「明治日本の産業革命遺産」世界遺産協議会 公式note

「明治日本の産業革命遺産」は、2015年に世界遺産に登録されてからまもなく10周年を迎えます。節目となる2025年に向けて、「明治日本の産業革命遺産」と人気ミステリー作家のコラボ小説をはじめ、記念イベント情報などをお届けします。

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「明治日本の産業革命遺産」は、2015年に世界遺産に登録されてからまもなく10周年を迎えます。節目となる2025年に向けて、「明治日本の産業革命遺産」と人気ミステリー作家のコラボ小説をはじめ、記念イベント情報などをお届けします。

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「幸せな週末」後編

 自宅に帰り着き、玄関を開ける。リビングに足を踏み入れた瞬間、私は息を呑んだ。 「何これ……」  部屋の中は、折り紙の輪つなぎやリボンやモールなどで飾りつけされていた。白い壁には、英字のシールで〈HAPPY BIRTHDAY〉と綴られている。 「ママ、誕生日おめでとう」  夫が私に、花束を差し出してきた。びっくりしつつ、私は受け取る。 「今日が四十歳の誕生日だろ。サプライズをしたかったから、秀吾に協力してもらって、ママを家から連れ出させたんだ。じゃないと、週末はなかなか外出し

    • 「幸せな週末」前編

      明治日本の産業革命遺産ミステリー小説 新人ミステリー作家の登竜門『このミステリーがすごい!』大賞受賞者をはじめとした新進気鋭のミステリー作家たちが、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」の地を実際に訪れて短編のミステリー小説を書き下ろし。広域にまたがる全23の構成資産を舞台とした物語をミステリー作家陣が紡いでいきます。 ものづくり大国となった日本の技術力の源となり、先人たちの驚異的なエネルギーを宿す世界遺産を舞台にした不思議な物語を通じて、この世界遺産

      • 「夏の三角の夢」後編

         浦島太郎は龍宮で宴に酔いしれた後、老いた両親を心配して村に戻った。すると故郷の風景は一変していた。見知った家々は消え、田畑や神社の場所まで変わっていた。しかし山々の輪郭や小川、海岸線だけは以前の姿を保っていたという。  私の置かれた状況も同じなのだろう。海峡の先に見える天草の景色や三角港の裏手にある山々、埠頭や排水路、そして数少ない建物だけは当時のままだ。しかしどれだけの時間が経ったのかわからないが、三角港の街並みには変化が見てとれた。  私は龍王の姫との甘い日々など送って

        • 「夏の三角の夢」前編

          明治日本の産業革命遺産ミステリー小説 新人ミステリー作家の登竜門『このミステリーがすごい!』大賞受賞者をはじめとした新進気鋭のミステリー作家たちが、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」の地を実際に訪れて短編のミステリー小説を書き下ろし。広域にまたがる全23の構成資産を舞台とした物語をミステリー作家陣が紡いでいきます。 ものづくり大国となった日本の技術力の源となり、先人たちの驚異的なエネルギーを宿す世界遺産を舞台にした不思議な物語を通じて、この世界遺産

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        • 明治日本の産業革命遺産ミステリー小説
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        • 明治日本の産業革命遺産フォトコンテスト
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        • 明治日本の産業革命遺産を知る
          「明治日本の産業革命遺産」世界遺産協議会 公式note

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          「軍艦島と白い宝石」後編

          〈3〉  翌朝、美咲は善朗とともに、長崎港大波止ターミナルから高速船に乗り、伊王島港を経由して高島に渡った。幸運にも、波は穏やかだ。季節によっては、軍艦島への上陸率は決して高くないと聞いていた。港に接岸する前から、森田正利が手を振っているのが目に入った。小柄なその姿には優しさが溢れている。  近づいていくと、手を差し出してきたのでその手を握る。力強く握り返された。 「美咲ちゃん、元気やった?」 「ご無沙汰しています。おかげさまでなんとか」  森田がゆっくりと頷き、「今回は仕

          「軍艦島と白い宝石」前編

          明治日本の産業革命遺産ミステリー小説 新人ミステリー作家の登竜門『このミステリーがすごい!』大賞受賞者をはじめとした新進気鋭のミステリー作家たちが、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」の地を実際に訪れて短編のミステリー小説を書き下ろし。広域にまたがる全23の構成資産を舞台とした物語をミステリー作家陣が紡いでいきます。 ものづくり大国となった日本の技術力の源となり、先人たちの驚異的なエネルギーを宿す世界遺産を舞台にした不思議な物語を通じて、この世界遺産

          このミステリーがすごい!大賞作家×「明治日本の産業革命遺産」コラボ小説公開!

          明治日本の産業革命遺産ミステリー小説は、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」と、人気ミステリー作家のコラボプロジェクトで、全23の構成資産を舞台としたミステリー小説を複数の作家が紡いでいきます。 記念すべき第一回には、宝島社の『このミステリーがすごい!』大賞作家である八木圭一氏、友井羊氏、岡崎琢磨氏が「明治日本の産業革命遺産」の石炭産業の舞台である高島炭坑・端島炭坑(長崎県長崎市)、三角西港(熊本県宇城市)、三池炭鉱・三池港(福岡県大牟田市・熊本県

          「明治日本の産業革命遺産フォトコンテスト」開催中!

          明治日本の産業革命遺産フォトコンテストは誰もが応募できるオンラインの写真コンテストです。 応募テーマは「つなぐ」。「明治日本の産業革命遺産」は、全国23の構成資産全体で1つの世界遺産であり、現在稼働中の資産も含まれます。100余年の歴史を今もなお語り続け、エリアや時代を超えて“つながる”、遺産を表現する作品を募集。 プロ・アマ問わず、愛機で撮影した渾身の自信作から、思いがけずスマホで上手に撮れた写真まで、気軽にご応募いただけます。コンテストの優秀作品には旅行券などの賞品のほか

          世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」とは

          「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は2015年7月に世界文化遺産に登録されました。 明治以降の日本の近代化において重要な役割を果たした産業遺産群であり、19世紀後半から20世紀初頭にかけ、わずか50年余りの短期間で産業化を成し遂げた、世界でも類を見ないプロセスを物語るものです。 全国8県11市に点在する23の構成資産全体で世界遺産の価値を有しています。 詳しい情報は下記ホームページをご覧ください。 【構成資産】 ▼萩 1-1萩反射炉(山口県萩市) 1