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ダメ!と言われたらやりたくなる心理「カリギュラ効果」とは?

「絶対にダメ!」ーーこう言われたら、かえって興味を掻き立てられ、やりたくなってしまわないですか?

禁止されるとやりたくなる心理現象「カリギュラ効果」とはどういうものでしょうか?


禁忌を破る誘惑:カリギュラ効果とは?


カリギュラ効果は、何かを禁止されたり制限されたりすると、逆にその行動に走りたくなる心理現象のことです。たとえば「のぞいちゃダメ!」「混ぜるな危険」「廊下は走るな!」など、何かがダメだと言われると、ついやってしまいたくなる状況を指します。

諸説ありますが、このカリギュラ効果は「心理的リアクタンス」という概念と総括して扱われることが多いです。自由が制限されるとそれに反発し、より自由に執着する「心理的リアクタンス」は、アメリカの心理学者、ジャック・ブレーム(Jack Brehm)氏によって1966年に提唱されました*1。

さて、気になるのは「カリギュラ効果」という名前の由来です。なぜ「心理的リアクタンス」と総括して語られず、「カリギュラ効果」として呼ばれるようになったのでしょうか?

カリギュラ効果の名前の由来は、ある映画?


「カリギュラ効果」の名前は、1979年にアメリカで公開された映画『カリギュラ』に由来しています。この映画は、ローマ皇帝・カリギュラを題材にしたポルノ映画です。

カリギュラは残虐で性的な要素が豊富で、いくつかの国や地域で上映が禁止されたと言われています。マサチューセッツ州ボストンでも過激なシーンに対する評価が厳しく、公開を禁止されました。

ボストンは、規律の厳しいピューリタンによって作られた都市です。『カリギュラ』も受け入れられるはずがありません。しかし驚くべきことに、『カリギュラ』を観るために、市民たちはボストン近郊の映画館まで足を運んだとされます。結果、映画は大きな話題を呼び、後には大ヒット作品となりました。

この出来事は、何かを禁止することで人々の好奇心が刺激され、それに興味を持つことが起きる典型的な例です。禁止された物や行為に対する興味は、それが害であるかどうかに関係なく生じる現象であり、この効果は人間の本能的な欲望や自由への渇望に起因していると言えるでしょう。


カリギュラ効果、ビジネスではどう活用する?


「カリギュラ効果」の学術的な背景や由来を理解した上で、そのビジネスでの応用について考えてみましょう。

広告においては、「絶対にクリックしないでください」「一言さんはお断り」など、消費者の行動を制限する文言を使うことで、禁止感や制約感を生み出し、それによって興味を高める効果があります。このアプローチは、カリギュラ効果を利用した一例と言えます。

また、「限定販売」や「数量限定」もカリギュラ効果を活かした戦略の一環です。商品やサービスを簡単に手に入れられない状況を演出することで、興味を引き起こし、購買意欲を喚起します。この手法は希少性や特別感をアピールする「スノッブ効果」とも関連しています。

これら以外にも、カリギュラ効果の活用は考えられますが、注意点として、適切な節度を持って実施し、顧客の利益を損なわないように心掛けましょう。

効果的な活用方法を選び、倫理的な観点から顧客の利益を考慮したビジネス戦略を展開してください。

(参考文献)
*1.Brehm, J. W. (1966). A theory of psychological reactance. Oxford, England: Academic Press.

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