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人事の皆さん、社員の"トランジション"にどう向き合っていますか?

「ついこの間に入社した新人も、気づけば3年目かぁ…」

私たち人事パーソンにとって、社員が無為に時間を過ごさないように、そのトランジション(役割転換)をしっかりデザインしていくことも重要な役割です。

皆さんはこの大事な役割にどのように向き合っていますか?


終焉、中立圏、開始…この3つのステップを踏んで人は役割転換する


まず、トランジション(役割転換)に対する理解を深めるところから始めましょう。

トランジションという概念をはじめに提唱したのは、米人材コンサルタント、ウィリアム・ブリッジズ氏です。彼はトランジションについて、次の3つのステップがあると説きました。

第1段階:終焉
変化が始まるのは、何かが終わるときです。就職、結婚、異動、転職などの出来事を通じて、心理的な変化が起き始めます。具体的には、喪失感や空虚感などの苦痛を覚えるとされます。

第2段階:中立圏(ニュートラルゾーン)
終焉とともに内的に起きた喪失感や空虚感を受け止める段階です。この段階の過ごし方が重要であり、ウィリアム・ブリッジス氏は乗り越えるための方法として以下の6つを提示しています。

① 一人になれる時間と場所を確保する
② 今の気持ちや思いを記録をつける
③ 自叙伝を書いてみる
④ 本当にやりたいことを考える
⑤ もし今死ぬことになった時の心残りを考える
⑥ 通過儀礼を体験する

第3段階:開始
新たな始まりに向かう段階です。アイデンティティが新たに確立し、目的意識や意欲などが生まれます。


こうした3つのステップを踏み、人は新しいステージに進むことができるとされます。では、組織では実際どんな"トランジション"があるのでしょうか?


ビジネスパーソンには、10の役割ステージが存在する!?


終焉、中立圏、開始 ―― こうした組織における人の"トランジション"を説明したのが「トランジション・デザイン・モデル」です。リクルートマネジメントソリューションズ社が提唱しました。

同社によると、企業や業界に関係なく、ビジネスパーソンには共通の10つのステージがあることを整理しています。



(1)社会人(Starter)から主力(Leading Player)へ
ステージの前半は、社会人(Starter)、ひとり立ち(Player)、一人前(Main Player)、主力(Leading Player)の4つです。

具体的には、学生から社会人へと変わるステージ、一つずつ仕事をこなす「ひとり立ち」のステージ、創意工夫をこなしながら目標を達成する「一人前」のステージ、そして組織の業績と周囲のメンバーをリードする「主力」のステージへ、役割が変化していきます。

このうち、学生から社会人への役割転換は、もっとも大きな変化です。したがって、人事パーソンは新人や若手社員の組織への順応を円滑にするためのサポートが不可欠です。


(2)マネジメント(Manager)から企業変革(Corporate Officer)へ
ステージの後半は、マネジメント(Manager)、変革主導(Senior Manager)、事業変革(Business Officer)、企業変革(Corporate Officer)の4つです。

具体的には、組織が成果を向上させる仕組みづくりを行う「マネジメント」のステージ、ビジョンを共有してメンバーを導く「変革主導」のステージ、ビジネスモデル改革やDX推進などを実現する「事業変革」のステージ、組織全体の方向性を示して大規模な変革を主導する「企業変革」のステージです。

後半の役割転換はいずれも大きな変化を伴うものですが、特に重要課題と言われているのがマネジメントへの転換です。プレイヤー業務を抱えながら、多様なメンバーのマネジメントを行うことに迫られ、最近はやりがいが持てないとの理由からマネジメントになりたくないという中堅層が増えていることも指摘されています。


(3)専門家(Expert)から第一人者(Professional)へ
ここまで前半と後半に分けて役割転換を見てきましたが、主力(Leading Player)以降、すべての人材が(2)のステージへと役割転換するわけではありません。マネジメント以降の役割を担った後、専門家や第一人者としての役割転換もあれば、マネジメントを担わずに高度な専門性を有する人材としての役割を担う場合もあります。

さて、このとき懸念されるのはモチベーション低下です。特にマネジメント職を離れてこうした専門職への転換を行う際、モチベーションが減少することがあります。さまざまな要因が考えられますが、重要なことのひとつは、マネジメント職も専門職も上下関係ではなく、役割のひとつとして捉え直せるかどうかでしょう。


ここまで、役割転換(トランジション)の考え方と組織内の10の役割ステージについて見てきました。実務においては、これらの理解をもとに、役割や必要な能力などを明確に定義し、育成や評価など、各機能の仕組みを具体的に構築することが重要です。特に役割転換が難しいステージは組織としてとりわけ注意を払いながら、スムーズな役割転換と成長をサポートすることが肝要でしょう。

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