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挑戦と能力のバランスがとれているとき、人は「夢中」になりやすい

「夢中」ほど最強の状態はない。何事においてもそう。

「夢中」の何がすごいかって、やっていることが楽しくて仕方がない上に、上達のスピードもハンパじゃないことだ。

子どもの頃はちょっとした遊びににも全力投球だった。遊びが楽しくて楽しくて仕方がなかった遠い過去の記憶が、ふんわりと湧き上がってくる。毎日、夜遅くまでアホみたいに夢中になって遊んでいた。

しかし、大人になるにつれ毎日の『夢中』が占める時間の割合が減っていった。

もちろんいまでも夢中になれることはある。たとえば、料理にハマっている。毎日新しいレシピを作って、味の研究をしている。仕事でもそう。仲間と未知のチャレンジをして、狙い通りうまくいきはじめたときには、楽しくて時間を忘れてしまう。

とはいえ、「夢中」ってそんなに持続しない。どこかで、ふと飽きたり、つまらなくなったりする。まるでゲームでマリオがスターを獲ったときのように、一時的な無双状態になることはできても、時がすぎれば元に戻ってしまう。

もっと長い期間、無双状態でいつづけることができたらどんなに素晴らしいだろうか。つまらない状態に甘んじたくはない。

特に仕事は一日の大半の時間を費やすのだから、できるだけ惰性でやりたくはない。けれども組織の責任や義務と自分の感情の折り合いがつかないときにモヤモヤがやってくる。モヤモヤは本当にこのままでいいのだろうか、という迷いをもたらし、夢中とはほど遠いところに思考を連れていってしまう。

そのようなことを考えていたときに読んだ本が『組織にいながら自由に働く』。組織で楽しく自由に働くことが本書のテーマ。『夢中』の状態を長続きさせるためのヒントがたくさん書かれていた。

そもそも仕事のモヤモヤはどんなとき起きるのか。本の文章を引用したい。

モヤモヤには2種類あって、仕事でモヤモヤを感じるときは「不安」か「退屈」になっているのです。これがモヤモヤの正体。これに対して、挑戦と能力のバランスがとれているとき、人は「夢中」になりやすい

記事タイトルにさせていただいた一文だ。確かに、過去を振り返ると自分が仕事に没頭できていたのは、新しいチャレンジをしていて、かつ自分の能力でギリギリ対処できそうなことをしているときだった。しかし、だんだん慣れてきて、かつてチャレンジングだった仕事も簡単にできるようになる。すると、目の前の仕事に物足りなさを感じはじめるのである。

僕はこの文章を読んで救われた気がした。仕事の慣れによって物足りなさを感じることは誰でも抱えるうること。罪悪感を感じなくてもいいんだと気が楽になった。むしろ、モヤモヤ状態になってからどう行動するか、ということの方が重要なのだ。

モヤモヤ状態が慢性化してくると、仕事を楽しむことよりも、いかに「楽」をするかという思考に偏りはじめる。諦めと安住の思考だ。

「楽」と「楽しい」は似て非なるもの。「楽」とは各種コストを最小化することであり、「楽しい」はたくさんコストをかけた上でそれ以上のメリットを享受することです。趣味や子どもの遊びは「楽しさ」を得るためのものだから、単に「楽」を目指そうとはしないわけです。

「楽」という同じ字を使うのに、「楽」と「楽しい」はまったく異なる。「楽」の状態を長く続けてしまうと、そこで成長は止まる。それはそれで、精神的に快適かもしれないが、どうせなら「楽しい」状態にもっていきたい。

そのためのコツがいろいろ紹介されているけれど、さっそく実践してみているものを紹介したい。

仕事を楽しくするためには、まず目の前の仕事をするにあたって「好みでない作業を減らすこと」と「好みの作業を増やすこと」がキモです。
大事なのは、「好みでない作業」からは全力で逃げること。大事なので、もう一回言っておきます。「好みでない作業」からは全力で逃げる。

自分の「好みでない作業」と「好きな作業」を知ることが第一歩だ。たとえば、僕の場合なら、契約書の調整や請求書の発想などの事務作業がとても苦手だし、嫌いだ。一方で、仲間と議論しながらプロジェクトを進めるのは好きだ。

好みでない仕事からは逃げていい。自分が好きでない作業でも、それが得意な人が他にいるものだ。だから、思い切ってその作業を他の人にお願いしてみる。いわば、これは自分の仕事におけるマイナス面を削ることだ。

モヤモヤを抱えていると、どうしても自分の置かれている環境を変えたくなるのだけど、一度立ち止まって「作業」という細かな単位で好き・嫌いを仕分けすることが、結構大事。どんな環境にいようと、嫌いな作業というものは発生するものなのだから。

マイナス面を削る作業をした上で、今度はプラス面を増やす作業だ。新しい挑戦の機会を探る。あまりに身の丈に合わない挑戦をしてしまうと、夢中よりも不安が勝ってしまい、思うようにいかないかもしれない。自分にとって適度な難易度であることが大事だ。

こう考えると、人がなぜゲームにハマるのかよくわかる。ゲームでは自分の成長もわかりやすいし、常に次の挑戦の機会が提供され続けるのだから。プレイヤーのレベルに合わせた難易度の敵が登場しクリアさせてくれる。

ゲームと同じように、難易度調整しつつ挑戦機会を獲得していくことが、現実世界で夢中であり続けるための近道なのかもしれない。なかなかそんなに上手くいかないけど、だからこそ常に挑戦機会にアンテナを立てておかないといけないなと感じている。


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