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#夢

♯105 おかしい夢

♯105 おかしい夢



廊下の先の和室から笑い声が聞こえてくる。
おじいちゃんとおばあちゃんは本当に仲良しで、いつでも2人でも楽しそうだった。

「何がそんなに可笑しいの?」

気がつくと私は祖父母の前に座っていた。

「これよ、これ」

祖母が入れたてのお茶を見せてくれると、その中には茶柱が立っていた。

「ばあさんは茶柱立てる天才や。世界選手権出れる!」

祖父の声に祖母がまた笑い出す。

「そんな選手権ありませ

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♯103 瑞々しい夢

♯103 瑞々しい夢



「お父ちゃん!」
その声に顔をあげた。頭上に張り広がる蔓の間からぶら下がる無数の葡萄達。
「好きなん、もいで食べてんまい」
「え〜、じゃぁあれ!」
娘は笑顔で目先にある葡萄を指さした。
「どれ」
伸ばした手はシワだらけ。あれ? 自分の腕ってこんなんだっけ?
娘は笑顔で葡萄に吸い付くと満面の笑みを浮かべた。
「お父ちゃんの葡萄が世界でイッチバンや!」
……そうか、という声は出なかった。頭上の畑に

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#89 祭の味の夢

#89 祭の味の夢

ドミノとシイナ達は次の夢へ。

しばらく河原の様な道を進むと、太鼓の音に笛の音が響いてきました。

「何か賑やかですね」

ドミノは少し賑やかな雰囲気に村を思い出しました。

「た、楽しそうな声」

シイナは珍しさを感じました。

マロンが鼻をクンクンさせ、ササッと夢主から夢のカケラを取ってきました。

「なんですか? これ」

ドミノはシイナの手にある丸い不思議な形の物を覗きこみました。

「こ

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#87 日の実の夢

#87 日の実の夢

ブースには「夢のカケラ」を持つ迷人(まよいびと)が次々と集まっていました。

ドミノとシイナ、護衛の明は次の夢へと介入を急ぎました。

____

「ま、眩しい!」

扉をくぐったその先は太陽の降り注ぐ広い畑ででした。ドミノはそれがすぐに「トマト畑」だと分かりました。

「夢主はどこでしょうか?」

ドミノは畑に座る沢山の人に目を向け、眉をハの字に困らせました。
 
「どうやら、見つけたようですよ

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#86 静かな夢

#86 静かな夢

ドミノとシイナは次の迷人(まよいびと)の夢へと入り、夢のカケラを探しました。

………ブクブク……コポポ………

「ま、まるで海の中みたい!」

シイナは器用に水底を歩き、水の天井を指差しました。

「シロイト? この夢の夢主を探せますか?」

シロイトはまるで飛ぶようにグングンと水中を進んで行きました。

「水の中でも息、できるんですね」

護衛の明かりも付いてきます。

「夢、ですからね」

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#83 シロイト&マロン

#83 シロイト&マロン

ドミノはシロイトとマロンに声をかけました。

「さぁ、出発です。夢の中に介入しカケラを1つ取りましょう」

しかし、シロイトもマロンもやる気を見せません。

「あ、あれ? どうしたの? ほら行くよ!」

シイナのかけ声にも2匹は無反応です。

さぁ、困りました。

すると、ブースの責任者である向人(むこうびと)のシゲルが2匹の前に歩みよりました。

「全てが終わったらこれをあなた達に差し上げます」

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123話 夜明け

123話 夜明け

向人(むこうびと)の屋敷での話し合いの帰り、ファミリーの御隠居・火日(ひひ)と天火(てんび)に「護衛をつけるからそいつも夢のカケラ採取に同行させてくれねぇか」という相談を受けた。ドミノはすぐ答える事ができず迷っていたが、それを察したシイナが「2人で考えます」と返事をした。

※ ※ ※

8の巣ブースの部屋に戻ってくると、ドミノは深いため息をついてソファーに腰を下ろした。

「つ、疲れましたね」

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♯73 つつつ……

♯73 つつつ……

つつつ……と、大きな者がやってきました。

ドムはもう、どんな者が来ようと怖くはありません。

つつつ…とやって来た者は、笑顔で草むらに座りくつろぎ始めました。

BOX SPACE:夢現 122話より
一方その頃墓守の小屋(山)での生活は…的なイラストです。
(物語と一緒にお楽しみ下さい)

墓守だった兄・ドミノから役目を引き継いだ新人墓守のドム。ドムは、夢の解体時に生まれた「星の子」ミィとチィ

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♯71 ペタペタ……

♯71 ペタペタ……

ペタペタペタ……何かが近づいてくる音がしました。

「僕も混ぜて〜」

何だかよく分からない子も仲間入りです。

BOX SPACE:夢現 120話より
一方その頃墓守の小屋(山)での生活は…的なイラストです。
(物語と一緒にお楽しみ下さい)

墓守だった兄・ドミノから役目を引き継いだ新人墓守のドム。ドムは、夢の解体時に生まれた「星の子」ミィとチィと墓守の小屋(山)で一緒に暮らしています。

♯62 木漏れ日の中

♯62 木漏れ日の中

大きな墓守の木を回り込むと、そこは王達の墓の中。

ドムはこんな景色を見た事がありませんでした。

「あれ? あんな所に家がある……」

ドムはゆっくりと木漏れ日の中を歩き出しました。

BOX SPACE:夢現 111話より
一方その頃墓守の小屋(山)での生活は…的なイラストです。
(物語と一緒にお楽しみ下さい)

墓守だった兄・ドミノから役目を引き継いだ新人墓守のドム。ドムは、夢の解体時に生ま

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111話 墓の真実

111話 墓の真実

ドミノはついに「墓には何があるのか?」の長年の疑問を守護柱・リスのラルーに質問した。墓守として墓(の入り口)で歌ってきた意味を知りたい、その思いは世界の姿を知る一歩になる。その問いは、その場にいたもの全員を黙らせてしまった。

※ ※ ※

守護柱・リスのラルーは皆の視線を浴びて逃げ場を失ってしまった。
さらに深いため息をついてポツリポツリと呟き出したその言葉は、静寂に包まれた部屋の中では

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110話 衝突

110話 衝突

夢のカケラを集める方法を話し合う者達。ファミリーの御隠居、向人の屋敷の田中家、そしてコントラのドミノとシイナ。ドミノは夢主の夢を傷つけない夢のカケラの採取方法を提案した。それは、夢主と思いを共有し、コントラの感覚をかじらせるというものだった。

※ ※ ※

大きな机の上で俯いた守護柱・リスのラルーは小さな息を吐いた。

ファミリーの御隠居、向人の田中一族、そしてコントラのドミノとシイ

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♯61 墓守の木

♯61 墓守の木

洞窟の外の明るさにドムは目を細めました。

「わぁ……」

そこには、墓守が何代も何代も見守ってきた様な大きな木。

ドムは木漏れ日の中、その木をしばらく見上げていました。

BOX SPACE:夢現 109話より
一方その頃墓守の小屋(山)での生活は…的なイラストです。
(物語と一緒にお楽しみ下さい)

墓守だった兄・ドミノから役目を引き継いだ新人墓守のドム。ドムは、夢の解体時に生まれた「星の子

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