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歳時記を旅する44〔時雨〕前*しぐるるや竹垣の竹三節ほど

土生 重次
(昭和五十九年作、『扉』)
 京都の北山から降ってくる時雨を北山時雨という。日本海からの強い北風が山脈にあたって雲を作り雨となり、降り残りの雲が山越えしてくるときに時雨の現象が起きる。いわゆる「山巡り」である。大きな雨粒が、霰のようにパラパラ音を立てて降るのが京都の時雨の特徴だという。(山本健吉『基本季語五〇〇選』)
京都の鹿苑寺(通称金閣寺)の竜門瀑に向かって左側の石段に竹垣がある。高さは膝丈くらいの透かし垣で、丸竹を使い、上部を冠竹という手すりのように仕上げている。これが金閣寺垣と呼ばれる竹垣である。
句の竹垣は、この金閣寺垣だろうか。丈は低くても時雨のなかで、その節が格調の高さを一層際立たせている。
(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和五年十一月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)

☆金閣寺垣とは・・・106cars さんの記事の中で写真入りで紹介されています。
ご覧ください。



   

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