしようもない事でも起こらない限り、自分の環境を変えたくないのなら、変わらないままでいられる。我慢できる程度なら、我慢もする。
 今の私は、環境を変えたいけれど、明日から始まる新生活を思って静かになる女の子の気持ちに「なりたくない」気持ちもある。


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