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vol.1:自ら消耗戦やオーバーツーリズムを助長させるしくみ

近年、日本の観光地や旅行業界で『オーバーツーリズム』という言葉を見るようになりましたが、その多くは、まだ「混雑による観光地や住民への負担」程度の意味合いで使われている感があります。

しかし、これはまだ序の口で、この状況が続けば「観光客数だけが増えて観光収入が増えない状況」や「観光開発等による地代や物価の高騰、文化財・自然環境の破壊」といった深刻な問題に発展します。

つまり『オーバーツーリズム』とは、観光客に因る被害だけではなく、その観光地の戦略と誘客の失敗にも要因のある「地域と地域経済の崩壊」なのです。


沖縄の観光業は、年間3,000億円を超える一括交付金頼みの財政から脱却し、経済的に自立する上でも重要な基幹産業ですが、観光客数こそ「ハワイ並み」を誇りながら、観光業の従事者をはじめとした県民所得は依然として全国最下位です。
しかも、好調な沖縄観光業を牽引してきた外国人観光客の増加が去年の6月以降に頭打ちとなっており、このままでは数年後に減少する可能性があります。

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沖縄の観光業は正念場を迎えています。弊社は、沖縄では数少ない戦略系のコンサルティング会社として、インバウンド対策をはじめとして沖縄の観光業企業のお手伝いをしていまが、この投稿では、観光客のデータ分析に基づく観光マーケティングの考え方、弊社が、それを基に沖縄企業と取り組もうとしている事例などをいくつかのパートに分けて紹介します。

ここに書いたのは、評論家的な「机上の空論」や「べき論」ではなく「旅行業の現場で考え、クライアントと一緒にやっている対策アクション」です。

この一連の記事を読んでもらえれば、例えば「泡盛はどの国の人がいちばん買っているのか?」や「平均の2倍の消費額の旅行者は滞在中に何をしているのか?」のレベルまで分かります。

vol.1  INDEX
・消耗戦:沖縄の観光収入は数年後に減少する
・消費額が上がらない原因:観光マーケティングの不在
・消費額が上がらない原因:誘客政策の失敗
・まとめ:観光マーケティングの重要性

*この投稿に添付されたグラフは『データブック』を基に作成しています。ご興味ある方はこちらをご覧ください


消耗戦:沖縄の観光収入は数年後に減少する

沖縄の観光客数は、2011年から2017年までの6年間で約2倍に増えました。中でも、外国人観光客は同じ期間で7倍(全国平均の2倍)も増えており、観光客数全体の3割を占めるまでになりました。

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