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「弱み」をオープンにできていますか?ーー「バルネラビリティ」とは

「バルネラビリティ(Vulnerability)」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?

近年のリーダーシップや人間関係に関する研究において注目を集めている概念です。

キーワードは「弱みをオープンにする」ですーー中身を見てみましょう。




「自らの弱みをオープンにする」という勇気


「バルネラビリティ(Vulnerability)」は、IT分野ではシステムの脆弱性を指しますが、心理学では「心の弱さ」や「その弱さを他人に見せること」を意味します。この概念は、アメリカの心理学者であるブレネー・ブラウン(Brené Brown)氏によって取り上げられ、広く認知されるようになりました*1 *2。

現代社会では、様々な批判や攻撃に直面することがあります。特にリーダーは、部下を含む周囲からの批判を受けやすい立場にあるでしょう。

こうした中で、リーダーはどんな批判を受けても揺るがず、強さを示すことで信頼を得るべきだとされてきました。そのため、批判を受けても堪えることが求められてきましたが、リーダーも一人の人間であり、当然ながら批判を受けると心に傷を負います。

にもかかわらず、弱さを隠し、理想像に固執しすぎると、結果として心身ともに疲れてしまうことでしょう。また、そうした強いリーダーの姿を見ると、部下自身も弱みを吐き出しにくくなり、お互いの関係性が表面的になってしまうこともあるのではないでしょうか。

まさに、このようなジレンマを解決するための手段が、「バルネラビリティ」なのです。自分の弱さを隠さずに他人に見せると、自然と誠実な行動を取ることができ、周囲との信頼関係を深めることができるのです。


だからといって、どんな状況でも弱みをさらけ出せば良いというわけでもない


さて、リーダーが弱みをオープンにすることの効用を見てきましたが、だからと言って、全ての状況で弱みを見せるべきだというわけでもありません。

当然ながら、チームを率いるリーダーが弱みばかりを見せていると、チームメンバーは不安を感じることは、誰でも経験則的にもわかるでしょう。リーダーが弱みを見せることが有効に働くためには、適切な状況があるのです。

では、どういう条件が揃っていれば、「バルネラビリティ」による効果が得られるのでしょうか。

科学的に明らかになっているわけではありませんが、ひとつはリーダーとメンバー間の信頼関係が確立されていることは大前提でしょう。そこに信頼関係がなければ、開示した弱みは悪用されるだけに終わるかもしれません。

また、リーダー自身が自分の弱みを理解し、それを改善しようとする意欲も必要でしょう。単に弱みを見せるだけではなく、それを成長の機会としようとすることが重要です。

さらに、チーム全体がリーダーの弱みを受け入れ、サポートしようとする意欲があることも大切です。こうしたチームの受容性がなければ、自己開示しただけに終わってしまいます。

「バルネラビリティ」の効果を最大限に得るためには、特定の前提条件が必要です。その条件は一体何なのか?ーー今後の研究によってより具体的に明らかになることを期待しましょう。

(参考情報)
*1 ブレネー・ブラウン(2013)『本当の勇気は「弱さ」を認めること』サンマーク出版
*2 「TED日本語 - ブレネー・ブラウン: 傷つく心の力」 https://digitalcast.jp/v/11750/ (2024年1月22日アクセス)
・ リー・ジアン ,マリアム・クーシャキ ,レスリー K. ジョン(2023)「リーダーが弱点を見せるべき理由」ハーバード・ビジネス・レビュー
・ 「弱さを見せるリーダーこそが強い。これからのリーダーシップのかたち」https://www.businessinsider.jp/post-203055 (2024年1月22日アクセス)

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