フクシ サトシ|JOY(株)代表

"オフィスステージング"のJOY株式会社代表取締役。趣味でショートショートをかいてます。

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最近の記事

現代寓話「ラッコとストーン」

これは、とある時代のラッコのお話し。 あるところに、3匹で仲良く暮らすラッコの家族がいました。 小さな子どもラッコだったヒカルも大きくなり、お嫁を探すお年頃。 両親とはもう海で流されないように手を繋がなくなり、親心としては嬉しいような、寂しいような。 ここ最近のヒカルは、自分のストーンを使ってお嫁さん探しに夢中です。 母はその姿を見ては少しヒカルをからかいます。 「も〜、家でもそれ触ってばっかりね。あ、この前マッチした娘とはどうなったの?」 ヒカルは照れ臭そうに

    • メモ魔塾がオープンキャンパスを開催します!

      突然の告知になりますが、 僕が各種発信をさせてもらうキッカケになっている メモ魔塾が #オープンキャンパス を開催する ということで、お知らせさせていただきます! 中身が見えないオンラインサロンを覗くチャンスですので、興味ある方は是非に!! 気になる方はコメントを気軽に下さい〜✨ 以下、メモ魔塾オープンキャンパスより引用 【メモ魔塾オープンキャンパスのお知らせ】 メモ魔塾では、オープンキャンパスを、11/20(土),21(日)に開催いたします!🥳 メモ魔塾に

      • 「君に贈る火星の」 #ショートショートnote杯

        一通の手紙と、”謎の石”が届いた。 差出人を確認すると、遠く離れて暮らす弟からだった。 紙の手紙なんて、いつぶりだろう。 まして、あの、口下手で無口な弟からなんて。 ”姉ちゃんへ 姉ちゃんには、俺が生まれてから、本当に世話になりっぱなしだった。 俺が困った時は、いつも姉ちゃんが現れて、助けてくれた記憶でいっぱいです。 それなのに、大したお返しもできず、お礼をしたこともなかったよね。 今日はその気持ちだけでもと思って、こうして手紙と贈り物をさせてもらいました。

        • 「金持ちジュリエット」 #ショートショートnote杯

          『金持ちジュリエット』 彼女がそう呼ばれるようになって久しい。 ここ最近は、彼女の振る舞いも その名に恥じぬ堂々としたものになったように感じる。 色白で小顔のジュリエットは、非の打ちどころのない端正な顔立ちをしていた。 まさに、この世の男性全てを虜にするような素晴らしい美貌の持ち主である。 彼女の身なりもまた、妖艶な魅力を放っていた。 奇抜なデザインが施された真紅のドレスは、有名デザイナーの特注だろうか。 煌びやかな指輪、ピアス、ネックレスなどのアクセサリーに

        現代寓話「ラッコとストーン」

          「空飛ぶストレート」 #ショートショートnote杯

          長年の夢が、今、まさに叶った。 私は、「空飛ぶストレート」を手にしたのだ。 『これさえあれば...』 目の前に浮かぶ手のひらサイズの球体を眺めて私はつぶやいた。 これまでの道のりは、決して平坦ではなかった。 ユニフォームを着用しながら、長時間にわたる厳しい訓練。 とても簡単とは言えない、専門的知識の学習。 どれも、今思い出しても、”楽しかった良い思い出”とは言えないものばかりだ。 心身ともに疲弊したが、それらが私を強い人間にしてくれたのは間違いない。 共に切

          「空飛ぶストレート」 #ショートショートnote杯

          「コロコロ変わる名探偵」 #ショートショートnote杯

          ” 都心の大通りから少し入ったところにある、小さなビル。 一階にはコンビニ、地下は駐車場となっており、上の方の階は事務所に使われている。 『西野探偵事務所』 と看板を掲げる事務所の一室で、キレイなスーツに身を包んだ男性が二人、なにやら話し込んでいる。 「橋本さん、初めまして。よろしくお願いします。」 茶を出された客人が、少し緊張しながら手短に挨拶をした。 「初めまして。こちらこそ、よろしくお願いします。松村社長のご紹介であれば、なんでも引き受けますよ。」 後か

          「コロコロ変わる名探偵」 #ショートショートnote杯

          「数学ギョウザ」 #ショートショートnote杯

          「ねぇ、”ギョウザ”って聞いて、何を思い浮かべる?」 留学生のランちゃんが僕に聞いてきた。 「え?なにって、そりゃあこの餃子だろ?他にある?」 僕は学食の餃子定食を食べながら答えた。 「日本ではそうよね。でもね、私の国では違うのよ。」 「え?じゃあどんな意味があるの?」 文学部に所属する僕は興味本意で聞いた。 「例えば、ニンニクとニラが混ざった匂いのことを”ギョウザ”って言うわ。あとは、口の中で肉汁が溢れる感覚のことも”ギョウザ”って言うわね。」 「へ〜!」

          「数学ギョウザ」 #ショートショートnote杯

          「違法の冷蔵庫」 #ショートショートnote杯

          勝負の時がやってきた。 「ただいま〜」 「お、おかえり〜」 私はスマホを見ながら、必死に平然を装う。 「ご飯すぐ食べるよね?先お風呂入る?」 「お腹すいたー。ご飯にするー。」 僕は我が家の食事担当。用意していた夕飯のセットを始めた。 今日の妻はいつもに増して疲れているようだ。 そうだ、食後には、実家から届いたリンゴを剥いてあげよう。 炭水化物を気にする妻に配慮して、茶碗には小盛りにご飯をよそった。 最後に、ジャガイモと玉ねぎの味噌汁を温めて......

          「違法の冷蔵庫」 #ショートショートnote杯

          「アナログバイリンガル」 #ショートショートnote杯

          多様性が世の中に浸透して久しい。 違いを認める文化が日本でも当たり前になったことが嬉しいとじいちゃんは話す。 「ごめん、仕事の電話さ、かがってきた。わんつか待ってで。」 じいちゃんと話す時は、僕も津軽弁が出る。 「年寄りは暇すてらはんで、ゆっくりでいじゃ。」 「せば、じいちゃん、切るね。...あ、お世話になってます。折り返しのお電話いただいちゃってすみません。先日送付した資料の件ですが......」 流れるように標準語に切り替えて喋る僕は、立派なアナログバイリンガ

          「アナログバイリンガル」 #ショートショートnote杯

          「株式会社リストラ」 #ショートショートnote杯

          ”株式会社リストラ” 私が代表を務める会社の名前だ。 文字通り、リストラを専門とするコンサルティング会社だ。 表向きは。 私の名刺を手渡したコンサル先の社員は青ざめた顔をする。 名刺を手渡した後の反応は様々だ。 一切会話ができなくなる者。 私に向かって怒鳴ってくる者。 名刺を投げ返してくる者なんかも、珍しくない。 お察しの通り、楽な仕事ではない。 米国のリーマンショックで、我が社が大活躍したことは、想像に易いことだろう。 先日、日本の政府から声がかかり、

          「株式会社リストラ」 #ショートショートnote杯

          「1億円の低カロリー」 #ショートショートnote杯

          「いかにカロリーをかけずに1億円作れるか。これで勝負しようぜ。各々好きな方法でいい。得意分野も違うしな。どうだ?」 六本木で酒を飲みながら、友人の一人が言い出した。 『面白そうじゃないか。』 素直が取り柄の私も、その時、このゲームに乗った。 起業家としての手腕が試される。 集まっていた友人たちは皆、負けず嫌いであることはわかっていた。 ちょっとしたゲームの提案だったが、その場にいた全員の目の色が変わっていた。 『さて、私はどうしようか。』 「...そんな時代も

          「1億円の低カロリー」 #ショートショートnote杯

          「しゃべるピアノ」 #ショートショートnote杯

          「しゃべるピアノがあると聞きました!」 少年が大人に向かって質問をした。 「ああ、その通り。知り合いのツテでね、つい先日観に行ってきたところだ。というより、話してきた、といった方が正しいかな。」 きらびやかで立派な服に身を包んだ男性は答えた。 「本当ですか。なんでも、噂では、音楽のセンスのある人でないと話はできないとか、なんとか。さすがですね。」 「そんな噂まであるのか。私は、そんなこと、知らなかったが。」 「で、どんな話をしたんです?」 「えーまあ....。そ

          「しゃべるピアノ」 #ショートショートnote杯

          ショートショート 「金の斧、銀の斧」

          #ショートショート とある町の初夏の日の湖。 水面にはキラキラと太陽が反射し、 キレイに澄んだ水色は清涼を感じさせる。 ここは、地元の住人でもごく少数しか知らない特別な避暑地であった。 「梨園のおっちゃんが言ってたのはここか。来るのには苦労したが、とてもキレイなところだ。おっちゃん、こんなに素敵なところなら、もっと早く教えてくれたらよかったのにな。まったく、もったいぶって。」 H氏は近所の老人から教わったこの秘密の場所に到着し、一息ついた。 と言っても、老人の教

          ショートショート 「金の斧、銀の斧」

          ショートショート 「戦場に響いた銃声」

          #ショートショート 私のこの命には、大した意味はない。 本気でそう思っている。 捨てるために生まれたような私は、今日も戦場へ出向く。 この世界は広大で、豊かで穏やかな日々を過ごしている人がいることも知っている。 かつては私もそっち側のカラフルな世界で暮らしていた。 争いのない、平和な世の中。 暖かい言葉と笑顔が溢れ、人々が助け合っていた。 でも、それはもう昔の話。 今は、目を開けてあたりを見渡すと、殺伐とした世界が広がっている。 あちこちで爆撃が起こっては

          ショートショート 「戦場に響いた銃声」

          ショートショート 「処方箋の意味すること」

          #ショートショート 都会から少し離れた住宅街で町医者を営む G医師は、地域住民に信頼されており、 ”良い先生”としてこの辺ではちょっとした有名人だった。 G医師のクリニックで重症患者の対処は難しくとも、 そんなものはG医師に紹介状を書いてもらえば良い。 G医師の営むクリニックには 今日も、身体に少しだけ不調のある地域の住人たちがやってくる。 「G先生、子どもが熱っぽくて・・・」 「G先生、喘息の具合が最近悪くなって・・・」 「G先生、指先の痺れがひどくなっ

          ショートショート 「処方箋の意味すること」

          ショートショート 「恋人レンタル」

          #ショートショート 「・・・以上がレンタル彼氏のお仕事の内容説明になります。なにかご質問はございますか?」 パソコンの画面に映る中年男性がN氏に問いかける。 「いや、大体わかりました。ありがとうございます。そしたらこれで面接も終わったら、すぐ仕事が始まる感じですか?」 N氏は自分の部屋で一人、パソコンに向かって質問を返した。 「そうですね、我々のサイトへ登録が済み次第、すぐにお仕事開始となります。N様ならきっとすぐにマッチして、お仕事が始まると思います!また、困った

          ショートショート 「恋人レンタル」