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【みちしるべ#5】種市雅也さん~オリエンならではの高揚感を求めて~(後編)

学校に、就活、アルバイトに、お仕事、
みなさんおつかれさまです。

この「みちしるべ」では、学生オリエンティアと社会人の先輩オリエンティアとの対談を通じ、オリエンテーリングとの向き合い方を考えるきっかけを提供します。

第5回のゲストは、現在なんとブラジル🇧🇷にいらっしゃる、種市雅也さんです。

中学生からオリエンテーリングを始め、高校、大学とオリエンテーリングに熱中。社会人では一時期、オリエンテーリングから離れていましたが、今年より復帰され、オリエンテーリングへの想いは今もなお熱く燃えています🔥

そんな種市さんに、学生時代のお話を中心にお伺いしました。

ぜひご覧ください!

前編はこちら
(就活とオリエンテーリングの両立や、社会人でもオリエンテーリングを続けたきっかけについてお聞きしています。)

ゲストプロフィール

2018年度(大学3年次) 
ユニバ― (WUOC・世界大学選手権)

種市雅也(たねいちまさや)さん
練馬OLC所属。東京大学2016年度入学。
愛知県名古屋市出身、東海中高でオリエンテーリングを始める。2012年、JWOC出場。2016年より東大OLKにて活動。2017年度(2年)には、インカレスプリント、リレーにて優勝。2018年度(3年)には、WUOC出場に加え、インカレスプリント2位、ロング2位、ミドル6位、リレー優勝の結果を残す。
2020年より総合商社へ入社し、今年度よりブラジルに駐在。一時オリエンテーリングから離れていたものの、2023年1月より再開。2月の全日本スプリントではM21A優勝を果たす。ブラジルでもオリエンテーリングに。

オリエン人生を通した、目標の変化は?

2013年度 インターハイ 団体戦 優勝 📷
(左:長谷川選手、中央:稲森選手)

ー種市さんは、中学生からオリエンテーリングを始め、高校、大学、社会人と、ライフステージが変わってもなおオリエンテーリングを続けてらっしゃいます。そのなかで、例えばインカレでは勝ちたい、社会人になっても全日本ランキングでこの辺にいたいなど、自分の中でのオリエンテーリングの位置付けの変化を教えてください。

 そうですね。中学は最初から速くはなかったです。東海中高時代、同期に稲森(横浜国立大学2015年入学)や長谷川(早稲田大学2016年入学)がいて、最初稲森が一番速くて、長谷川も速くて。まずはその同じ中学の同期が16人ぐらいで1番になりたいなというのが最初のきっかけでした。

 そこで最初に同期で1番になったのがスプリントだったので、そこから多分得意なんだろうなと思いつつ後々その競技の中でも大事にしていったところはありました。

 高校に入ってからは、徐々に中学(東海)だけじゃなくて、同じくオリエンテーリング強豪校である、麻布高校や桐朋高校のメンバーを意識するようになって。そのなかで1番になるのは、イコールJWOC(ジュニア世界選手権)に出ることというような感じだったので、出るしかないということで、高1のときにスロバキアの大会に出ました。

全国同期との、インカレでの集合写真📷

 大学に入ってからは、もう本当にインカレ(日本学生選手権)が一番でした。その雰囲気、規模感の大きさと、応援と。なんて言うんですかね。この一年に一回しかないイベントへの熱量はすごくて。インカレは、高校のときから強化選手として走らせてもらってはいましたが、そこを早く走りたいなと結構前から思っていて。インカレは、自分の中でのプライオリティーになりましたね。そのなかで1番を目指すというところで、ユニバー(WUOC、世界大学選手権)の代表も目指していたので、2018年フィンランドのユニバーに出られたのはすごく良い経験だったなと思っています。 

 社会人になってからは正直あまり。今年の元旦になるまではオリエンテーリングとどう向き合えばいいかよくわからなくて。ずっと考えて、というか、うまく自分の気持ちを行動にできなかったのもあって。

 今の自分も、オリエンテーリングの向き合い方としては、自分の中でできるベストレースをして、その中で目指せるレベルの一番上を狙うといいところですかね。それが実際には、今年の2月の全日本スプリントM21Aクラス優勝という結果に。そこが自分の中で一番目指せる高い目標だったので、そこに向けてしっかりトレーニングして結果を出せたのでよかったかなと思っています。

ー復帰1か月で優勝、さすがです。ブラジルでも、このまま競技を続けられるということですが、また日本に戻ってきたときの目標などありますか。

 学生のときは、勝てないと面白くないというのは正直ありましたが、社会人になってからも、オリエンテーリング自体がやはり面白くて。なおかつ、その競技の結果は置いておいても、早く走れる状態で取り組むオリエンテーリングはすごく楽しいので、そのレベルはずっと続けていきたいな、と思っています。

2018年度(大学3年次) 
ユニバ―にて、疾走する種市さん

―ちなみに種市さんにとってオリエンテーリングの面白さは何ですか?

 難しいですね...笑 でも、やはり大会の当日と、スタート枠に入るまでの高揚感、その不安な気持ちと楽しみな気持ちが混ざったような高揚感がすごく好きなので。初めてのコースを走るところもあるんですけど、未知の体験に向かっていく感じの緊張感はすごく好きですね。

―中毒性ありますよね。

 そうそう笑 まさに僕が社会人になって、なかなか経験できなかった気持ちでもあったので、そういう高揚感も体験したいなというところもあって。そのうえでただ楽しみとして出るよりはちゃんと目標を決めてトレーニングして、自分に対してもこれだけやったから結果が欲しいなというところまで気持ちを上げてから大会に出たかったです。

 オリエンテーリングという単体よりは、目標を持ってレースに出るときにより楽しさが増してくるのかなと思います。

学生時代、一番たのしかったことは?

2019年(大学4年) 
東大OLK 追い出しオリエン(追いコン練)

ー大学時代の種市さんについて聞かせていただければと思います。色々な思い出があると思うのですが、全部含めて4年間で何が一番楽しかったですか?

 一番というのは難しいんですが…。オリエンテーリング中心の大学生活であったので、毎週、水トレと木トレに行って、火曜日に早大OCのペゴさんとかとペゴトレをやって、土日はオリエンテーリングして、ずっとオリエンテーリング漬けでしたが、その日々のトレが毎回毎回楽しかったなというのがあります。

 一番大きなイベント、インカレに向けて、日々トレしていくなかでみんなと話して、みんなの目標を聞いたり、そこに向かってやっていく姿を傍で見たり、一緒に共感しながら過ごせた日々が、楽しかったなと思ってます。

 逆に二人はどうですか?

ー(二人とも)インカレリレーを女子チームで走った経験ですね。

 やっぱりインカレですね笑

学生時代、一番悩んだことは?

ー逆に4年間で一番悩んだことがあったらお聞きしたいです。

 やはり先程の就活(前編参照)の話になりますかね。就活はオリエンテーリングと違って、努力が必ずしも結果が結びつくわけではない気がするんですよね。マッチングというか会社との相性もあるので、そこは苦労したなと思っています。だから、たくさん受けたけど打率はかなり低かったなと。

ー選考に落ちたりすると、精神的にもダメージをうけたりして。

 そうそう。
 
 あとは悩んではないですが…、2年生のときにインカレスプリントを個人競技で一番大事にしていたのですが、そこで初めて優勝して。当時自分の一番の目標だった伊藤樹選手に勝ったこともあって、ある意味で達成してしまった感じがありました。

 終わった直後の1ヶ月ぐらいはなかなかそれ以上のモチベーションが湧いてこないというか、作り上げたモチベーションが全部その日醸成してしまって。
 
 ただ、その後、春のリレーに向かってリレーセレやそういうのもあって、また気持ちが戻っていきましたが….。そういう時期もありましたね。

春インカレが中止になったとき

ー就活の話をお聞きしたときに、オリエンテーリングをやり切ったとおっしゃっていたと思います。最後の春インカレがコロナ禍で中止になっているじゃないですか。2年生、3年生のリレーで優勝して、3連覇がかかっている。その春インカレがなくなってしまったときに、「やりきった」という気持ちにどう変えていったのでしょうか。

 4年生のインカレスプリントは失格、ロングは3位で、全然嬉しくなかったというか、達成できずにいて。その後怪我が続いてしまいました。

 11月に全日本スプリントの予選で左足を踏み抜いて、途中倒れたのですが通過して。決勝はかなり腫れちゃっていて、走らない方がいいとは思ったのですけど、どうしても走りたくてロキソニンをたくさん飲んで走ることにしました。

ー踏み抜きした後ですか…。

 そうです。だから、足底を地面にはつけずに、つま先だけで走りました。走り始めると意外と痛みはなくなるのですが、そこから1ヶ月ぐらい走れませんでした。

 それで、復帰戦も調子が上がらないなかで12月の全日本リレーを愛知県のチームで走ったのですが、こけてしまって。左足がまだその完全に治ってない中なかで右脇腹の肋骨が折れちゃって。

 でも、そのままレース走って、結果的にチームは途中まで1位だったんですけど、最終的に4位になってしまって。

 そこからまた1ヶ月ぐらい離脱になって、年明け、4年生の最後の1月ぐらいにようやく復帰して、そこから2ヶ月で急激に早くなりました。ほとんど一回も負けないぐらいで。最後の春インカレは本当にもう万全、多分、今まで一番早いレースできるかなと思っていました。でも、結果的にはコロナ禍でなくなってしまって。

 ただ、最後に(関東の選手が集った)山川Dreamという大会が、春インカレ代替大会としてあって、当時ずっと1個下の後輩、筑波大学の小牧選手と競っていたのですが、最後に勝負できる機会がありました。

 小牧と同じタイムで1位だったのもあって。自分の中でそれがラストのレースで、かつ、自分の一番いいレースができたなというのもあったので。リレーに関しては、やはり心残りはありましたが、そこで踏ん切りがついた感じでした。

 現役最後のレースで、うまく1位を取れたうえに、小牧選手と同タイムですごく嬉しかったな、というのを覚えていますね。

社会人でも競技をつづけたい学生オリンティアに向けて

インタビュー後、
駐在先のブラジルでの大会にて3位入賞🥉

ー社会人でも競技を続けたいと思っている学生に、何かアドバイスや、メッセージをください。

 社会人は最初のころは、特に学生との生活の違いでストレスがかかるところがあるから、そこに慣れてから、徐々にオリエンテーリングをやっていけばいいのかな、と思います。

 社会人になって、なかなかその仕事の中でオリエンテーリング、インカレを走っていたときの高揚感や楽しさを味わえるときが減ってしまうので、やはりできれば忙しくても、走って、たまには大会に出て、そのオリエンテーリングの面白さを忘れずに生活していくのがいいのかなと思います。

 あと、直近では卒業してから初めてインカレ運営に参加させてもらって。選手として走っていたときと同じくらい、楽しかったというか、熱量を持って大会に取り組めました。もし時間があって、オリエンテーリングへの思いが残っていれば、ぜひ社会人になってから大会運営をやってもいいのかなと思います。

ー私たちも、今年卒業された先輩方にすごくお会いしたいですし、本当にオリエンテーリングは学生に限らず色々な社会人の方とお話しできるのがすごく魅力だなと思っていて。今回も種市さんにお話をお聞きすることができて、人生がより豊かに、本当に尊い経験をさせてもらっているなと思います。社会人になっても、競技を続ける方がいらっしゃればいらっしゃるほどすごくいいなと思いますね。

大学生に向けて-インカレを楽しんで!-

ー最後に、大学生全体に向けて、何か伝えたいことがあればお願いします。

 オリエンテーリングの話になっちゃいますけど、やっぱりインカレが一番楽しかったなとすごく今でも覚えているので。

 そのときでしかできないことをやる、インカレに向けて頑張るのは、すごく大事なことかなと思います!

ブラジルでも頑張ってください🏁

長い文章になってしまいましたが、最後までお読み下さりありがとうございました。

ここでは載せきれなかったお話は、ポッドキャストにて聞くことができます。記事には載せきれませんでしたが、チーム作りや、新歓等、インタビュアーのお悩みをぶつけさせていただいています。

ぜひ、お聞きください。
ご意見、ご感想は、下記感想フォームよりお待ちしております❣️

【次回予告】
6月ごろ 橘孝祐さん (ES関東クラブ所属、横浜国立大学卒業)
7月ごろ 西村徳真さん (NishiPRO、京都大学卒業)
7月ごろ 前中脩人さん (練馬OLC所属、東京大学卒業)
8月ごろ 村上巧さん (横浜OLC所属、東京工業大学卒業)
お楽しみに!

感想お待ちしています!

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