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「金持ちジュリエット」 #ショートショートnote杯


『金持ちジュリエット』

彼女がそう呼ばれるようになって久しい。

ここ最近は、彼女の振る舞いも

その名に恥じぬ堂々としたものになったように感じる。


色白で小顔のジュリエットは、非の打ちどころのない端正な顔立ちをしていた。

まさに、この世の男性全てを虜にするような素晴らしい美貌の持ち主である。

彼女の身なりもまた、妖艶な魅力を放っていた。

奇抜なデザインが施された真紅のドレスは、有名デザイナーの特注だろうか。

煌びやかな指輪、ピアス、ネックレスなどのアクセサリーには宝石がいくつも散りばめられ、観るものを魅了している。

天蓋付きベッドから、こちらに微笑む彼女を観ていると、思わずこちらまで笑顔にさせられた。


「あぁ、彼女が欲しい。」

「彼女を私だけのものにしたい。」

「ジュリエットのためならいくらでも金を出すのに!」

こんなことを言う人は、一人や二人ではなかった。





『金持ちジュリエット』

私が描いたこの作品は、絵画史上最高額で落札された。




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