【鑑賞ログ】デザインとは、粋な計らいだと感じた日 | 「みのへるねる kachidoki」展
本文をお読みいただく前に。
個人の解釈や、照合していない文章を記述してありますので、事実と異なる点があるかもしれません。ご了承ください。
大学時代の友人のゼミの教授、鈴木安一郎先生の個展に行ってきましたので、恐れ多いのですが、感想などを書き連ねていこうと思います。
会場は「バタフライ・ストローク」というギャラリーで、都営大江戸線の勝どき駅から徒歩3分のところにあります。
エレベーターが開くと、タイムスリップしたかのような趣きの内装。
右手に会場がありました。
会場に先生がまだいらしてなかったので、受付の方に尋ね、撮影の許可をいただきました。
1番惹かれたのは、この2作品。
両方に言えるのは、めちゃめちゃ気持ちがいい。
まず、左側の作品から。
もう、なんというか、ぜひ実物を見ていただきたい。
木目がとても美しい。
絶対ホームセンターに売ってる木じゃ、こんなに綺麗な木目が出るわけない。
先生に聞いたら、知り合いの家具職人の方から、暖炉用に譲り受けた端材を使用しているとのこと。
そして、木はもらった形のまま、加工せずに使用しているそうです。
木、加工していないんです!
つまり、このシンデレラフィットを無加工の木でやっているのです。
すごくないですか!?
完成系を想像して押しているのかと思っていましたが、お話によると、完成系を決めずに押しているそうです。
さらにすごいのは、墨の抑揚です。
1つ1つ、墨の濃さが違います。
何度か空押ししてから、濃さを調整していると伺いました。
何が言いたいのかというと、押す位置と、濃淡のバランスを1パーツずつ考えながら押しているということが、とんでもなく集中力の必要な作業だということ。
先生も、押すときにすごく集中しているとおっしゃっていました。
1つ押し間違えたら終わりですから、それはそれは神経を研ぎ澄ませた作業だったでしょう。
初めて見た時にそれが感じられて、すごく興奮しました。
情熱は尽きませんが、左側の作品はこの辺にして、右側の作品。
これもぜひ、実物を見ていただきたい。
墨一色なのに、なぜか非常にカラフルに見えます。
墨を付けてから、1回目、2回目と墨を付け直さずに押していくと、このようにグラデーションのようになるそうです。
木って、すごく面白い素材ですね。
近くでよく見ると、薄い墨と、濃い墨が重なって見えるところがあります。
先生に聞くのを忘れたので、事実かどうか分かりませんが、薄い墨を押して、乾かした後から濃い墨を重ねているのではないでしょうか。
そういう細やかな気遣いが、作品のクオリティをグッと上げているなと思いました。
この気持ちよさは、何に例えるかずっと考えていたのですが、こんな感じです。
旅館に泊まって、食堂に来た時に適当に脱いだスリッパが、食後に戻るとスリッパが整然と並べられている時のような気持ちよさ!(この例え、失礼な気がする)
やっておきましたよ、とは言わずに並べられているのだ。
さらに細かく言うと、3人の客の塊、4人の客の塊と、団体ごとにわかるように分けられている感じだ。
表題にも書きましたが、気持ちいいを通り越して、粋なのである。
(深夜にこの記事を書いているから、おかしなことを書いている気がします。)
先生の作品を見ながら、すごくときめいたし、ワクワクしたし、創作意欲がとても刺激されました!
大学時代の、作品を作っている時の楽しい気持ちを思い出しました。
この企画展を見にきて、本当によかったです!
安一郎先生、ありがとうございました。
それでは
加筆
私は先生の授業を受けたことがないと言ってしまいましたが、友人に聞いたところ、2年の「線」の授業で受け持ってもらったことがあったそうです。
中間講評の時に、私が悔し泣きしていたのを友人が覚えてくれていました。
私はすっかり忘れてしまって、すみません…
友人に言われて鮮明に思い出しましたので、その悔しさをバネに頑張ります!