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リスキリング時代に再注目される「アプレンティスシップ制度」とは?

2020年のダボス会議での「リスキリング革命」の発表を受けて、世界中でリスキリングが力強く推進されています。しかし、その手段の多くがOff-JTに偏っており、その効果が限定的なケースも散見されます。

こうした状況の中で、今、海外の企業ではポテンシャルを秘めた人材に対して、未経験者であっても給与を支給し、学習と実践の場を提供して、自社の社員として採用しようとする動きが広まっています。それが「アプレンティスシップ(徒弟)制度」です。


古くて新しい「アプレンティスシップ制度」とは?


アプレンティスシップ制度は、伝統的な教育システムであり、職人や専門家から直接技術や知識を継承する手法として知られています。その起源は古代に遡ると言われ、特に職人の世界では長い歴史を持つ教育手法です。従業員教育の最も古い形態の一つと見なすことができるでしょう。英国では1964年に制度化され、16歳以上の若者が大学進学に代わる選択肢として提供され、現在でも続いています。

こうしたアプレンティスシップ制度が、リスキリング時代に再び注目を浴びています。リスキリングは、既存の職業から異なる職業に移行する際に新しいスキルを習得する必要があるため、Off-JT(職場から離れて研修や学習を行う)だけでは不十分です。特にデジタル技術の習得は、実践ありきのスキルの側面があるため、アプレンティスシップ制度は重要な役割を果たす可能性を秘めています。


企業はアプレンティスシップ制度をどう活用している?

アプレンティスシップ制度の実践企業として、Forbes JAPAN社の記事にGoogle、LinkedIn(Microsoft傘下)、アクセンチュアの大手企業名が挙がっています。実際、アプレンティスシップ制度をどう活用しているのか、公式Webなどを辿ってみてみましょう。


Googleが提供するアプレンティスシッププログラムは、まさに見習いとして仕事をしながら、デジタルスキルを磨く機会を提供するものです。2023年10月時点だと、セールス&マーケティング、ソフトウェアエンジニアリング、データ分析などの職業就労機会が提供されています。


Microsoft傘下のLinkedInでも独自に「REACH」というテック人材アプレンティスシップ・プログラムが実施されています。正社員として雇用されながら、職務時間の20%を技術スキルの習得に充て、テックスキルを向上させていきます。


アクセンチュアも学習者が給与を受けながら学び、職場での実務経験を積む機会を提供しています。同社Webを見ると、2016年にアプレンティスシッププログラムを立ち上げ、マクドナルドやJPモルガンなどと提携して、専門的な見習いプログラムを開始したと述べています。


企業がこうしたアプレンティスシップ制度を採用することで、より実践的なスキル獲得と実務経験を通じて個人の成長を支援することができるでしょう。単なる次世代のプロフェッショナルを養成する重要な手段にとどまらず、リスキリングやキャリアの再構築においても極めて有益な制度になることを期待したいと思います。

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