「空飛ぶストレート」 #ショートショートnote杯
長年の夢が、今、まさに叶った。
私は、「空飛ぶストレート」を手にしたのだ。
『これさえあれば...』
目の前に浮かぶ手のひらサイズの球体を眺めて私はつぶやいた。
これまでの道のりは、決して平坦ではなかった。
ユニフォームを着用しながら、長時間にわたる厳しい訓練。
とても簡単とは言えない、専門的知識の学習。
どれも、今思い出しても、”楽しかった良い思い出”とは言えないものばかりだ。
心身ともに疲弊したが、それらが私を強い人間にしてくれたのは間違いない。
共に切磋琢磨した友人たちは、同時にライバルでもあった。
才能がありながらも、少しづつ離脱していった彼らの想いも、私はこの”ストレート”に乗せている。
無色透明の美しい球体は、私に近づいてくる。
『ゴクリ』
昔からの夢、「空飛ぶストレート」。
ついに”そいつ”を手にして、一息で飲み込んだ。
選ばれしコスモノートの特権。
「空飛ぶ”ウォッカ”ストレート」
天にも登る高揚感が、宇宙にいる私を包んだ。
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