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伝説のつるぎ 大熊健司
2022年7月31日 01:25
夕方になり、子供たちの楽しそうな声もすっかり聞こえなくなった学び舎は、少しばかり憂いを帯びているように思えた。既にまばらとなっていた職員室で仕事を続けていた天野だったが、ひとまずキリのいいところまで終えたので帰ろうかと、身の回りを片付け始めた。「天野先生、少しいいですか?」天野のことを普段から気にかけてくれる蕪木 清香(かぶらぎ さやか)だった。「はい。どうかされましたか?」「もう帰られ
2022年7月10日 02:18
「最近何かあったんですか。」 打ち合わせも終盤、大方の方向性が決まりほっと一息というタイミングで、雨相は急にそう切り出した。「え、何でですか?」 高森は怪訝そうな表情で雨相を見る。「いや、最近高森さんからの返事が遅いな、と思いまして。いつもだったらすぐに返事をくださるので。」「ああ、そういうことですか。」 やっと合点がいったようだった。「もしかして何か悩みですか。失恋の相談とかだった
2022年7月3日 05:13
よく、悩んでいる学生などに対して、「そんなのは今だけだから」、「社会いでたらもっと大変な思いをするから」と声をかける愚かな大人がいる。 確かにそれは正論かもしれない。お金を払って何かをするよりも、お金をもらって何かをすることの方が責任が伴うし、大変なことも多いだろう。しかし、だからと言って、そんな声のかけ方は至ってナンセンスである。 まだ生まれて十数年しか経っていない学生からすれば、今向き合