「雇われる力」、鍛えていますか?
「雇われる力」とは、雇用され得る能力(Employability)のことを言います。
「とにかくスキルアップすればいいんでしょ?」「日本だと簿記検定を取得して、あとはDXやMBAとか勉強すれば問題ないでしょ?」
たしかにその一面もありますが、この考え方はもう少し深いんです。
「雇われる力」という考え方はなぜ生まれたか?
「雇われる力(Employability)」は、Employ(雇用する)とAbility(能力)を組み合わせた言葉です。
この概念が登場したのは1980年代の米国。
当時、米国では景気後退をはじめ社会情勢の変化から労働者の長期雇用が保障できなくなっていました。
結果、「長期間、労働者を雇用できない!」なら、「他社でも通用する能力を身に付ける機会を設けよう!」という動きが出たのです。
これが「雇われる力」という考え方を生むきっかけになりました。
雇われる力を構成する要素は、「知識・技能」「思考・行動特性」「パーソナリティ」
「雇われる力(Employability)」は、主に3つの要素から構成されています。
知識・技能: プログラミングスキルなど
思考特性・行動特性: 積極性、協調性など
パーソナリティ: 価値観や性格など
例えば、「雇われる力」が高いエンジニアとそうではないエンジニアがいたとしましょう。
皆さんは、両者の違いをどう説明しますか?
まず思い付くのは「プログラミングスキル(知識・技能)」でしょう。ただ、開発現場はプログラミングスキルが高ければよいというものではありません。
開発はチームで取り組むもの。ですので「協調性(思考特性・行動特性)」も必要だし、成果物にこだわる現場なら「良いものをつくりたい(パーソナリティ)」という価値観も重視するでしょう。
このように、「雇われる力」は単純に高いスキルがあれば良いというものではなく、他の要素も含めた総合的な能力として定義されているのです。
「雇われる力」にも4つの種類がある!?
さて、「雇われる力」と言ってもがむしゃらにスキルアップに励むのでは意味がありません。
そうではなく、「自分にはどの分野のスキルが足りていないのか?」を考えることが大事です。
「雇われる力(Employability)」にも4つの種類が設けられています――相対的/絶対的/外的/内的エンプロイアビリティの4つです。
まずは、相対的/絶対的エンプロイアビリティから見てみましょう。
相対的/絶対的エンプロイアビリティの両者の違いは「外部環境変化等によって影響を受けるかどうか」で区別できます。
例えば、昨今、生成系AIの登場によって多くのスキルに代替可能性があります。まさにテクノロジーの進化によって影響を受けるスキルは、相対的エンプロイアビリティなのです。
一方で、そうした変化に左右されにくいのが絶対的エンプロイアビリティです。例えば、医師などは時代や国を問わず、一定仕事を獲得できますよね。
こうした資格職以外にも、テクノロジーにはすぐに代替されない専門・高度な知識を持つ人も、絶対的エンプロイアビリティがあると言えます。
では、外的/内的エンプロイアビリティの違いは何でしょうか?
外的エンプロイアビリティは、自社に限らず、どの会社にいっても必要とされる能力のこと。
クリティカルシンキングやプレゼンテーション力といった、ポータブルスキルもそのひとつです。
一方で、内的エンプロイアビリティは、今所属している企業や組織に必要とされる能力のこと。
自社の商品・業務を極めている人は、内的エンプロイアビリティに溢れていると言ってもいいでしょう。
「雇われる力」という考え方をどう役立てるか?
さて、ここまで「雇われる力」がどういうものなのかをご紹介してきました。
この考え方を我々に引き寄せると、
これまでの経験を通じて、どのカテゴリーの能力が伸びているのか?
足していないのはどこか?
と振り返ることが大切です。
環境変化が激しい時代、生涯ずっと役に立ち続けるものなどありません。
そのとき、常に"雇われ力"の棚卸しはしておきたいものです。
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