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バイトな日々

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新卒2ヶ月で仕事を辞めて2年間が経過した。 僕が必死でした事と言えばバイトくらいだ。 無駄だったこの2年間。でも、楽しかった僕のバイトの日々をここに残しておきたいのだ〜〜。 毎週…
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#バイト

2017年7月7日 煙たい客 part2

2017年7月7日 煙たい客 part2

田山さん。うちの店員のほとんどが彼を敬遠する。
体を動かすのがかなり困難らしく、一つの動作をするのに5分はかかる。
彼はワガママを言う。あれもこれも、何もかもやれと店員に指図する。
時に、大きな声を出すこともある。
故に彼は厄介な客とされる。

僕は彼に同情した。可哀想だと思った。彼を下に見ているのかもしれない。
そんなことは別にどうだっていい。田山さんが店に来る時は、できるだけ協力することにした

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1月14日 天気と親父の遺書

1月14日 天気と親父の遺書

平成二十九年になった。
だからと言って特に何かが変わった訳でもなく、唯一変わった事と言えば遅番になったという事だ。
遅番の日は正午に家を出るのだが、何故か心持ちが不安定だ。
心臓がバクバクしてくるし、吐き気がする。バイト先につけば平常に戻る。戻るというか気が紛れると言った方が正確なのかもしれない。

早番の時は朝の六時に家を出る。外は少し明るくなってきたくらいで、誰も歩いていない。そして何故か僕も

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1月4日 俺だけの金曜日。

1月4日 俺だけの金曜日。

僕は母子家庭で育った。
中高大と私立に入れてもらった。片親で中々出来る事ではない。
母親は「父親がいないせいで出来ない」という事を物凄く嫌った結果、
何もかもを僕に捧げてくれた。

何故か地元に残りたくないと思い、唯一受かった私立の大学に行きたいと言った。
彼女は基本的に「それがあなたのためになるなら。」と言ってくれる。
引っ越し先を探しに一緒に東京に来た時、一度だけ「お願いだから茨城に残って。」

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12月30日 深海。誠。

12月30日 深海。誠。

寒い。何て寒い朝なんだ。
今年の冬は「冬ベスト盤~DJ KAORI Remix~」に収録されている、過去の冬達と比べても一番サムいのではないだろうか。
きっと若手の冬なのだろう。今季結果を残さないと今後使ってもらえない。
その焦りが裏目に出ちゃってるよ。
執拗に手を叩いて笑う感じの若手と同じ嫌な感じがする。
「冬も大変ですな〜」なんて思いながら、カレンダースマホのねを見ると、明日は大晦日。
病院の

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12月27日 世はボリューム満点激安ジャングル

12月27日 世はボリューム満点激安ジャングル

極寒。5時50分目が覚める。
起床と共にダウンのポケットからタバコを取り出し、束の間の休息。
机の上に、頭の悪そうなフォントで「BIG」と書かれているペプシ缶。
飲みかけだったので、即灰皿になった。
「シュワ〜」という音は炭酸なのか、消化の音なのかどっちなんだろう、どっちもかな?と思いながら5時55分に家を出る。

5分で家から出れるのは、この家が極寒だからである。暖房の効果は無く、ありとあらゆる

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12月20日 千円。

12月20日 千円。

胸ポケットから小さく折りたたまれた千円札が出てきた。
レジではマイナス千円がでている。千円以上の過不足は本社に連絡をしなくてはならないので、社員の二人がイライラを抑えながら必死で何度も点検をしている。

「どう説明しよう。」という事で頭が一杯になった。何故自分の胸ポケットから千円が出てきたのか説明がつかない。現在僕は電気、水道、ガス、全ての公共料金をギリギリ目一杯まで滞納している。休憩中はいつもポ

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はじめに

はじめに

今日は朝番だった。勤務時間は七時から十五時三十分の七時間半労働の訳だ
が、朝番の1番の大仕事は七時までに店に辿り着くという事である。
規定時間内に店の鍵を開けた僕の表情は、退勤する時の表情と全く同じ顔をしているはずだろう。決められた時間内に店に辿り着くためには、朝の五時半に起きなくてはならない。本当は五時四十五分でもいいのだが、最近かけたパーマが寝癖を後押しするといった事が多々あり、その場合はお風

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