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歳時記を旅する5〔芋の葉の露〕後*いもうとを先に嫁がせ星まつり

磯村 光生
(平成六年作、『花扇』)
 現在の七夕の恋愛伝説の原型は、中国の六朝・梁代の殷芸(いんうん)が著した『小説』、「天の河の東に織女有り、天帝の女なり。年々に機を動かす労役につき、雲錦の天衣を織り、容貌を整える暇なし。天帝その独居を憐れみて、河西の牽牛郎に嫁すことを許す。嫁してのち機織りを廃すれば、天帝怒りて、河東に帰る命をくだし、一年一度会うことを許す」にあるとのこと。

句の主語は妹ではなく作者。
七夕の伝説を思えば、喜びと安堵とともに、将来の不安もあろうというもの。


(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和二年八月号「風の軌跡―重次俳句の系譜」)

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