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「プロジェクト発信型英語プログラム」(3ー1)....立命館大学生命科学部薬学部(在籍2008~2014)中間報告(2011)

「プロジェクト発信型英語プログラム....立命館大学生命科学部薬学部(筆者在籍2008~2014)中間報告(2011)」(1-1)(1-2)(2-1)(2-2)の続き(3-1)です。2011年掲載時そのままお届けします。



2008年~2010年までの3年間で何ができるようになったか

学生の皆さんは、将来、ライフ・サイエンティストとしてグローバル規模のプ ロジェクトに参加し貢献しなければなりません。それに備えるにはプロジェクト に参加できるよう発信型英語能力が是が非でも必要になります。本稿執筆中の 2011年5月現在、2008年に入学した1期生は4年生になり、Freshman English、Sophomore English、Junior English l & 2を終了しました。この秋学期には、この内、希望者のみ卒業論文(日本語)のアブストラクトを英語で書 き、プレゼンテーションすることになっています。更に、その内の何割かの人が 2012年4月に発足する大学院生命科学研究科に進学し、Graduate Englishを履 修します。それまでの折返地点にさしかかった今回は、成果の中間報告として、 2008年から2010年までの3年間を振り返り、プロジェクト発信型英語力を吟味 したいと思います。

前回、Projects(P)とSkill workshops(S)から成る本プログラムの構成を 説明し、成果についても簡単に触れました。履修者全員が人前で自分の日常生活 から学問分野の関心事についてリサーチして英語でプレゼンテーションしている こと、1500語から2000語のterm paperを書けるようになったこと、それらが TOEICテストの結果の上昇に表れていることなど、述べさせていただきました。 勿論、他大学の多くでもそれ以上の実績を上げているプログラムは多々あるものと思いますが、そうした成功例の中で理系の学生を対象にしたプログラムは数限 られているものと推察します。前回述べたとおり、理系カリキュラムは、1 年次より先に進むために不可欠な必修科目が目白押しに並んでおり、文系に比べ ると自由度が無くとてもタイトです。そんな中で英語のコマ数も少ない上に、予 習・復習に割ける時間も限られています。とはいえ、英語は研究媒体言語として 浸透しおり、ライフ・サイエンス専攻の先生方から、国際学会は言うに及ばず、 日本の学会でも英語で論文を書く場合が多いと聞いています。そうした背景をひ しひしと感じているのか、本プログラムの学生は、限られた時間をかなり有効に 使い英語プログラムに取り組むカルチャーを根付かせてきました。

全Project授業のシラバス、到達目標、FacebookとYoutube上にuploadした 授業風景

Project1(P1)からProject2(P2)に至る、全プロジェクト・クラスの到達 目標は以下のシラバスに記されている通りです。全てのプロジェ クト・クラスでは、1週目から15週目まで週ごとに授業の活動としてプロジェク トを進め、英語で進捗状況を書きWeb上のコースツールにuploadします。授業 内ではその課題も含め以下に示すような項目を中心に学びながらプロジェクトを 進め、その成果についてプレゼンテーション、ディスカッションなどの活動をし ます。

授業外活動報告をuploadし、コメントをし合えるコースツール (2011)

これらの諸活動については、本プログラムのWebサイト にて、FacebookやYoutubeを利用し て公開しています。特に、現在進行中のProject1(P1)、Project2 (P2)、 Junior Project1(JP1)の諸活動は逐次uploadされています。来る秋学期には Project2(P2)、 Project3(P3)、Junior Project 2(JP2)をご覧いただけ ます。 

Project1~Junior Project2のシラバス上に公開されている到達目標と毎回 の授業内容


使用テキストDo Your Own Project in English Volume 1 & Volume 2 (2011)  [* 1]

Project1 (P1)

1年次春学期 Do Your Own Project in English Volume 1 (2008鈴木佑治著、郁文堂)  Part Iに沿う。 到達目標・成果:Self-appeal、mini- project、mini -presentationができ るようになる。

1週目 (Unit 1)  自己紹介と他己(自分と他の人の)紹介を学ぶ 。
2週目 (Unit 2)    用意してきた資料を基に自己アピールをする。
3週目 (Unit 3)    リサーチとは何かを学ぶ。
4週目 (Unit 4)    リサーチの概要を考える。
5週目 (Unit 5)    アイディアの整理とテーマを絞る。
6週目 (Unit 6)    リサーチ方法の多様性を学ぶ。
7週目 (Unit 7)    オーラル・プレゼンテーションの原稿を書く。
8週目 (Unit 8)    中間ミニ・プレゼンテーションをする。
9週目 (Unit 9)    中間ミニ・プレゼンテーションをする。
10週目 (Unit 10) 質問をして答える ‐ 割り込みと繰り返しの表現 を学ぶ。 11週目 (Unit 11) 質問をして答える ‐ 確認と説明の表現を学ぶ。
12週目 (Unit 12) プロジェクトの報告書の書き方を学ぶ。
13週目 (Unit 13) ミニ・プロジェクトの成果の最終プレゼンテー ションを                                  する。
14週目 (Unit 14) ミニ・プロジェクトの成果の最終プレゼンテー ションを     
         する。
15週目 (Unit 15) ミニ・プロジェクトの成果の最終プレゼンテー ションを    
         する。

Project 2 (P2)1年次秋学期 Do Your Own Project in English Volume 1のPart IIに沿う。

到達目標・成果:Research、discussion、presentationのスキルを学び、本 格的なProjectを行う。

1週目 (Unit 16) リサーチとは何かを学び、プロジェクトを立ち 上げる。
2週目 (Unit 17) インタビューによるデータ収集の方法を学び、 インタビ  
         ューを行う準備をする。
3週目 (Unit 18) アンケート(questionnaire)によるデータ収集 の方法を                                   学び、アンケート項目を作る。
4週目 (Unit 19) マルチ・メディア資料を収集しサマリーを書 く。
5週目 (Unit 20) マルチ・メディア資料の収集を更に進めてサマ リーを書                                   く。
6週目 (Unit 21) プロジェクト成果の中間プレゼンテーションを する。
7週目 (Unit 22) プロジェクト成果の中間プレゼンテーションを する。
8週目 (Unit 23) パラグラフ構成を学び、収集した文献資料から 情報を収 
                               集する方法を学ぶ。
9週目 (Unit 24) 収集した文献をパラグラフごとに読み、情報を 収集す 
                              る。
10週目 (Unit 25) 読んだパラグラフのサマリーを書く方法を学 ぶ。
11週目 (Unit 26) 収集した文献のサマリーを書く。
12週目 (Unit 27) プレゼンテーションとレポートの構成を考え、 アウトラ   
         インをインを書く。
13週目 (Unit 28) プロジェクト成果の最終プレゼンテーションを する。
14週目 (Unit 29) プロジェクト成果の最終プレゼンテーションを する。
15週目 (Unit 30) プロジェクト成果の最終プレゼンテーションを する。

Project3 (P3) テキストDo Your Own Project in English Volume 2 (2009.鈴木佑治ほか著、郁文堂)Part IIIに沿う。

到達目標・成果:Group projectを行い、discussion、debate、panel discussionができるようになる。

1週目 (Unit 31) グループで共通テーマを考える。
2週目 (Unit 32) グループで共通テーマを考える。
3週目 (Unit 33) グループ・プレゼンテーションの表現を学ぶ。
4週目 (Unit 34) ディベートとパネル・ディスカッションのフォ ーマット   
         を学ぶ。
5週目 (Unit 35) ディベートの表現を学び、シミュレーションを する。
6週目 (Unit 36) ディベートの表現を学び、ミニ・ディベートを する。
7週目 (Unit 37) ディベートの表現を学び、ミニ・ディベートを する。
8週目 (Unit 38) パネル・ディスカッションの表現を学び、シミ ュレーシ 
                               ョンをする。
9週目 (Unit 39) パネル・ディスカッションの表現を学び、ミ ニ・パネ     
                              ル・ディスカッションをする。
10週目 (Unit 40) パネル・ディスカッションの表現を学び、ミ ニ・パネ   
                                 ル・ディスカッションをする。
11週目 (Unit 41) 最終発表の準備をする。
12週目 (Unit 42) 最終発表の準備をする。
13週目 (Unit 43) 最終発表の準備をする。
14週目 (Unit 44) グループ・プロジェクトの成果について、ディ ベートか                                  パネル・ディスカッションをする。
15週目 (Unit 45) グループ・プロジェクトの成果について、ディ ベートか                                  パネル・ディスカッションをする。

Project4 (P4) Do Your Own Project in English Volume 2のPart IV に沿う。

到達目標・成果:Advanced project を行い、academic writingの手法を学 びながら、term paper を書きプレゼンテーションする。

1週目 (Unit 46) Advanced project、 academic writing presentationに触れ   
                             る。
2週目 (Unit 47) Academic writing の特徴を考える。
3週目 (Unit 48) Prewriting 活動1、Free writingを通してアイ ディアを練 
                              る。
4週目 (Unit 49) Prewriting活動2、情報を集める。
5週目 (Unit 50) Drafting 活動1、本論のパラグラフ・ライティ ングを書き
                                始める。
6週目 (Unit 51) Drafting活動2、本論の次のパラグラフ・ライテ ィングを         行う。
7週目 (Unit 52) Drafting活動3、本論の次のパラグラフ・ライテ ィングを
                              行う。
8週目 (Unit 53) Drafting活動4、序論の書き方を学んで書く。
9週目 (Unit 54) Drafting活動5、結論の書き方を学んで書く。
10週目 (Unit 55) Drafting活動6、校正方法を学び、序論、本論、 結論を 
                                校正し、参考文献を作成する。
11週目 (Unit 56) Drafting活動7、アブストラクトの書き方を学ん で書く。 12週目 (Unit 57) 書きあげたterm paperの最終プレゼンテーショ ンの準備
                                をする。
13週目 (Unit 58) Advanced projectの成果の最終プレゼンテーシ ョンをす
                                る。
14週目 (Unit 59) Advanced projectの成果の最終プレゼンテーシ ョンをす
                                る。
15週目 (Unit 60) Advanced projectの成果の最終プレゼンテーシ ョンをす
                               る。Term paper提出。

Junior Project1(JP1)3年次前期 テキストScience Reader II-- in Association with Nature (2011. Yuji Suzuki,ほか著 Macmillan Language House)「*2]

到達目標・成果:ライフ・サイエンスの専門記事を読んで理解し、テーマに関 連するプロジェクトを組んで、アカデミック・ペーパーを書き、ポスター・プレ ゼンテーションをする。専門用語・表現を学ぶ。テキストに収録されている記事 は以下のとおりである。

Unit 1 Lizards succumb to global warming.
 Unit 2 Fossil rewrites early human evolution.
Unit 3 Cutting calories may improve memory.
Unit 4 Animal-rights activists invade Europe.
Unit 5 Brain implant allows mute man to speak.
Unit 6 Blood tests using sticky tape and paper.
Unit 7 Colour blindness corrected by gene therapy.
Unit 8 How aircraft emissions contribute to warming.
Unit 9 Malaria becoming more drug resistant.
Unit 10 Brain scan allows unconscious patient to communicate.
Unit 11 Ocean mercury on the increase.
Unit 12 Genetic test predicts eye colour.
Unit 13 Why spider webs glisten with dew. 
Unit 14 Skin cancer on the rise.
Unit 15 Nanoparticle safety in doubt. 

Junior Project 2(JP2) 3回生後期

3回生後期 CIT、MIT、 Havardなど海外のライフ・サイエンス系のトップ大学インター ネットで配信されている専門領域の講義を学生各自が探す。 到達目標・成果:ライフ・サイエンス系の講義を聞いて内容を理解し、関連す るテーマをもとにプロジェクトを組み、term paperを書いてポスター・プレゼ ンテーションする。

(3-2)に続く


[*1]その後改訂版を南雲堂よりDo Your Own Project in English Volume 1, Volume 2を出しました。大学生に限らず高校生も自学自習でできます。アメリカ、イギリス留学を考えている人は是非使ってみてください。

[*2]本品は絶版になりました。その後Readings in Science in Association with Nature(Yuji Suzuki 南雲堂)を執筆し変更しました。TOEFL iBT, TOEIC, SAT,GRE, GMAT, LSAT, MCAT (医学部)などの諸テストを受験する人に役立ちます。自学自習できます。


サポートいただけるととても嬉しいです。幼稚園児から社会人まで英語が好きになるよう相談を受けています。いただいたサポートはその為に使わせていただきます。