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第4回とびしまナース・リトリート モニターツアーが行われました!


はじめに

島では温州みかんのシーズンも終わり、ポンカン、かんぺい、きよみ、八朔やいよかん、不知火などなど雑柑といわれる柑橘が出回り始める時期になりました。
暖かな年始からぐっと冷え、雪がちらついていた1/22-24の日程で、第4回とびしまナース・リトリート モニターツアーを開催しました。モニターツアーも、今回で最後となります。

募集要項はこちら↓
【医療介護従事者・必見!】第4回とびしまナース・リトリートツアー(モニター版)

住民の暮らしを感じながら、久比(くび)にご到着!

今回は呉市内の急性期総合病院で現役看護師長をされているゲストがいらっしゃり、ますます地域に密着したリトリートになりました。地域の方々の足である路線バスに揺られながら、島から呉市街地へ通院される方々の様子なども垣間見られたようです。

バスで島々をぐるりとまわり、久比へ。
気温は低くてもお天気にも恵まれ、昼間は暖かく過ごせました。

初日は「重荷を下ろ」し、ご自身の人生も「棚卸し」。

今回のゲストは、ふるさと納税型のクラウドファンディングに挑戦され、呉市内で初となるホームホスピス開設に取り組まれている伊藤由夏さん。
【ふるさと納税型】 広島県呉市に初めての「ホームホスピス」を設立します! - クラウドファンディングのMotionGallery (motion-gallery.net)

わたしたちナースアンドクラフトが運営する、地域の訪問看護ステーション"うらにわ"も、「住み慣れた島で最期まで」を支えるために奮闘しています。島しょ部の医療資源の少ない環境でも在宅で納得のいく最期を過ごしていただけるように試行錯誤の日々、同じ呉市内で志を持って活動されている方の参加とあってスタッフ一同、伊藤さんにお会い出来るのをとても楽しみにしていました。

一日目には、伊藤さんの活動の参考になるように、弊社深澤代表とのお話のお時間もたっぷりとらせていただきました。

チェックインでスマートウォッチを装着してモニタリング開始!

初日の夕食はバー邂逅で。
自己紹介も含め、スタッフと食事を共にしアイスブレイクしていきます。
久比にはこんなおしゃれでシックな空間もあります。

いい意味で期待を裏切ってくれる、バー邂逅でのお食事タイム。

気持ちは「嘘じゃない」。だけど、ひとりで背負うには「重い…」。

おなかも満たされ、夜の分かち合いの時間へ。
フリータイムでとびしまナース・リトリート特製「ライフデザインノート」に取り組まれ、ご自身のライフヒストリーを集中して振り返ってくださった伊藤さん。ナースの道を目指された幼少期の体験、まっすぐにナースとして働いて来られた歩みや、ご自宅でお母さまを看取られたこと、ホームホスピス開設の想いに導かれたこと、現在の葛藤…正直に色んなことを分かち合ってくださいました。

キャンドルの炎と暖かな室内でいつも以上にゆっくりお話をお聞きしました。

伊藤さんのお話を聞くうちに、ホームホスピスの開設に当たり様々な課題があって、なかなか前に進めないという葛藤を抱えていらっしゃるということも明らかになってきました。
ナースとして努力が実る環境で、これまでまっすぐに働いて来られた伊藤さんにとっては、自分でゼロから道をつくるということ、また、暗中模索の状態で応援してくださっている方々の期待に応えなきゃいけないと感じていることは、とても重い「重荷」となっているように思われました。
ただでさえ「看取り」に関わることには、重くて暗い空気がまとわりつきます。応援してくださっている人々も、伊藤さん「だけ」にしんどい部分を押し付けようとしている訳ではないでしょうし、「大変だけど豊かな分野」に取り組もうとしている伊藤さんの想いにも嘘はないでしょう。でも、そのことを語るときの伊藤さんの表情は希望とやる気に満ちてキラキラしているというよりは、うつむきがちでした。計画を立てている手前、焦る気持ちはあるでしょうが、伊藤さんの夢がいつの間にかご本人だけのものでなくなっていて、気持ちがついていっていないように感じました。
取り組んでいる「夢」が独り歩きして「重荷」になってしまっているのでは…?
伊藤さんの「重荷」はどうしたら下ろせるのか…
「自分の人生は自分で選び取る」。伊藤さんが「大切にしていること」を「大切にし続ける」ためには、一旦立ち止まってもいいのではないかな。少なくともここにいる時間は、師長であることも、ホームホスピス開設のこともひとまず横に置いて、心が喜ぶことを味わっていただきたいなと思いました。
語り合いの場は答えを出すところではないので、いつまででも話し続けたくなりますが、いつもより長い夜も明日に備えてお開き。

2日目は、冬の島を舞台にインプットの一日!

朝は尿検査でご自身の栄養状態をチェックいただき、まめな食堂でゆっくり朝食。忙しいナースにとって、自分のために用意された朝ごはんをゆっくり食べることは、とっても贅沢なひととき。

久比での朝は、お天気に雪がちらちら。

ないもんはない。だからこそ、工夫が育つ地域医療。

インプット1発目は、私たちの活動拠点、安芸灘とびしまエリアの医療介護資源についての説明から入ります。病院の看護師さんにとって、指示を受ける医師がすぐそばにいないという環境はあまり体験することがありません。
地域で看護活動を行うにあたり、使える医療介護資源を把握して、地域の方々と一緒にうんうん頭をひねって工夫してやりくりします。分からないことだらけ、諦めなきゃいけないこともある、そういったことも含めて、わたしたちも、地域や住民のみなさんに育てていただいています。まだまだ発展途上の我々の取り組み。

とびしまエリアの現状をお伝え。文字に表れないエピソードもたくさんあります。

そのあとは担当スタッフ吉田による、尿検査アプリで解析したゲストの栄養状態の解説と日本の医療介護課題や、先進テクノロジーを用いた取り組みの紹介。
午後のお料理教室で必要な具材も明らかになります。伊藤さんは自炊されていることもあってか、結果良好!ただ野菜不足があるとのことで、お料理に使う食材はたくさんの「野菜」。担当の後東シェフに伝えられます。

お料理教室で用意された食材たち。

そのあとはぽかぽか日差しのなか、外へ。
敷地内からそのまま地域の案内を、実際のエピソードを交えてご紹介します。
寒いせいか、住民のみなさんはおうちにこもっているよう。柑橘の木々が歓迎してくれていました。

島には狭い細い裏道がいっぱい。
バー邂逅前には、お正月の名残が。

お昼には、まめな食堂で「一般社団法人まめな」についてのお話を聞きながらランチ。続けて、梶岡まめな代表理事の実践の場、オーガニック畑にお邪魔します。
代表理事の車を待っている間に地域のみなさんが入れ代わり立ち代わり待ち合わせのスーパーに来られ、ご挨拶。普段からみなさんとの緩やかな繋がりがある現場も見ていただけました。これも地域に根付くナースならではかも知れません。

レモンなどの柑橘収穫はまだまだ出来ます。
冬の澄んだ空気の山も気持ちがいい。

畑の説明を聞き、なっている甘い柑橘をいただきながら、自然に生かされている自分自身も感じます。あまり手を入れずに、ほったらかし農法で自然の恵みをいただいている梶岡さんの畑ですが、自然相手なので楽なことばかりではありません。イノシシやヒヨドリも甘い柑橘が大好物。その対策についても伺います。柑橘と相性の良い、ささげもまだ収穫出来ました。

青い空に黄色いレモンが可愛い。

久比の柑橘畑をあとにしたら、今度は隣の集落の大長(おおちょう)へ。

島の訪問看護は、100点を目指しません。

いつもお世話になっている訪問看護ご利用者さんのところへ一緒にでかけました。ご主人とお二人暮らし。認知症が進んでも、自分の居場所だと少しのサポートで安心して暮らし続けられます。

大長の町歩き。向かう途中で会う方々にもご挨拶。

おうちは病棟のようにはいきません。だけど、それでいいんです。おうちにおられるみなさんの表情をみればそれが分かります。
こちらでも美味しいみかんをご馳走になり、たくさんお話を聞かせていただきました。ゲストが来ることがはり合いになり、地域にも良い刺激になります。

この日は穏やかな瀬戸内海にしては少し波があったのですが、きれいな海を見に寄り道。

冬の海も美しくてつい、寄りたくなります。

そのあとは久比に戻って、お料理教室の時間。
本日のメニューは野菜たっぷりのスパイスカレー。スパイスの調合の仕方から教わります。敷居が高そうですが、特徴を掴めば意外と簡単で色んなカレーが作れそうです。

カレーは大きく分けて2種類あります、とカレー講義から。

日本人にもなじみ深いカレーですが、ちゃんと教わることは意外とないかも知れません。2種類のカレーと、付け合わせも教わりました。

ゲストはお料理上手で手際よく作業をされていました。
左は、野菜たっぷり、欧風カレーとスパイスカレーのいいとこどり。右は大根とレンズ豆のカレー。

食後には、サニーサイドアップのみかんのロールケーキと紅茶もいただき、久比グルメを満喫しました。

冬の久比のおすすめ!!

食後は恒例、焚火タイム。寒いかなと思いましたが、焚火を囲めばぽかぽかあったか。

焚火の炎で、芯から温まります。

暖を取りながら、1日のことを振り返ります。
日常から切り取られた、長いようであっという間の一日。
昨日の「重荷を下ろす」一日があることで心に余白が生まれ、体験を味わうことができるようです。
このツアーに参加されるみなさんはいつも感度が高く、こちらが逐一、説明しなくても色んなことを感じて、糧にしていってくださいます。
また、わたしたちスタッフとたくさん話すことで、仲間もできます。場所は違っても頑張っている者同士、通じるものは必ずあります。そして、ケアするナース自身も必要以上の「自己犠牲」をすることなく、喜んでひとに仕えられる落としどころを探っていく感性を磨けることも、このツアーの大切なポイントかも知れません。
室内に戻ってからも語り尽くせぬものをシェアする時間を持ち、長い長い冬の夜は更けてゆきました。

3日目は、「出発」!

久比では毎月恒例の農床おかず会(コミュニティランチ)が開催されましたが、ゲストはお仕事の都合で早朝に出発。まめな食堂の更科シェフのご厚意で最後の朝も温かい朝食を召し上がれたようです。
空気は冷たいけど、お日さまに守られた3日間でした。
伊藤さんの取り組みはこれから。ここでの滞在で取り組みへの明確な答えは見つからなかったかも知れませんが、自分の気持ちを見つめて改めて踏み出す景色は、また前を向けるきっかけになったのではないでしょうか。

"参加者の声"

”地域医療の課題やそれに向けた取り組みなど知りたかったことを知ることができ、自分の思いも整理できた。”
”毎食おいしくゆっくり頂きました! 3日目はこちらの都合なのに更科さんが温かい朝食を準備してくださって感激しました。念願の佐々木さんのケーキが食べれたことも嬉しかったです。 ワタルさんのスパイスカレー教室もとても楽しかったし健康になれた気がします。”

おわりに…

今回は、同じ呉市のナースさんの参加ということで、今後も地域の保健医療のために協力していくことができる関係作りもできたのではないかと思います。
医療に関わる仕事は、命や死に向き合うこともあり、大変でもある反面、とても豊かでやりがいのある仕事です。
わたしたちが関わっている在宅医療の分野でも、課題が山積している状況はよくあります。それらは、誰かひとりが頑張ってどうにかすることではなく、ひとりひとりが与えられた才能や想いを用いて協力し合って乗り越えていくことです。リトリートに参加してくださった方々とは、ここでの出会いをはじまりとして、一緒に励まし合える関係を持ち続けられたらと思っています。
みなさんも是非、頑張る力をチャージしに、また一緒に頑張る仲間を作りに久比へ遊びに来てくださいね!

焚火の力はすごい。

とびしまナース・リトリート特設サイトが出来ました!

モニターツアーは今回でおしまい。
今後は、ゲストの希望に沿って日程やプログラムを組んでいくツアーとして開始していきます。
ご興味のある方は、下記特設サイトをご覧いただき、お問い合わせください。


おまけのコミュニティランチの様子

今回は、特別に手に入った地魚を地域の方が手際よく捌いてくださいました!!「すごく大きい魚、これは何?」と聞くと、出世魚だから「ハマチの手前のヤズ」だそうです。
今日のメニューは、ヤズのお刺身、ぶり大根、あら汁と野菜たっぷりのお味噌汁、豚肉と祝蕾の炒め物、お手製たくわん漬けでした。

あっという間に解体されていきました。
みんな手さばきに興味津々。
ぶり大根(やず大根?)の準備中。
一升瓶の醤油で味付け。
お刺身のお代わりはいっぱいあるよ!

今回もみんなの助け合いのもと、新鮮なおさしみをおなかいっぱい食べられて、幸せな時間を過ごしました。

2月のコミュニティランチは23日(金・祝)の予定です。
是非どなたでも遊びに来てください!

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