イノベーションはどうしたら起こせるのか?

イノベーション創出に悩む企業は多い。格差問題の根っこを見ると、そのヒントがわかる。問題の根っこはいつも似ている。欧米の格差問題から日米イノベーションの「格差」を考えてみた。

#COMEMO #NIKKEI

様々な格差の問題は最終的には「情報の格差」に行き当たる。そこには「情報のアクセス」の問題が常にある。個人間の格差も企業間も国家・地域間も。経済も教育も同じだ。

そう考えたとき、GAFAのひとつであるGoogleの掲げた「看板(≒掲げる御旗のようなもの)」はやはり凄いことがわかる。

先日、日米の企業が掲げる「看板」についてnoteに書いた。その際、Googleの「看板」を紹介した。

再掲すると、Googleの「看板」は「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする」ことである。

格差問題の根っこにある「情報の格差」をなくし、すべての人に「情報のアクセス」を可能とする、このことは社会課題の解決そのものと言える。

しかも格差問題は世界中にあるわけだから、一国の課題解決に終わらない。まさにGoogleが考えたことは壮大、「あっぱれ!」なのである。

これに対し、日本企業が再定義で掲げる「看板」に感動するものが乏しいのはもはや残念としか言いようがない。

日本には優秀な人は沢山いて潜在力もある。それなのに日米で実現できていることの違い、スケールの違い、イノベーションの「格差」はとても大きい

さて、このイノベーションの「格差」。これもやはり「情報の格差」、「情報のアクセス」の問題と言えるだろうか?もはや禅問答だ。

Googleが世界中の情報をアクセス可能にしてくれても、欧米の格差問題、教育や経済の格差がなくならないように、情報はあっても必要な人が必要な情報に気づけなければ意味がない

検索エンジンは支援してくれるが、「検索ワード」が適切でなければ必要な情報には辿り着けない。何より、当事者が自分が何を知りたいのか、何を知る必要があるのかがわかっていなければそもそも「検索する」という行為が始まらないのだ。

この行為のきっかけが「自分ごと化」だ。情報を自分と結びつけて捉える力だ。

日本や世界で暮らす多様な人、そこで起きている多様な出来事、付随する多様な問題、こうしたことを自分と紐づけて捉える「自分ごと化」ができて初めて情報にアクセスするといった行為が始まるのである。

データドリブンだ!とデジタルデータ活用に大手企業は血眼になっているが実はデジタル化されていないところに多くの問題はある。

社会課題の解決が必要だとどこの企業も言うけれど、問題を整理し、課題に変えるにはまずは問題が発見されていなければ始まらない

問題の発見にはリアルな人間の「観察して気づく力」と「共感力」が欠かせない

イノベーション創出に悩む企業にはAFTA(筆者による造語)が必要だ。AFTAは以下の頭文字を取ったものだ。

「気づく(Aware)→感じる(Feel)→考える(Think)→動く(Act)」

この流れをOODAでスピーディに行う必要がある。

最終的には、Googleと日本企業のイノベーション格差は社会に対する関心、見ている景色・世界の深さや広さの違いと言えるだろう。そこに思想や哲学の違いも生まれている。

他のnoteにも書いてきたように日本企業もそうしたものを持っていた時代がある。だから日本人ができない理由はないと思う。既に始めている人・企業もいる。

イノベーションを欲する企業は日本で/世界で暮らす生活者のひとりとして、社会を、生活する人々を、もっと身近なものとして観察し、問題に気づいて、感じて、そしてスピーディに考え、行動することが求められている

急がば回れ。すぐにHOW(AIのような手段の安易な導入)に走らず、WHY(未来に続く自社の存在意義、提供する価値)をしっかり内省することも大切だろう。

そのとき、モデル、範を安易に海外に求める必要はないと思う。ベンチャー企業や中小企業のなかにこういうことに優れた日本企業があるからだ。


歩く好奇心。ビジネス、起業、キャリアのコンサルタントが綴る雑感と臍曲がり視点の異論。