稲川望 ジュマ・ネット〜民族対立・平和促進NGO〜

バングラデシュ、チッタゴン丘陵地帯の民族対立解決と平和促進に取り組む。 元高校球児で当時は野球づけ。大学進学時は消防士になりたかったが、1年生の夏にあれよあれよでインドへ。 その後、バングラデシュや紛争、難民に関心を持って活動してきた。 2021年〜ジュマ・ネット事務局長。

稲川望 ジュマ・ネット〜民族対立・平和促進NGO〜

バングラデシュ、チッタゴン丘陵地帯の民族対立解決と平和促進に取り組む。 元高校球児で当時は野球づけ。大学進学時は消防士になりたかったが、1年生の夏にあれよあれよでインドへ。 その後、バングラデシュや紛争、難民に関心を持って活動してきた。 2021年〜ジュマ・ネット事務局長。

最近の記事

バングラデシュに行った際は、チャクマ料理をぜひ!

 普段、バングラデシュやチッタゴン丘陵の政治状況などをお伝えすることが多いので、時々は食や文化などの魅力もお伝えしたいなと日々思っていたところ、たまたまチッタゴン丘陵の料理がメディアで取り上げられていましたのでご紹介します!(動画でご覧いただけます)  今回の映像は、首都ダッカにあるレストランの紹介でした。  私も昨年、ここにお邪魔しました。道沿いの建物の2階にあり、チャクマの友人達がいなければおそらくずっと辿り着けなかったであろうというぐらいひっそりとある感じでした。

    • 【速報】チッタゴン丘陵で暴動事件が発生

       今月19日以降、チッタゴン丘陵カグラチャリ県およびランガマティ県において、少数民族ジュマに対する攻撃が発生しています。その結果、商店や寺院の破壊や放火、死傷者が発生する事態へと発展しています。  今回はまず端的に事件の背景と影響、また現在の状況に関してお伝えします。 (本記事は、ジュマ・ネットWebサイトに掲載したものと同様の内容です。Webサイトはこちらから) 一連の事件の背景 9月18日にベンガル人1名が死亡した事件から今回の暴動が始まりました。その人物は当時、カ

      • 【速報】バングラデシュ、ハシナ首相が辞任&国外脱出:今後の政局は−

        8月5日、ハシナ首相が首相官邸を去り、事実上バングラデシュのアワミ政権が倒れました。 首相官邸を去った直後には、デモの集団が建物に流れ込んだと報道されています。(記事)また、その後にはハシナ首相が党首を務めるアワミ連盟の事務所が放火されるなど、街は一気に"市民の勝利宣言"に包まれました。 しかし、個人的には今後の展開に懸念を感じています。 おそらく、今後の歴史に残るであろう今回の一連の出来事。劇的な展開を迎えています。 今後の展開は誰にもわからないものの、現時点での

        • <最終回>”ジュマ・ネット”で挑戦していく理由

           最終回までなんとか続いてきました。第6回では、現場にいるなかで思い知ることになった活動の難しさ、紛争がもつジレンマを書かせていただきました。  そしてラストの今回は、ではなぜ活動を続けていこうと思っているのか、という僕の心に関してフォーカスして区切りにしていきます。 頭で描く理想の姿と、現場でどうしようもなく突き動かされる心 頭では、こういう状態になったらいいとか、こういう紛争解決のモデルがあるとか、この政党はこう言っているからとか色々考えます。それは僕の関心があることで

          国家が自国民の保護を放棄した時に、外国人に何ができるのか

          今週、ショッキングな事件が発生しました。チッタゴン丘陵地帯において、4人のジュマ若手活動家が銃殺され、加えて3名が誘拐されているということです。 これはただの事件ではなく、様々なメッセージを持っていると考えます。 チッタゴン丘陵地帯国際委員会の声明によれば、襲撃したグループは軍を後ろ盾とした武装自警団であるとされています。本来、国民を保護する役割を持つ存在が、その意志に反した活動を行なっていることに政治性と恣意性を感じます。 チッタゴン丘陵地帯国際委員会が発行した声明は

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          【第6回】 挑戦してわかった、民族対立現場の独特の難しさ

           これを読んでくださっている皆さまこんにちは。全7回で企画しているこのヒストリーも残すところあと2回となりました。第5回では、悩みに悩んで決断をしたところまでお話が進みました。その後デングの回を挟んだためやや時間が空いてしまいたが、再び連続企画の本編に戻ってきたいと思います。    残りの2回では、実際にジュマ・ネットで活動を始めたからこそ分かったこと、難しさ、大切だと改めて感じたことを書いてみようと思っています。 コロナ禍を経てふたたびバングラデシュへ コロナ禍でなかなか

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          【番外編】更新がとまっている間、ダッカで入院してました

           皆さまこんにちは。スタバでバイト大学生がなぜNGOに?の連続企画ですが、第5回を迎えたところで更新がとまってしまっていました。そのしばらくの間、どこで何をしていたかと言いますと、タイトル通りダッカで入院しておりました。  高熱、関節痛、嘔吐下痢がなかなか治らず、結論、デング熱と診断されました(今年はダッカでものすごく流行っています。)  約2週間近い入院を経てやっとこさ元気になりましたので、今回は番外編としてその期間の様子を記録に残しておこうと思います。 デング熱、大

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          【第5回】 迷いに迷った1年半、活動を志すまで

           毎度noteをお読みいただきありがとうございます。全7回くらいと見込んで始めたこの企画も、もう残り3回となりました。すでにもうあきあきされているかとは思いますが、せっかくですので最後までおつきあいいただければ嬉しいです。  さて、脈絡のない話となりますが、ラテアートをご存知でしょうか。たまには若干スタバっぽい話をします。    エスプレッソショット(圧縮して抽出する強い苦いコーヒー)に、空気を含ませた温かいミルクを注ぎ、最後にミルクで作った泡の部分を上に乗せるのが一般的な

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          【第4回】1年間バングラデシュへ、正直苦しいことばかりだった

           ここまで3回お読みいただいた方、本当にありがとうございます。今回初めてお読みになられる方は、もしご関心あればこれまでの回もぜひご覧ください。  今回、全7回(くらい)の連続企画の折り返しとなる第4回は、大学を休学してバングラデシュでの1年間に挑戦するお話です。大学2年生の夏に偶然ロヒンギャキャンプに居合わせたことで衝動的に始めた活動をきっかけに、もっと現地のことを知りたいと思うようになりました。今回は、どこに何をしに行こうと考えていた私に、大きな転機が起こるところから始ま

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          【第3回】 20歳、偶然の難民キャンプで現場を知った

           これまで2回お読みいただいた方は、本当にありがとうございます。今回初めてお読みになられる方は、もしご関心あれば、第2回もありますので、ぜひご覧ください。  今回、全7回(くらい)の連続企画の第3回は、少しずつ国際協力の世界をのぞいていった私に訪れた最初の大きな出来事についてのお話です。まだまだ普通に大学生活を送っていながらも、きっとここがその先本格的に活動にのめり込んでいく分岐点になったんじゃないかと思っています。 大学2年生の夏、たまたまバングラデシュにいた時のこと 

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          【第2回】18歳、インドでちゃんと人生観を変えられるの巻

           前回にひきつづき、連続企画の第2回です。前回は、大学入学時の出会いに関してのお話でした。(第1回:ノリと勢いで研究室突撃したら世界が変わった、はこちらから)  今回は、インドで人生観をちゃんと変えられちゃった18歳のお話です。なんとなくインドで人生観変わったみたいのってちょっと安っぽいなあ(悪気はありません)、自分はそうはならないぞみたいな斜に構えた感じで渡航してました。が、まあまあわかりやすく変わって帰ってきたという経験です。 はじめての海外はインド・ナガランドへ 

          【第2回】18歳、インドでちゃんと人生観を変えられるの巻

          【第1回】ノリと勢いで研究室に突撃したら世界が変わった

          はじめに すべりそうで公開するのが恥ずかしいなと思いながらも、こうして筆をとることにしました。きっかけは、ある方の一言でした。その方は、今でこそ仕事も僕自身の成長の面でもとってもお世話になっているものの、ずっと僕にとっては雲の上のような存在でした。初めて会ったときに、いつかメンターになってほしいなと思っていたので、まずは今こうして関わり続けられる環境にとても幸運を感じています。  そんな方から「稲川君のことをもっと発信したらいいんじゃない?」と言ってもらったので、そうかやっ

          【第1回】ノリと勢いで研究室に突撃したら世界が変わった

          【夏の読書感想文🍉】『報道弾圧−言論の自由に命を賭けた記者たち』

          本書との出会い 「報道"弾圧"」という刺激に溢れたタイトルを冠する本書との出会いは、本書の主要な著者である北川成史氏からの紹介でした。言論の自由を記者と国家の関係性から描き出した本書のテーマをみた瞬間、すぐに読もうという気持ちになり、発売日を心待ちにしていました。  直感的に惹かれた理由には、ジュマ・ネットの活動との共通性が高いと感じたからだと思います。国家が持つ権力は報道の力を締め付ける方向に走り、時には特権的に保持する実力行使にまで及ぶ姿は、活動地の政治状況とも重なり

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          なんとなくテレビを見ながら:「記憶」「戦争」「ナショナリズム」

          このあいだ、なんとなくテレビを見ながら思ったことを書きます 大学院を修了し、学生の身分がなくなって4カ月が経ちました。昨年度末からはインドやバングラデシュに行っていたため、あまり区切りや修了した感を味合わずに時が過ぎてしまっている感覚もあります。 毎日もう無理かもなと思いながら論文を書いていた時間も、もはやすごく前のことのようです。大学院では「ナショナリズム」を理論的なテーマに据えて執筆しました。バングラデシュのナショナリズムの現在地を問い、何がそうさせているのかという

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          気になったのは、見えなくなったもの

          2023年、コロナ禍以降のバングラデシュ 2023年4月、バングラデシュの首都ダッカを訪れました。 2020年の新型コロナ流行以降、一時はバングラデシュでも大規模なロックダウンなどが行われていましたが、現在はすっかり活気あふれる街並みへと戻っています。ちなみに4月〜5月は、バングラデシュは夏の季節で、連日40度を超える猛暑でした。 街中にはまだマスクをしている人もいますが、どちらかというと感染症よりも大気汚染が原因といった感じです。それもそのはず、バングラデシュは急激な

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          チッタゴン丘陵地帯の今

          (2023年4月24日に残した記事を転載) こんばんは。先月末からフィールドに来ており、現在はチッタゴン丘陵地帯におります。 まさに今現場で考えていること、今だから感じられていることを素直に書いています。 今回、市民リーダーや政治家の方などから話を聞く中で、和平協定から25年が経った中でも、その実現には希望が見出せない声が聞かれました。 特に政府・軍の政治的影響力を握ろうとする駆け引きの中で、この地域がいかに翻弄されてきたかも強く感じました。(一部は和平協定の実施を今