「アナログバイリンガル」 #ショートショートnote杯
多様性が世の中に浸透して久しい。
違いを認める文化が日本でも当たり前になったことが嬉しいとじいちゃんは話す。
「ごめん、仕事の電話さ、かがってきた。わんつか待ってで。」
じいちゃんと話す時は、僕も津軽弁が出る。
「年寄りは暇すてらはんで、ゆっくりでいじゃ。」
「せば、じいちゃん、切るね。...あ、お世話になってます。折り返しのお電話いただいちゃってすみません。先日送付した資料の件ですが......」
流れるように標準語に切り替えて喋る僕は、立派なアナログバイリンガルだ。
自動翻訳技術が進化して、母国語で外国の人と話すことも当たり前になった。
アナログ言語と言われる日本語は、どのように各国の言葉に変換されているのだろう?
こんなことを考えるのは、人一倍、方言に愛着のある僕だからかもしれない。
うん、やっぱりアナログバイリンガルは僕の強みだ。
だって、自動翻訳が未だに対応できない津軽弁を愛する若者なんて、今や僕くらいだもんね。
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