すべては「関係からはじまる」
コミュニケーション×ファシリテーション×カウンセリングの実践的なワークを思案中。そんなときに日本キャリア開発協会から会員向けメール「会長だより」が届きました。
テーマは「関係からはじまる」。
ケネス・J・ガーゲンの名著から引用されたそうです。
この会長だよりの中で、わたしが惹かれた言葉があります。
それは、「関係とは多くの場合与えられるところから始まるのではないか」という一節です。この後に「与えられたモノでもあり、獲得する対象でもあることを強調したい」「獲得する意識が重要なのではないか」と続きます。
例えば、きょうだいという関係を考えてみます。
先に生まれた兄姉は、それまで父母と「親子」という関係だけで育ってきました。ところが弟妹が生まれたその日から、「きょうだい」という関係が突然与えられるわけです。自分から望んでその関係を築いたわけではなく、母親が出産したその日から急に「お兄ちゃん・お姉ちゃん」という立場が与えられ、「きょうだい」としての関係が始まってしまいます。
これはまさに「与えられるところから始まる」ということではないでしょうか?
しかし「きょうだい」以外にも、共に暮らす中で「信頼」「愛着」「守るべき存在」といった関係を築くこともできます。弟妹を愛し、兄姉として守りたいと思う気持ちは、他らなぬ自分から獲得した関係であり、環境の中で育んだものと言えるでしょう。ここには「獲得する意識」があると、わたしは感じます。
会長は「関係とは相互のもの」「関係を獲得する意識とは、例えば一人の部下がその上司の存在をイメージし、その部下が上司にとっての部下(つまり自分)をイメージする、ということではないか」とおっしゃいます。
先ほどのきょうだいの場合、兄姉の立場からすると「愛しい弟妹」であると同時に「弟妹から慕われる兄姉(でありたい)」という自己イメージが生まれます。また弟妹の立場からすると、「信頼できる兄姉」であると同時に、「兄姉は自分のことが好き(でいてほしい)」という自己イメージも生まれます。これが「相互のもの」という意味かと、わたしは捉えました。
これは意識的にふるまう部分もありますし、無意識に自分の中に醸成される部分もあるでしょう。それが、何かしらの要因で関係がうまく機能しなくなったとき、わたしたちは“悩む”わけです。
その際に、意識的にふるまっている部分であれば自らの行動や考え方を改めることで軌道修正ができますが、無意識の場合は少々厄介です。
というのも「自分でわかっていない」から。その結果「なんで?」「どうして?」「わたしが悪いの?」なんて考えが浮かんできてしまうわけです。
ポイントとなるのは「相手にとっての自分をイメージする」という部分。この自分のイメージ(自己イメージ)は、自分自身がつくり出したものです。
「慕われる兄姉でありたい」「好かれる弟妹でありたい」というのは、相手の気持ちを推し量って自分の中で描いた理想の自分。自己イメージそのものです。
それが崩れてしまったから、自分らしくいられないことに悩むわけです。
キャリアカウンセリングでは、意識している部分の裏側に潜む無意識の自己イメージ(≒自己概念)にアプローチし、意識化に置いたうえで自己イメージを再構築することをお手伝いします。
何気なく発する言葉や態度、表情、しぐさ、そして語られる物語(ストーリー)に、無意識の自分がありありと現れます。それをキャッチしながら、語り部である相談者自身に気づきを促します。
それはあくまで自然に。まるでもう一人の自分と語らうかのように。
そこで初めて、無意識のうちに作り上げていた自己イメージに気づき、それが悩みを引き起こしていたことに気づきます。
もちろん悩みを解決するのは、相談者自身です。相互の関係において歪みが生じていた自己イメージを再構築することで、新たな自分らしさを手に入れることができます。(いままでの自分を否定するという意味ではなく、無理をなくして不自然な自分から自然な自分へと組み立て直すという意味で)
・・・とこんなことを感じています。
この会長だよりの「関係からはじまる」というテーマが、わたしが思案しているワークの最初に伝えたいこととピッタリ一致したので驚いています。
まるで「岡部さん、いまあなたにこの言葉を送りますよ・・・」と会長の声が聞こえてくるかのよう(笑)
いいタイミングで素敵な言葉をいただきました!
さて、どうやって形にしようかな……ワクワクが止まりません。
ちゃんと形になったら、お仕事以外の場でも披露できるとうれしいですね。
がんばるぞー!
明日も佳き日でありますように
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