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共鳴*毛糸編む一目一目に一語づつ

毛糸編む一目一目に一語づつ 岡田 耕
 冬の夜静かな部屋で編み物をしている景を思いました。毛糸を編んでいる景は何も珍しい所はないのですが、下五の「一語づつ」に目が止まりました。
 編み棒で毛糸の目を一目一目掬う度に、何かひと言ずつ声に出してつぶやいているのでしょうか。それとも心の中で誰かに何かを語りかけているのでしょうか。
 何を編んでいるとか、誰の為に編むのかという事は何も言ってはいないけれど、「一目一目に一語づつ」なのですから、丁寧に一生懸命に毛糸を編んでいる姿が浮かび上がってきます。大切な人へ心を込めて編み物をしている様子が伝わってきます。
 「一語づつ」という小さな言葉を、毛糸の一目一目に編みこんで、それが縒り合わされて他では絶対に得ることのできない暖かな手作りの物が編み上がってゆくのですね。世界に一つしかないものが。
 どんな物が完成するのでしょうか。この毛糸は何色なのだろうかと想像がふくらみました。
(石塚光子)

俳句雑誌『風友』令和五年八月号「一句鑑賞」

☆編み物には、のんびり編んでいく時間を楽しむところにも醍醐味がある、というのは、水世綾乃 さん。この冬、約一か月かけてショールを編み上げられました。以下のご紹介の記事のあと、完成後の記事も投稿されています。

(岡田 耕)


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