見出し画像

いつかは移住 〜親の移住と、家族の記録#01〜

私の両親は、結婚してからずっと、関東地方の政令指定都市で暮らしていた。
真面目に働き、家を買い、子供を育て・・・というごくごく標準的な一般家庭。
子供たちが独立したあとは、夫婦ふたりのおだやかな生活を楽しんでいた。

私たち家族が住んでいた地域には、スーパーやショッピングセンター、ホームセンターもあり、日々の買い物には困らない。ほどよく自然もあり、散歩やウォーキングもしやすい。生活するにはなかなかいい環境だったが、両親は「死ぬまでここに住みたい」とは思っていなかったようだ。

両親、特に父親には、「いつか地方移住したい」という想いがあり、具体的な希望地もあった。
そこは中部地方の海沿いにある小さな町で、とりたてて何があるというわけでもないところなのだが、昔は海水浴客や釣り客で賑わっていたという。
父は大学生の頃から毎年仲間と遊びに行っていて、何年目かの夏にそこで母と出会い、結婚後は夏休みのたびに家族で訪れた。我が家の原点と言ってもいいかもしれない、そんな場所。海があり、山があり、空が広い。良くも悪くもそれだけの、静かな町だ。

「いつか住みたい」とは思っていても、父はまだ働いていたので遠方への引っ越しは不可能だったし、家族にとっても「老後はまだ先のこと」というイメージだったので、「いつか」はずっと「いつか」だった。
夢は夢のままかもしれない、そんな気持ちもどこかにあったかもしれない。

年に何回か夫婦で出かけ、数日のんびり過ごして、また普段の生活に戻ってくる。そんな楽しみ方で、両親はその町と付き合い続けていた。

ーー移住前の両親の生活ーー
●40年以上同じ生活圏で暮らす
●それなりに便利で生活しやすい環境
●「今すぐ」は無理だが、「いつか」移り住みたい場所がある

次回は、移住に向けて動き出すことになった背景についてです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?