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【第2回】18歳、インドでちゃんと人生観を変えられるの巻


 前回にひきつづき、連続企画の第2回です。前回は、大学入学時の出会いに関してのお話でした。(第1回:ノリと勢いで研究室突撃したら世界が変わった、はこちらから

 今回は、インドで人生観をちゃんと変えられちゃった18歳のお話です。なんとなくインドで人生観変わったみたいのってちょっと安っぽいなあ(悪気はありません)、自分はそうはならないぞみたいな斜に構えた感じで渡航してました。が、まあまあわかりやすく変わって帰ってきたという経験です。

はじめての海外はインド・ナガランドへ

 18歳、大学1年生の夏休み。先生の出張について行けるという大きなチャンスが現実のものとなりました。そもそも海外に行くということすら知らないのに、行き先は聞いたこともない「インド・ナガランド州」。この地域は長らく民族的マイノリティと中央政府の間で分離独立を争って内戦が繰り広げられてきた地域でした。当時はそういった勉強会はもちろんしましたが、とはいえあんまりイメージも知識もなく、正直なところきちんと理解できていないままの渡航となりました。

 海外に行くのが初めてならば、当然国際線の飛行機に乗るのも初めてで、最初のドリンクが配られる瞬間はだいぶ緊張しました。何を頼んでいいのかもよく分からず、なんか流れでコーラを飲んでシュワシュワしながら飛ぶことになりました。また映画も日本語版はなく、ハリウッドなど人気の映画は英語字幕でなければ見られませんでした。当時、TOEICは500点くらいで日常会話すら怪しい感じだったので、映画もすぐ飽きて断念。結局、小さいコントローラーでテニスとかボウリングのミニゲームをずっとしてタイへと向かっていきました。

 タイにトランジットで到着して、少し時間もあったので外に出てみることに。同行した先輩や同期に色々助けてもらいながら、よく分からぬ道と景色の間を進んで行きました。たぶん無事でいることに精一杯だったので、あんまり何をしたかは覚えてないです。

この景色、この場所で生きることが日常という人もいるんだと思い、不思議な気持ちになった気がします。
おそらく小ささにびっくりしてとったであろう写真。たぶん犬。

 そんなこんなでタイでの時間も過ぎていき、インドに到着しました。8月末から約2週間の滞在となり、最初の数日はインド・コルカタで人身売買関連のNGO訪問をしました。そして、国内線と数時間の車の移動を経て、北東インドにやってきました。

ナガランド州、コヒマ。山に囲まれた若干の隔絶感と、落ち着いた空気の両方を感じた。
かつてナガの人々は首狩り族として恐れられていた。

 ここでは、主に内戦からマイノリティ内の分裂に至ってしまったナガランドはどういった現状であるのかを把握することが目的だったと記憶しています。インタビューや面会を何人とも行いました。また、コノマ村(ディマプール州)という、かつで第二次大戦時に日本軍がやってきたという場所にも訪問しました。ある高齢の女性は、日本軍に食事を提供したという記憶を語ってくれました。非常に貴重な経験をさせてもらいました。

無知の知、人生を変えようと思った

 とっても充実した毎日だったのですが、同時に「何も知らない自分」を痛感する毎日でもありました。例えば、移動中や食事中の先生の何気ない雑談は、とても興味深い話ばかりでした。社会のことから人生経験談までいろんな話をしましたが、それはしばしば歴史、宗教、民族、人生観、哲学などさまざまな知や経験と結びついて語られていました。

 聞くのはすごく楽しいのですが、いざ僕が何かを話すとなると、何も思いつきません。クレヨンしんちゃんとかプロ野球選手の年俸事情とかであればその時でも詳しく話せたかもしれませんが、まあ興味ないだろうなと自重しました。こんな何気ない瞬間に、僕はこれからもっともっと勉強しないと、今の自分には語れるものも蓄積もないのだと自覚しました。特に、インドでは宗教に結びついた生活習慣や文化も多く表面化していて、そういったものを全く理解できない自分にも残念さを感じました。

 加えて、極め付けは上述したコノマ村での時間でした。村の偉い人の案内のもと各所を見せてもらい、例の日本軍に食事を提供した女性のお話も聞かせてもらいました。そこではさまざまな記憶が語られました。しかし、あまりに僕は自国の歴史を知らず、どれだけの文脈を理解できただろうという状態でした。歴史の授業中に数学の課題をやっていた自分に激しく後悔しながら、でもわからない自分を認めざるを得ませんでした。

 2週間の旅の中で大小はあれど、このような経験はたくさんありました。そしてその度に、こんなテーマの本を読んでみよう、あれについても勉強しておかなきゃ、これは理解していたつもりだけど確認しておかなきゃ、と次々に学びたいことが溢れてきました。そして、学び、経験し、早く変わりたいという強い気持ちがあらわれてきました。この経験を機に、海外はもちろんですが、関心の視野が大きく広がったなと思っています。

海外で、国際協力で、チャレンジしてみたい

 2週間の旅を終え、すっかりモチベMaxで帰国した私は、手当たり次第にセミナーや本に手を出しました。今振り返れば、早く学んで進化して、海外で活動するにふさわしい人間になりたいという欲求が大きかったのかなと思います。

無知を思い知りながらも、毎日の刺激に心は前向きだった

 もちろん過去はどう想像してもたられば論になってしまいますが、あの時もしインドに行っていなかったら、全く違った関心と行動をしていたかもしれないと思っています。あの2週間の旅が、海外、そして国際協力の世界にチャレンジしてみたいと明確におもわせました。半年前には国際協力という言葉すら知らなかった18歳が、ちゃんとインドで人生観を変えられちゃった話でした。

次回予告:20歳、偶然の難民キャンプで現場を知った

 


 今回は、人生初の海外渡航と、そこで無力さを痛感したエピソードでした。この無力さは当時の私には大きなエネルギーとなり、学びの欲求へと変わっていきました。
 そして次回は、少しずつ国際協力の世界をのぞいていった私に訪れた最初の大きな出来事についてのお話です。きっと、ここがその先本格的に活動にのめり込んでいく分岐点になったんじゃないかと思っています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。16日からバングラデシュ出張のため、数週間はどんなペースで更新できるか未知数ですが、書くことは続けていきます。

また次回も読んでくだされば嬉しいです。

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