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長く愛される作品を考察してみた:日本の三大随筆

旦那さんと好きな小説の話をしていてふと、日本三大随筆の『枕草子』、『徒然草』、『方丈記』が長く愛されるのはなぜか、という話題になった。

私が思ったのは、

紡いできた人がいるから
普遍的な想いがあるから

ということ。以下で詳しく書いてみる。

紡いできた人がいる

平安時代から現代まで、約1,000年の時を経ている。当時は作品を保存、広めるのも大変だったはず。いくつも写本しただろうし、飢饉、災害、戦などもあった。作品を命懸けで守った人がいる。

現代に来るまでに、大きな戦争もあった。明治には、外国からたくさんの新しい物が入ってきた。廃れてもいいような遥か昔の随筆がここでも誰かに守られ、愛され、託されてきた。託す人の想いも大切に紡がれてきたのだろう。そして正しい人に託されてきた。

「良い」と思ったものを勧めたい。
「残したい」という想いは、いつの時代も同じ。

普遍的な想いがある

当時の人にしか通じない言葉があるのに、今の人たちの心も打つ。

それは当時の人も、私たちと同じように先の見えない未来に悩み、不安を感じていたからだと思う。その中で美しいもの、楽しいことに焦点を当てる。世の中の無常や無情を嘆いて書く。書いたところで、無情で無常な世の中は変わらなかったと思う。

でもこれまで作品を読んできた人たちは、作者の思いに共感して、何度も読んだのではないだろうか。自分なりの解釈を人と話し合ったり、誰かに教えたりしたんじゃないだろうか。「人生の指南書」として。

作者は亡くなったけど、彼らの思いは語り継ぐ人と共に生きているんだな。

現代語訳の本、大河ドラマ、歴史漫画、小説やアニメが生まれる理由もそこにあるのかな。難しい古典を馴染みやすく、語り継いでいくために。

学生時代の私は、「古典なんて意味ない」と思っていた。でも何年か前に、現代語訳の三大随筆を読んで好きになった。不思議なことに、何度読んでも全く飽きない。読む度に、自分の考えが変わるからだ。

それに、「君はひとりじゃない」と言われている気がする。

今は早いほど良い。多いほどすごい。
時間、流行り、フォロワー、お金、情報、噂など。

時々、自分が「良い」と思うものがブレそうになる。でも随筆を読めば、自分と似た考えの人がいる。

シンプルな生活をする。
無常な世の中だから、生きたいように生きる。

「大丈夫。君はひとりじゃない」と言われているみたいに思う。私が都合よく解釈してるだけだが、私の生き方、「良い」と思うものは間違っていない。

私含む現代の人、紡いできた人、未来の人も、こんな気持ちになるのだろうか。だとしたら、私たちは時代を超えて、生死関係なく、気持ちが繋がることになる。なんて素敵なんだろう。

これからも、人の心に残りながら紡がれてほしい。私も紡ぐひとりになりたい。

【さいご】 三大随筆の入門書を紹介

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