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皆様の執筆された心に留めたいnote記事を集めさせて頂いております。 素晴らしい作品に感謝です。
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#シロクマ文芸部

ショートストーリー | 共生 | シロクマ文芸部

ショートストーリー | 共生 | シロクマ文芸部

春と風。
サイコロと下駄。
フランス人と生クリーム。

なんの話?

サイコロを二つ、手の中で動かしながら歩くおじさんは、怖い顔をして下駄を鳴らす。
一方、なんにでもスプレータイプの生クリームをかけてしまうフランス人留学生は、いつだってハッピーだ。

春と風。
コロコロとブシュー。
カランコロンとハッピー。

なんの話?

今日ね、道端でね。
髪を乱して、目は虚ろ、くわえタバコで道のど真ん中にタバ

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おめえが主人公だ馬鹿

おめえが主人公だ馬鹿

 文芸部だよ馬鹿。悪者のアジトみてえだって? そりゃ地下だから薄暗えかもしれねえが、文芸好きに悪いやつはいねえ。おめえ仕事帰りか? しけた面してっからすぐ分かったよ。入り口、よく見つけたな。マンホールだぜ? ずいぶん下向いて歩いてたんだな。まあ、いい。どこでも座れ。席は決まっちゃいない。自由に座れ。なんか飲むか? 酒はねえよ。シラフで読み書きするのがここの流儀よ。
 まあ麦茶でも飲め。馬鹿、なに泣

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読んでよかった本3選

読んでよかった本3選

平和とはなにか?

そう問われたとき、簡単に答えられないじぶんに気づきました。戦争状態にないことを平和と呼ぶなら、私は平和な日常しか知らないからです。

未来のために、平和とはなにかを知るために、戦争を知りたいと思いました。体験しがたいことを知るには、読書が一番だと私は考えます。

そこで、この記事では平和と戦争について考えたいときに、私が心の底から読んでよかったなと感じた本を3冊ご紹介します。

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書けない時間も楽しむ

書けない時間も楽しむ

書く時間が好きです。思うままに文字を書きつらね、言葉ができて、何もないところから文章ができあがる楽しみ。

はじめに考えていたものとは、まったくちがう文章になっても大丈夫です。誰も怒りはしません。書いているとき、私は自由なのです。

小学校や中学校で作文を書かされるのは嫌いでした。私は子どもながらに大人たちが求めていることを察して、書きたいことではなく、書いたほうがよさそうなことを、書いていたから

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明けない夜だってあるから

明けない夜だってあるから

 食べる夜のためでした。彼女はキッチンバサミを持っていないほうの手で、エレベーターの十四階のボタンを押します。彼女が住む医師住宅の最上階でした。扉が開くと、七月下旬のなまぬるい夜風が肌にまとわりつきます。彼女は屋上へ続く非常階段の錠を開けました。屋上には低い柵しかなく、彼女は夜空に包まれます。細く鋭い月がハサミを青く照らしました。彼女は思います。明けない夜だってある。
 明けない夜はないとか、止ま

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