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【ルイス・フロイス日本史③】戦国時代の日本人の暮らしや文化や風習とは?【宣教師が見た日本を古陶磁鑑定美術館が紹介】

古備前鑑定の古陶磁鑑定美術館です。

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私たちは、何百年以上も前に使われた陶磁器の分析・調査・研究・蒐集・展示しています。

突然ですが皆さんは、戦国時代の生活をイメージしたことはありますか?

織田信長や、明智光秀や、豊臣秀吉が活躍していた頃の日本の暮らしは、一体どんな様子だったのでしょうか。

そんな安土桃山時代の文化や生活が伺える貴重な記録が、宣教師ルイス・フロイスが残した『日本史』の中に残されています。

ルイス・フロイスは、フランシスコ・ザビエルらの後継として、イエズス会から日本に派遣された宣教師です。

戦国時代の暮らしと風習 ルイスフロイス日本史から振り返る安土桃山時代の日本文化 古陶磁鑑定美術館

織田信長に気に入られ、豊臣秀吉にも謁見するなど、戦国時代の日本の権力者たちと交友があった人物です。

そのルイス・フロイスが布教活動の傍ら残した記録からは、当時の日本の風土や、文化や、生活を鮮明に伺うことができます。

このコラムにて、その一端を紹介して参りますので、安土桃山時代の日本の暮らしを、肌で感じてイメージしてみましょう。

【 前回のコラム記事を読んでいない方は、こちらから 】

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今回紹介する記録(逸話)は、「堺商人のおもてなし②」です。

戦国時代の堺(大阪)は、諸外国から物資が集まる貿易港として、大きく発展しました。

当時の茶の湯で活躍した千利休や今井宗久や津田宗及らは、堺商人としても著名です。

安土桃山時代の茶の湯 日比屋了珪(ディエゴ) ルイスフロイス日本史を読む 古陶磁鑑定美術館

ルイス・フロイスの記録の中に、そんな堺商人日比屋了珪との交友にまつわる記載が残っています。

前回に引き続き、今回もその表記の中から、当時の生活のワンシーンを探ってみたいと思います。

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『さて私(フロイス)はディオゴ(了珪)の居間の側面から導かれました。そこにはちょうど一人だけが具合よく入れるくらいの大きさの小さい戸口があります。そこから私たちは真直ぐな狭い廊下を通り、杉材の階段を昇りましたが、その階段は、まるでそこに人が足を踏み入れるのは初めてのことかと思われるほどの印象を与え、あまりにも完璧な造作で、私はそれを筆で言い尽くし得ません。

・・・私たちがきわめて清潔な敷物である優美な畳の上に坐りますと、食事が運ばれ始めました。日本は美味の物産が乏しい国ですから、私は差し出された食物を称賛しませんが、その席での給仕、秩序、清潔、什器は絶賛に値します。そして私は、日本で行われる以上に清潔で秩序整然とした宴席を開くことはあり得ないと信じて疑いません。』

(中公文庫 完訳フロイス日本史1から引用、()内注釈は当館追記)

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この記録からは、戦国時代の日本人が、親しい知人や友人を、どうおもてなしたかが鮮明に分かります。

フロイス日本史より安土桃山時代(戦国時代)の日本人の暮らし 戦国時代の文化、風習、習慣 古陶磁鑑定美術館

客人を招く際には、家を新築に見えるほどピカピカに掃除して、そしてとっておきの器で食事を提供していたのですね。

しかも、日本人の清潔さは、当時世界中を航海して様々な国の暮らしを見てきた宣教師が「世界で一番」と書き残すほどの絶賛ぶりでした。

堺商人 安土桃山時代 戦国時代 ルイス・フロイス 日本史 古陶磁鑑定美術館

やはり、日本人は、昔から「きれい好き」なDNAがあるのかもしれません。現代でも、その価値観は共感できる部分が多いのではないでしょうか。

また日本人は、戦国時代という荒廃した時代にも関わらず、秩序整然とした生き方をしていたことも分かります。

これはとても誇らしいことです。

このように私たち日本人は、安土桃山時代から、人と人との交流を大事にしていたのですね。

その心遣いから生まれたのが、一期一会などの美意識なのでしょう。

時代は変わって現代は、コロナウィルスの蔓延によって、より非接触型社会が進展し、人との関係性がより希薄になってきてしまっています。

宣教師ルイス・フロイスが見た日本 日本史に残る戦国時代の暮らし・文化・風習 古陶磁鑑定美術館

このような中で、私たち日本人が素晴らしい将来を作っていくために、過去の美しい生き方を学んでみましょう。

きっと、明日を生きるヒントをくれることでしょう。

古陶磁鑑定美術館のホームページでは、戦国時代や江戸時代の古陶磁器や古美術品をオンラインで公開しています。

古陶磁鑑定美術館 古備前焼きの年代鑑定

当時の日本人の暮らしや文化を、品物を通じて感じることができますので、ぜひご覧ください。


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