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【開催報告】自治体担当者向け勉強会「放課後からすすめるこどもの意見反映〜地方自治体・NPOの実践事例から〜」

2024年7月、放課後NPOアフタースクールでは、関西の地方自治体担当者の方を主な対象にした勉強会「放課後からすすめるこどもの意見反映~地方自治体・NPOの実践事例から~」を開催しました。

▼開催概要

昨年末に閣議決定された「こども大綱」を受けて、今後各自治体には「こども計画」の策定とこども施策への「こどもの意見反映」が求められています。

今回の勉強会では、先駆けて「こどもの意見反映」に取り組まれている滋賀県近江八幡市、また県内で子ども・若者の居場所づくりに取り組む団体の活動事例を元に、子どもたちの声を聴くことの意義や課題感、また今後の進め方などをそれぞれゲストの方にお話いただきました。

10自治体12名の参加者の皆様とも、意見交換や交流が非常に盛り上がった当日の様子の一部を、本レポートにてお伝えいたします。



事例紹介①:近江八幡市|北川雄貴さん

近江八幡市からは、昨年度末まで子育て支援課のご担当でいらした北川雄貴さんをお招きし、昨年実施されたこども家庭庁連携事業「令和5年度近江八幡市子どもの意見聴取事業」の様子や現場への反映方法についてお話いただきました。

近江八幡市では、大人の子育て関係者の意見を聞く場はあったものの、子どもの意見を聴く機会がなく、また意見を聴いても反映させる仕組みが整っていないことを課題としていました。
一方で、市として意見聴取に取り組んでいくにあたり、「どのように小学生から意見を聴くのか」「小学生は自分の意見を表明できるのか」といった心配もあり、こども家庭庁「こども・若者意見反映サポート事業」に応募されたそうです。

■プロがつくる子どもたちが話しやすい場を体感

当日は、放課後児童クラブの子どもたちを対象に「自分たちの学童をより良くするためには?」をテーマに開催。参加した子たちは6人×6グループに分かれて対話し、なんと、399もの意見が出たそう!

北川さんは、派遣されたファシリテーターの皆さんの子どもたちへの声のかけ方や雰囲気づくり、当日の流れなど子どもが意見を出しやすい様々な工夫を感じる場づくりに驚きを感じたとおっしゃっていました。

また発言するのが苦手な子もいたことや、この日出せなかった意見もあることを踏まえ、開催後1週間は意見箱を設置し、自由に意見表明ができる状態もつくったそうです。

■子どもたちの意見を実際に放課後児童クラブで反映

学童をより良くするために子どもたちが出してくれた意見の数々を、大人たちで集計・分析し、以下のように現場に反映させていくことが、後日経緯と合わせて子どもたちに説明されたとのこと。

子どもたちからは、「自分たちの意見を考えて、答えてくれてうれしい」「またこのような機会を設けてほしい」「ちゃんと実現させてほしい」といった感想が聞かれ、また当該放課後児童クラブのスタッフの方からは、「週に一回バイキング形式でおやつを選べるようにしました」「あそびについて、夏休みに向け、子どもたち主体の企画をしてもらう準備中です」「個々の児童への声掛けが増えました」など、反映されていった現場の状況をご報告いただいたそうです。

■大事にしたい4つのポイント

最後に北川さんは、子どもたちから意見を聴く上で大事にしたい4つのポイントをお伝えくださいました。

  • スモールスタートでやってみる

  • 子ども達が意見のいいやすい場を作る

  • 聞いた意見については、しっかり返事をする

  • 庁内のメンバーとの意識共有

聴取から反映までの具体的なエピソードも伺った上で、まさにこうした観点が重要となること、とても納得感があり、この日勉強会に参加された皆様からも頷きや共感の表情が見られました。


事例紹介②:CLUB ATTRACTION|田中洋一さん

続いて、大学生による青少年への体験活動に取り組むNPO法人CLUB ATTRACTION理事長であり、滋賀県子ども県議会運営や子ども若者審議会臨時委員でもいらっしゃる田中洋一さんより、子どもの声を聴くために必要なことをご紹介いただきました。

■日々の活動で子どもたちの声に寄り添い、形にしていく

クラブアトラクションは子どもたちの「やってみたい」という思いに叶えるために非常に多彩な活動に取り組まれています。

▼クラブアクションHP

活動設計や関係構築、環境づくりなどを通して子どもたちから様々な意見が日々上がってくることに加え、運営を中心的に担う大学生たちからもそれぞれのニーズや想いがたくさん聞かれるそう。
受益者(子ども)も運営者(大学生)もこの場を”安心して意見できる居場所だと感じられる関係性”によって成り立っていることが伺え、お互いの願いを受け止め、想いを叶えることができる<居場所の重要性>を改めて感じました。

■様々な状況や事情を抱える子ども・若者の声を受け止める

田中さんは前述の活動のみならず、子ども県議会や子ども食堂などにも関わられています。各事業や居場所により参加している子どもたちのカラーがあること、またそれぞれの子どもが意見しやすい雰囲気や場の設計が重要であるとお話くださいました。
子どもたちからは時に大人があまり欲しくない、困った意見が出ることもあります。それも子どもの声としてきちんと認識し、どこまで反映できるかを常に模索されている様子がお話から伝わってきました。

最後に、民間と行政が手を取り合うことで課題を乗り越えられる可能性を持っていることも具体的なアクションと合わせてお話くださり、参加者の皆様から関心が集まりました。


日常的な居場所も、非日常の機会も

近江八幡市の意見聴取事例やクラブアトラクションでの活動をはじめとする日々の取り組み 、双方のお話を伺う中で、日頃の関係性や環境があってこそ子どもたちから出てくる声と、普段と異なる環境・あまり知らない人だからこそ伝えられること、どちらの大切さも感じる事例紹介となりました。

2者による発表後は、お互いの事例について気になったポイントを深掘りいただいたり、参加者による質疑応答のお時間を設けました。非常に具体な部分までご質問が及び、子どもの意見聴取〜反映を皆さんがどうご自身の地域で実現できるか熱意を持ってご参加されていることが、会場全体から伝わってきました。

勉強会の最後、参加者同士の交流時間は、終了のお時間になっても皆さんお話がつきない程、非常に盛り上がりました。対面開催のため、関西圏の自治体の皆さんが参加くださいましたが、近隣地域だからこそそれぞれの地域性を活かした取組み、課題感なども共感し合ながらお話が弾んでいらっしゃいました。

こうして自治体の方々同士がつながり合い、好事例やノウハウ共有の場が広がることを私たちもとても嬉しく思うと共に、今後もこうした機会をつくってまいりたいと思います。

参加者の声

アンケートに回答いただいた皆様より勉強会について満足のお声を頂戴いたしました。また子どもの意見聴取、意見反映についても気づきや今後取り組んでみたいことを具体的にお寄せいただきました。

「現場目線でのお話は普段の業務では気づけないことがたくさんあり、勉強になった」
「他自治体との方々と直接お話できる貴重な時間だった」
「行政で何かをするとき、どうしても公平性がネックになって対象を広げがちですが、スモールスタートでうまくコンパクトに取り組む方法を見つけていきたい」

本勉強会は参天製薬株式会社様が会場をご提供くださり、当日は社員の皆様と自治体ご担当者の方との交流、意見交換も印象的でした。
こうして立場やセクターを越えてつながり合うことで生まれるインパクトやソリューションが、子どもたちの未来を力強く応援していくと私たちは信じています。

開催にあたりご協力いただいたすべての皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

今後も放課後NPOアフタースクールでは、全国各地で子どもたちの声が計画や政策、居場所づくりに反映されていくことの一助となれるよう、こうした学びの場の開催や情報発信を積極的に行ってまいりたいと思います。皆様からのご意見・ご要望もお待ちしております。

写真・文:コミュニケーションデザインチーム|鈴木香里


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