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【2020年下半期】読んでよかった本6冊

2020年はたくさん読むことができた。

コロナで家にいる時間が増えたせいか、ゆっくりと本を読む時間を持てたからだ。

僕は、自分の置かれている状況によって、読む本のジャンルが変わる。仕事で困ってるときは、目の前の課題を解決してくれるビジネス書が多くなるし、時間に余裕があるときは小説やエッセイなどエンタメっぽい本が増えてくる。

下半期は、有給消化期間があったおかげか、小説やエッセイが多めだった。ゆっくりとエンタメを楽しむ時間があるって幸せなことだなぁとしみじみ。

そのなかでも読んでよかった本(下半期版)をつづっていこうと思う。

ちなみに、上半期読んでよかった本はこちら。【2020年上半期】読んでよかった6冊の本。

恋のからたち垣の巻 異本源氏物語

源氏物語を元にした小説。表紙からは古典を想起させられるのだが、内容はどコメディ。

この物語の主人公は光源氏ではなく、中年の付き人の伴男。女好きで、いつも新しい恋にうつつを抜かす光源氏の後始末をさせられる。そんな裏方の苦労話をつづっている。

光源氏は、見た目こそ美男子であるものの、中身は三枚目。中身がない世間知らず。女の尻を追いかけるが、中身がないもんだから、失敗の連続なのである。

元祖・源氏物語である紫式部も登場する。彼女は、現代で言うところの少女マンガ家で、ストーリーのネタを書くために、伴男を通じて光源氏の恋のエピソードを仕入れるものの、あまりに情けない光源氏の姿に絶望。

軽快な文章で、クスッと笑える。ものすごく読みやすいので、とっつきやすいのではないかと思う。

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

著者の岸田さんは、ちょこちょこバズっていて存在は知っていたが、記事自体は読んだことがなかった。編集者の佐渡島さんが動画で紹介しているのを見て購入した。

彼女の体験も壮絶なものがあるが、1つ1つの話にたっぷりなユーモアが含まれていて、ぜんぜん悲壮感はない。日常の些細なことをこんなに面白く書けるのか…とちょっと羨ましくなった。

ひとりずもう

さくらももこさんの青春時代を描いたエッセイ。『ちびまる子ちゃん』のその後の物語としても読むことができる。ひとりずもうの感想はnoteで過去にも書いた。僕の『ちびまる子ちゃん』が終わった日

文章になっているけれど、描かれている世界観は『ちびまる子ちゃん』。すこし滑稽で、笑えるエピソードが盛りだくさん。子供の頃からまるちゃんを見ていたからか、ものすごく感情移入してしまった。

あのまるちゃんがこんなに成長して…と謎の親目線。彼女が本気で漫画家を目指しはじめたときは、手に汗握った。応援をしてくれる人が誰もいないなか必須で頑張る姿には少し勇気をもらえる。いつかまた読みかえすかもしれない。

エンドロールのその後に さえない僕らの恋愛に 幸せな結末を

いろいろな人の恋愛の体験談をベースにした小説?である。僕は恋愛小説にはなかなか感情移入ができないことが多いのだけど、この本にはグイグイと引き込まれた。実話を元にしているからか、話の生生しさがすごいのだ。余計な想像が入りこむ余地がない、とでも言うべきか。

恥ずかしいことやら、悲しかったことやら。誰しもがたくさんの自分だけの物語を持っている。特に恋愛については、理性が働きずらくなるからか、そういった物語が生まれやすいように思う。結果、フィクションよりも興味を掻き立てられる物語に仕上がっている。現実は小説よりも奇なりなのである。

過去記事→エンドロールのその後にも物語は続いている

父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え

投資と言っても、デイトレードやFXのような投機ではなく、資産形成についての考え方が書かれた本。

この本を読んで改めて「知らない」ということの恐ろしさを知った。「知らない」というだけで、損をすることが世の中には山ほどある。そのなかでもお金にまつわる話は最たる例だ。

知っているのと知らないのとで、10年後20年後に雲泥の差がつく。読んでおいて損のない本だと思う。

居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書

著者が勤めていたデイケア施設での体験を描いたエッセイでもあり、学術書でもある不思議な本。

何もせずにただ「居る」というのは、案外難しい。特に人間の集団の中では。手持ち無沙汰は、かえって不安。なんだか自分の存在に自身を持てなくなるのだ。存在意義が揺らぐような感覚に近いかもしれない。

だから人は何かを「する」ことを通して、集団の役に立とうとする。集団のなかで、自分の役割を確保することで存在意義を証明することができ、安心感を得れるから。何かを「する」というのはある種の精神安定剤のような作用がある。

そういった役割を見つけられなかった人には、いまの社会は厳しい。たいしたことをしていなくても、いや、していないかたこそ苦しい思いをしている。

ただ居るのはつらい。でも、何かをしていないと価値を証明できない社会も息苦しいとも思う。生きること、働くことについて考えさせられる本だった。


以上、今年読んでよかった本でした。年末年始の時間があるときは、ゆっくりじっくり本を読めるので、とても幸せ。2021年は、もう少しマクロな社会とか経済にまつわる本もいろいろ読んでいきたいなぁと思います。

ともあれ、今年も1年間、ありがとうございました。

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