野中おけら

人生ずっと迷子

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  • 不便な旅

    ほぼ使っていない便利家電や、床に散らばったフードデリバリーのゴミ。 効率や便利さを追い求める日々の中で見失った「めんどくささの先にある面白さ」を見つけにいきたい。 物に溢れた部屋を引き払って、ザックひとつの「不便な旅」に出かけました。

最近の記事

インフルエンサーの裏垢

フォロバを期待して大して投稿を見ていないアカウントをフォローしまくり、わかりやすい感情ばかりを羅列した綺麗な投稿を量産している。 インフルエンサーになろうと目論んでいるものの、インフルエンスできるほどの影響力を得られず、結果も出ていないのに本心ではないことばかりを繰り返している日々に嫌気がさしてきている。 空いた時間は動画編集にとられて、本を読むことも少なくなった。 動画や写真などの視覚メディアは、目に見えるものしか映さない。 瞬間瞬間に目に見えたものだけで万人に伝わること

    • 向いてないけど楽しいことが人生を彩ってくれるから

      心が揺れている時には、うるさくて単純で真っ直ぐなロックが聴きたくなる。 なにか、向かうべき方向を示してくれるわけではないのだけど、大人げなくもがくことを肯定してくれる。 中学の時から、聴いている音楽は変わってきたようで核の部分は何も変わっていなくて、そのことが僕を少しだけ安心させてくれる。 朝、職場の先輩が笑いながら 「今の仕事向いてないと思うんよね〜」 と言ってきた。 笑いながら切実な本音をこぼす人の行き先のなくなった感情と苦悩が見え隠れする。 本当に悩んでいる時ほど、冗

      • 表現

        いまだに自分の心を正確に伝えられたと思えたことがない。 ひとが作った言葉を使っている限り、表したそれは「似た」もの以上にはならない。 それぞれの言葉のなんとなくの定義みたいなものが溢れかえっていて、皆それぞれ自分の中の「意味」で勝手に解釈するから、「似た」ものは受け手によって、もっと自分から離れたものに変えられてしまう。 さらに会話となると、返答の制限時間みたいなものが常に付き纏って、後からもっと似た言葉の存在に気づいて後悔してばかり。 だから、そのものを見せられる写真や映

        • 創作なんて

          自分は、孤立感からの逃避の手段として「集団への同調」を放棄した。 だから今、季節労働者としてプラプラしている。 そうして、創作という手段で孤立感からの逃避を試みている。 しかし、自己表現を追及し対象との同一化を試みることと、その創作物が多くの人に受け入れられ、生活できるだけの金を産むかは別問題だ。 そして自分は、金のために自己表現を妥協することはもうしたくないと思っている。 つまりは、生きていくための金を稼ぐ手段が別に必要だということだ。 その「金を稼ぐ手段」として、なんとな

        インフルエンサーの裏垢

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        • 不便な旅
          2本

        記事

          愛とセックス2

          相手のことを、少なくとも世界中の他の誰よりもは知っている自信があれば、それに基づいた完璧に近い絆があれば、相手がどこの誰と交わっていようと、それは目の前を往復するピンポン球を目で追っているのと変わらないのかもしれない。 でも、私たちは他人のことを完璧に理解することなどできない。 理解しきれないなかで、なんとなく、うまいことやって一緒に生きている。 完璧に理解できないと思っていて、けれどもそんな完璧に理解できないあなたのことが好きになって、色々あるんだろうけどどうにかずっと

          愛とセックス2

          愛とセックス

          そもそもセックスの独占で絆が生まれると思うことが間違いではないのか。 セックスなど所詮2人でする娯楽のひとつで、そういう意味ではセックスも卓球もなんら変わりがないのではないか。 昔、相手に大して関心のない、独占欲だけが膨れ上がった誰かが「セックスは大切な人としかしないもの」と大きな声で言い出して、セックスを娯楽から神聖な儀式に仕立て上げた。 相手の深いことはよくわからないが、セックスはするから、なんとなく特別な存在だと信じ続けさせられた。 相手の身体を独占することに、任せ

          愛とセックス

          うまいことやってもらってばかり

          大阪に帰ってきて、学生時代からの友人と飲んだ。 「おけらが学生時代、俺らと過ごして影響受けたことってあるの?」 唐突に聞かれて考え込んでしまった。 「俺らはおけらみたいに確固たる自分がないというか、人生の選択権が自分にあると思って生きてこなかったからさ」 自分ではいつも迷ってばかりで、流されて生きてきたつもりだったので驚いた。 思えば、僕は人に譲らせ「うまくやって」もらってばかりだったと、彼らと過ごした学生時代のことが浮かぶ。 鍋パーティーをすることになって、なんとなくキ

          うまいことやってもらってばかり

          恨んだ父に今、想う

          季節労働を終えて、父の家に帰った。 幼少期から母に「ハゲ」と呼ばれていた父は、僕にとって一番身近な「なってはいけない大人」として刷り込まれていた。 そんな父の家に帰ったのは、ガレージに車が置けるから。 これまでも行くには行っていたけれど、父のいない日中に荷物を取りに行く程度で、泊まるのなんて、家を出た高校の時以来だ。 父は僕がまだ幼稚園にも入っていない頃、勢いで一軒家を買った。家族が出て行ってからも、月10万以上の返済をしながらひとり、暮らしている。 「家なんか買うもんじ

          恨んだ父に今、想う

          ニュースバリューのない"日常"の風景を

          在職半年の短い報道カメラマン時代、先輩から何度も受けていたダメ出しがあった。 「お前の映像は引きすぎていて、なにが撮りたいのかわからない。」 仕事を辞めて趣味で写真を撮るようになった今も、そんなダメ出しが脳裏をよぎる場面がよくある。 今住み込んでいる中山間地域で、カメラを持って散歩していた時のことだ。 元々街の中でスナップを撮ろうと買った50mmの単焦点レンズは、その狭めの視野がごちゃごちゃした街中を切り取るのにちょうどいいと感じていた。 だが、一面に広がる田園風景の中

          ニュースバリューのない"日常"の風景を

          居候で候

          今日の農作業はお休み。 姉夫婦は甥っ子連れてお出かけしちゃいました。 家の前でタバコ吸って、バイクで10分ちょっとの最寄りのコンビニまで行って菓子パン買ってまたタバコ吸って、帰ってきてパン食って昼寝して、今です。 無職最高。 なんて、いつまで言ってられるんでしょうか。 日に日に居辛さが増していってます。 だって、家になんの貢献もしてないんだから。 なんの貢献もしてないのに夕飯時になったらきちんと食卓に座って待ってるんだから。 家主の姉夫婦の僕への目が変わってきた気がします。

          「不便な旅」のはじまり

          入社に合わせて借りた部屋の、引き払い準備を進めてます。 初任給で買ったドラム式洗濯機は半年足らずで手放し、24歳にして念願かなって始めたベッド就寝生活も即終了。 ジモティで、孫のために別荘を作ってるおじいちゃんに譲りました。 なんか良いことした気分なのでまぁ良し。 高校の寮を出て一人暮らしを始めた時には、冷蔵庫とレンジ、洗濯機しか持ってなかったんですが、いつのまにかずいぶんと物の多い部屋になってました。 思えば、僕は昔から持ち物が多い。 町を歩いてると、異常にデカいリュッ

          「不便な旅」のはじまり

          本当のこと

          「怒らないからほんとのこと言って」と言われてほんとのことを言って、怒られなかったことがない。 詰められている時点で相手は「本当のこと」が自分にとって不都合なことだと勘づいているわけで、嘘も含めて上手にかわすのが互いのためである。 正直者が報われる社会であってほしいが、独りよがりの「正直」はババアが運転するプリウスみたいな危うさを孕んでいる。 世の中にはっきりしたものなどほとんどなくて、大概は曖昧なグラデーションである。 「赤色」と言われても、人によってグラデーションのどこを

          本当のこと

          退職届

          色々あって、大学を出て4月に入社したばかりの会社を辞めた。 「色々あって」って、いつか言ってみたいとは思っていたけど、いざ方々で言ってみると、そんなにかっこいい言葉でもなかった。 使ってみて得られるのは相手の気まずそうな表情と、その後勤続年数を尋ねられて 「は、半年っす…」とうつむき加減に答えた時の軽蔑の眼差し程度である。 在籍半年の、会社になんの利益ももたらしていない私でも、退職する時には退職届を出さねばならない。 当然書き方など知らないので、インターネットで書き方を検索