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「I Love You」をどう訳すか。 『心をつかむ超言葉術』を読んで。

1日に30分、スマホデトックスをしてみよう。
そう思い立ったのは1ヶ月ぐらい前のこと。

今月に入ってから、魔の確定申告やら他の仕事やら外出が重なってできてなかったのだけども(全て言い訳ですごめんなさい)、ここ最近またやってみている。

昼間でもいいのだけど、私の集中力的に夜の方が合ってるので、ちょっと遅めの時間に30分。スマホの着信音を消して隣の部屋に置き、仕事用のデスクに座り、本を開く。

そこで気づいたことは、30分間、本気で読書をすると、めちゃくちゃはかどるということ。

電車でちょろっと読んだり、待ち合わせの空き時間にちょろっと読んだりして、全然進まなかった本が、あっという間に読み終わった。アンビリーバボーである。

ということで、読了したのはこちら。

今年のはじめに、友達に勧められた本。
ものを書く、言葉を扱うという仕事をする上で、いろいろな発見があった。とても勉強になった。久し振りにメモを取りながら読んだ。


この本の冒頭に「『I LOVE YOU』をどう訳すか?」という話題が出てくる。
著者の阿部さんが、ご自身の講座で出す課題だそう。

これはいわゆる、夏目漱石先生のあの有名な逸話というか都市伝説というか。あれから来ている。

夏目漱石が英語教師をしていたとき、生徒が " I love you " の一文を「我君を愛す」と訳したのを聞き、「日本人はそんなことを言わない。月が綺麗ですね、とでもしておきなさい」と言った。

さあ、「I LOVE YOU」を「愛しています」以外の表現でどう訳すか。

本の中には、受講生の方達の色々な訳が書かれている。

「半分こにしようか」
「卒業したから、生徒じゃないです」
「今、会えない?」

うん、なんだろう。キュンキュンしてしまう。

とくに2つ目なんて、2人が向き合って立つシルエットとか先生を見つめる女の子のまっすぐな瞳とか、風になびく髪とか見えて来ちゃう気すらする。

これを書いた人は、生徒側だったのかな。先生側だったのかな。この恋は実ったのかな。ついついそんな妄想までしちゃったりして。


面白かったので、身近な友達の何人かにも聞いてみた。

みんなコピーライターを目指す人じゃないから、わりと直球勝負だったけど、それぞれの「愛」に対する価値観が見えて、とても興味深かったし、ほっこりした。

「あなたがいるから頑張れる」
「あなたといると何をしてても幸せ」
「今朝、あなたの夢を見ました」
「生まれて来てくれてありがとう」

「愛している」という言葉を言わなくても、その気持ちと一緒に、その人らしさが、ちゃんと伝わる。

それぞれの答えに「○○ちゃんっぽいな」と思える言葉が並んでいて、選ぶ言葉にはその人らしさが表れるんだなと改めて思う。面白いぐらいに。


ちなみに私の回答は「昨日寝る前に、あなたのことを思い出したよ」だ。

「愛してる」には、家族に対するものとか友達に対するものなど、色々あるのだろうけど、私の中の「愛してる」は「=男性に抱く恋愛感情」で、それを「愛してる」とか「好き」を言わずに伝えるなら…って考えたら、「寝る前にふと思い浮かべる瞬間」に出くわした。

学生時代、眠る前に片思いの彼から掛けられた一言を思い出してドキドキしたこと。
大好きなあの人から眠る前に届いたメールを、ベッドの中で何度も読み返して眠れなくなったこと。
「明日何を話そうかな」そう思って彼を思い出すこと。
ふと彼のぬくもりを思い出すこと。

多分それが私の「愛してる」なのだ。
目の前にいない相手をひとりで想う瞬間、それが私にとっての「愛」なのかもしれない。

まあちなみにここ最近、眠る前に思い出せる男性がいないのが寂しいところではあるけれども。思い出したいよ誰かの笑顔。あはは。


よければ、これを読んでくれているあなたもぜひ、考えてみてほしい。
「『I LOVE YOU』、今のあなたならなんて訳しますか?」

どんな場面が浮かんで来ただろう。
どんな言葉が出てくるだろう。

きっと、それがあなたの「愛」だ。


そして、最後の「あとがき」に書かれたこの文章に、私はとても、とても力をもらった。

これだけ何かを発信するのが当たり前になった時代において、言葉をどう書けばいいのか不安もあるのだと思う。
言わせてもらいたい。絶対大丈夫だ。
(略)
才能とは、掛けた時間だ。
言葉にもしも才能が必要だとするなら、
これから生きて行く限り時間を掛けて育てていけばいい。

noteを書いていると、自分の才能のなさに絶望感を抱く時がある。

とにかく面白い文章を書く人、センスある言葉選びをする人、ぐいぐい読ませる文章力がある人。

そんな人たちが、この世界には、たくさんたくさんいて、比べなくていいんだけど比べてしまって「私って才能ないな…」って落ち込んだり、こんな風に毎日noteを書いて「これが何になるんだろう」って思うこともある。

でも、掛けた時間が才能になってくれるのなら。

これから先、私が生きて行く時間をかけ続ければ、私の「言葉の才能」も少しぐらいは育ってくれるのかもしれない。

そう思ったら、諦めずに腐らずに続けようって。そう思えた。
誰かの、先を走る人の「大丈夫」は、すごく力になる。

本当に良い本だった。
友達よ、すすめてくれてありがとう。


1日たった30分、スマホデトックスから生まれた読書時間。
毎日は難しいかもしれないけど、これからも続けていこう。

さあ次は、何を読もうかな。
おすすめあったら、教えてください。ぜひ。

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