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【御礼】紫式部が見た「雛あそび」

#古典がすき 応募作品の中で、「歳時記を旅する12 〔雛〕後*揺るるたび水閃きて雛流る」が先週特にスキを集めました! とのことでした。
皆様に御礼申し上げます。
記事〔雛〕の編を通じての補足記事です。
もう少しお付き合いのほど、お願いいたします。

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ひなまつりの始まりは、平安時代の「上巳の節句」と「雛あそび」に始まるとのことでした。
「上巳の節句」は源氏物語にも書かれていました。
もう一つの「雛あそび」のお話です。

「紫式部日記絵巻」には、紫式部日記の「御五十日の祝い――十一月一日」の状況が忠実に描かれています。

場面は、一条帝の中宮彰子が生んだ若宮、敦成親王の「五十日の祝」。
五十日の祝とは、生後五十日目にするお祝のことで、若宮のお祝の食事となる「御膳(おもの)」が女房たちによって運ばれているところです。(タイトル画像)

この「御前(おもの)」のことを、紫式部日記では作者が「小さき御台、御皿ども、御箸の台、州浜なども雛の具と見ゆ」、と記しているようです。

『日本絵巻大成9 紫式部日記絵詞』中央公論社(タイトル画像の一部を拡大) 
 

「御膳(おもの)」は、実際に食べるわけではなく、いずれも小さく作られているそうです。これを見て作者は、小さくて“まるで雛あそびの道具のように見える”と見たようです。

絵巻の中では、右下の几帳の外に孤独そうにしている女房が紫式部ではないかとされています。

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ひなまつりの歴史などについて、k_maru027 さんが、須賀川市立博物館の雛人形展の様子を史料とともに記事にされているのでご紹介します。

『枕草子』でも「ひいな遊び」の調度品が「うつくしきもの」「過ぎにしかたのこひしきもの」に挙げられています。
羽田さえ さんが記事にされているので、ご紹介します。

流し雛について、森 日和 さんが2022年に行われた京都の下鴨神社の流し雛の様子を記事にされているので、ご紹介します。

(岡田 耕)

*参考文献*
 ・日本絵巻大成9 紫式部日記絵詞   中央公論社  1978年
 ・新編日本古典文学全集26 「紫式部日記」小学館   1994年
 ・倉田 実「絵巻で見る 平安時代の暮らし」三省堂辞書ウェブ


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