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臀物語

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タイトルをしりとりで繋げる物語、です。 「しりものがたり」と読みます。 第1,第3,第5日曜日に更新予定です。 詳しくはプロフィールに固定してある「臀ペディア」をお読みください。
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2023年11月の記事一覧

豚骨

勇樹と陽介は二人揃って珍しく電車に乗って都心部の方まで足を運んだ。
「土曜日にこっちまで来ることなかなかないけど、こんなに混んでるんだな。」
「さすが、都心って感じ!」
「いや、東京に比べたら大したことないだろ。」
「まあそうだけど。」
そんな会話をしながら、二人は待ち合わせ場所で英一を待っていた。
「あ、九十九っちじゃない?」
「おお、本当だ。」
英一は二人に気づくと軽く手を振り、小走りで近づい

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フルート

トントン、と扉をノックする音。
「はいー。」
「今ちょっと大丈夫?」
朱里は扉の外からそう尋ねた。
「うん、大丈夫よ。」
雨相はすぐに席を立つとドアの方に向かい、扉を開ける。
「どうしたの?」
「ちょっと、相談したいことがあって。」
「相談?ああ、じゃあリビングで話す。」
「うん。」
二人は連れ立ってリビングへ向かった。
「えっと、コーヒーでも飲む?」
相談という言葉に少し動揺していた雨相はそう提

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ループ

 勇樹が「ザ・スレイヤー」をプレイし、陽介も一緒にプレイをしてり、応援したり、ぼーっとしたりする。それがここ最近の二人の日常だった。
「ああ、やっぱこいつ強いなあ。」
「結構強そうだよね。」
「そう、こいつヤバいんだよ。全然勝てなくてさ。」
「へえ。」
「いったん休憩するか。」
「うん、そうしたほうがいいよ。」
「なんか飲む?」
「いや、大丈夫かな。」
「わかった。」
 勇樹は自分のベッドに腰かけ

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メダル

「ああ、こっちこっち。」
 高森が店に着くと、既に初芝と照井は飲み始めていた。
「おお、ういっす。」
「ごめんな、先飲み始めちゃったわ。」
「いや、全然。すみません、生ビールください。」
 高森は近くを通った店員にそう声をかけると、スーツをハンガーにかけて席に着いた。
「仕事終わり?」
「そそ、ちょっと打ち合わせしてて。」
「あれだろ、高森の担当してる人って、あの、ほら……」
「雨相月士だろ。」

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