VUCAのカオスから脱出するチカラ
VUCAの時代と言われます。そこから脱出するときに必要なチカラはラフティング・ボートの転覆から脱出したときのものに似ているかもしれない。
VUCA(ブーカ)はVolatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguityの頭文字から取られた言葉ですが、ざっくりいうと「変化の振れ幅が大きくて、不確実・複雑・曖昧で分かりにくい世界」、「カオス」ともいえると思います。
水難事故のニュースを聞きながら、かつて経験したラフティング・ボートの転覆事故?を思い出し、そのときの経験を振り返ると、VUCAのカオスからの脱却に似ているのでは?と思いました。
私はやや無謀なところがあるせいか、何度かアワヤ!?を経験しています。そのうちのひとつが川の事故です。
ラフティングが日本に入り始めたころ、あちこちに乗りに行っていたある日、いつもより水かさが多く、スリルを増したラフティングを楽しんでいたら、あ!っと思った瞬間にボートが転覆しました。
転覆の瞬間はまさにスローモーション!
細切れカットの映像のように転覆していきました。
その瞬間から激流に飲み込まれました。何が何だかわからないくらいの物凄い速さで流されながら、夢中で水面に浮上しようとします。
ようやく水面から顔が出たと思ったら、転覆したボートの空間に友人と私が顔だけ出しているのでした。
さっきまで座っていたボートが今は頭上にあり、ボートに蓋をされる形でボートの下でボートとともに私たちは流されていました。ボートが蓋をしているので周りの様子がまったくわかりません。
ようやく呼吸ができて「助かった!」と思ったのに、これでは埒が明きません。ボートを持ち上げて脱出しようとするも重くて動きません。
周りは何も見えず、その間にも激流に流されていきます。周囲の状況が全くわからないまま、やむなく腹を決めて友人は潜りました。私も少し呼吸を整えて腹を決めて勇気を出して再び潜りました。
流されまくり川底の岩に腰や背中やお尻をぶつけながら、夢中で水面から顔を出す努力をしていたら、ようやく激流が終わり、水流が穏やかな開けた場所に出ました。気がづけば周囲は大騒動でした。複数のボートにインストラクターと先に助けられた参加者たちの多くの目に見つめられていました。
このときの川の増水は上流のダムの放流によるものでした。そのことをよく私たちは理解していませんでした。
しかし、命の危機が起きれば、インストラクターも誰も当てにできません。自分で勇気を出して自分の直感を信じて判断し、動くしかありませんでした。流されながらも危機を脱出する行動、その選択を迫られます。
意思決定にOODAが大切と最近よくいわれます。
OODAはObserve、Orient、Decide、Actの略です。ざっくりいえば、よく観察して情勢、状況を見極め、素早く判断し、意思決定して行動する、というものです。
ラフティングでは瞬時にこれを求められました。しかも、観察し、情勢判断をするうえでの情報はボートの下では十分に得られませんでした。それでも動かなければ死んでいたかもしれません。あの「川に呼ばれてる」感じを今も妙に覚えています。
こうしたことは今という時代の適応にも求められているのではないでしょうか?
ちなみに、この事故?で最後から2番目に救出された私は顔面蒼白だったそうです。それもそのはず、海のそばで育った友人と違い、海なし県で育った私は当時ろくに泳げなかったのですから(笑)
VUCAの時代の行動を考える一方、帰省中の皆さん、水難事故にはくれぐれもお気をつけください。
そして、スローモーション。これも何度か経験してますが、できれば「命の危機」のスローモーションではなく、「出逢い」のスローモーションがいいですね。♪「出逢いはスローモーション」♪
歩く好奇心。ビジネス、起業、キャリアのコンサルタントが綴る雑感と臍曲がり視点の異論。