中嶋望 | Nozomi Nakajima

日々のこと

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いまはまだ無理だけど

私は昔からよく転ぶ子供だった。 階段、坂道、小石、溝、なんにもないところでもずっこけたり、両膝・両肘・あごを擦りむいて痛々しい傷を作ることは日常茶飯事だった。 だったというか、いまもまだそう。 その日は寝不足だった。 朝、電車に乗り込んだら運よく座れたので、会社の最寄り駅に着くまで眠ることにした。 はっと顔を上げると、扉上のモニターに最寄りの駅名が表示されている。 もう着いちゃったのか、と立ち上がって、扉の前で待機する。 駅に到着して、扉が開き、ホームに降り立つと、熱

    • 【鑑賞ログ】「東海道五十三次」で旅気分 ―富士に琳派に若冲も―

      箱根の岡田美術館を訪れた。 『「東海道五十三次」で旅気分 ―富士に琳派に若冲も―』を観るためである。以前、『広重ぶるう』というドラマを観てから、私は広重の虜なのだ。 事前に電子チケットを購入してあったので、受け付けで半券を受取った。 注意事項に、展示室内へスマートフォン・カメラの持ち込み禁止という項目があったため、入口のロッカーへ預けた。 持ち込み禁止って珍しいなと思いながら、1階の展示をさらりと見て回って気付いた。岡田美術館って広すぎる。広すぎるから監視の目が回りきらな

      • 旅行には、悩みごとを持っていこう

        連休なので、温泉宿に来ている。 持ち物は、着替え、洗面道具、ともだち(ぬいぐるみ)、財布、スマホ、最後に1番忘れてはいけないのは悩み事。 温泉に来たときは、観光もしないし、外食もしないし、歩き回らないので、カメラや化粧品も持っていかない。 チェックイン時間に宿へ訪れて、最終日のチェックアウトギリギリまで何もしないをして過ごす。 温泉には何度も入る。 畳の上で寝そべって、うんうん考えていても何も思いつかないが、身体を洗ったり、湯船に浸かったり、サウナでじっとしていると、

        • 人生は旅だから

          私と友人は、話ができて、軽食とデザートにパフェが食べられる店という理由から、ファミレスを探し歩いていた。 金曜日の夜というのもあり、どの店舗もなかなか混み合っていたので、3店舗目に訪れた店で諦めて並ぶことにした。 私たちの前には6組の待ち人たちがいたが、待ちきれずに撤退して行った組がいたらしく、次の次の呼び出しで着席することができた。 向かい合わせに座り、それぞれの前に置かれたメニューを見ながら、「これも美味しそう」、「あれも美味しそう」と指さして、「わかる、それも捨て

        いまはまだ無理だけど

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        • 鑑賞の記録
          12本
        • ポートフォリオのようなもの
          11本
        • 描画研究
          20本
        • わたしの暮らし
          4本
        • 人生アーカイブス
          1本

        記事

          衰退していく

          日曜日、コンサートへ行った。 会場はとても空調が効いていて肌寒かった。 中盤のMCで、急にお腹が痛くなってきて、お手洗いに向かうために席を立った。 階段を登り、コンクリートで固められた通路を抜けて、トイレのサインを探すために視線を上げると、視界が右回りに歪み始めた。 ああ、もう、なんで今なの、と思いながら、少し休憩して席に戻った。 とりあえず、アンコールまでしっかり立って観ることはできたので、よかった。 一緒に来ていた友だちがすごく心配してくれていて、気を散らしてし

          刹那の輝きを観るために

          今日が楽しみ過ぎて、朝の4時半に目が覚めてしまった。 遠足や運動会の日は楽しみすぎて思わず早起きしてしまう、だなんて、そんな純粋で可愛らしい子どもではなかったので、私としてはとても珍しいことなのである。 シャワーを浴びていても、顔を洗っていても、歯を磨いていても、用を足していても、鼻唄が止まらない。 何にもおもしろいことなんて起きていないのに、ほおが緩んで、ニヤニヤして、そんな自分に笑っちゃったりした。 今日は待ちに待った、大好きな人たちに逢う日。 つまり、推しのコン

          刹那の輝きを観るために

          頑張って!っていいね

          少し、ミラクルなことがあった。 ある方が、 「実は、息子が賞をとりましてね」 とスマホを見せてきたので、どんなリアクションを取ろうかと逡巡しながら覗き込むと、とても大きな広告賞。 息子さんのお名前を聞いて、さらに驚いた。 超がつくほど著名なアートディレクターだった。 「知ってるも何も、広告業界にいたら誰でも知ってますよ!」と興奮気味に、以前別の広告賞を受賞されていたことや、銀座や六本木のギャラリーでの展示を観たことを語ってしまった。 そのまま成り行きで、私の大学時代か

          頑張って!っていいね

          またね

          暑い。 今日はいっそう暑い。 屋外へ出た時の、空気が膨張していて酸素が取り込みづらいあの感じ。 コンクリートの水分が乾き切った匂い。 汗を掻いて肌にまとわりつく服の不快感。 ジジジと鳴くアブラゼミの声。 夏がやってきたのだ。 夏は何をして過ごそう。 夏って煙が美味しくなる。 蚊取り線香の匂いが好きだから、蚊がいなくても毎日焚きたいところなのだけど、あの匂いが好きではない人もいるからやっぱりたまににしよう。 手持ち花火もいい。 あの火薬の匂いが好きだ。

          いつから東京の女になったの

          私たちは目的地へ向かうために道を歩いていた。 途中、友人が自販機で飲み物を買いたいと言うので、すぐそばにあった自販機へ近寄った。 友人が小さいオレンジジュースを買ったあと、私も続いて水を買った。 「うわ、ペットボトルの水を買う女だ」と言うから、 「なによ、別に良いじゃないか」と睨んだ。 もしや中学生のとき、私は彼女に、わざわざ自販機で水を買うのは勿体ないとかなんとか言ったのだろうか。 水道の水を飲めば良いのに、とか言ったのかも。 言った気がする。 「東京の女だな

          いつから東京の女になったの

          いつか消えるもの、なのか

          自分が作ったものに対して、どのような感情を抱けばいいのだろうと思う。 私は以前、デザイン事務所でグラフィックデザイナーをしていた。印刷物がほとんどで、広告やパンフレットなどのデザインが主だった。 出版社の案件があった。 出版社の中にもインハウスデザイナーはいるが、重版がかかったり、文庫化したり、賞をとったり、確実に売れるであろう新書が出る時は、広告制作を外部に委託するのだ。 ある本の広告を担当することになった。様々な媒体に展開したので長期間携わっており、気合が入ってるな

          いつか消えるもの、なのか

          軽ければいいというわけでもない

          今日は傘を差すか、差さないかくらいの雨。 風がビュンと吹いて、弧を描くように熱でセットした前髪を吹き飛ばした。 先日美容院で髪をまっすぐにしてもらったので、風に弄ばれた髪は絡まることなくさらりと揺れて戻った。 顔に打ち付ける髪は、鼻下ほどの長さになった。 昔から、髪と爪はすぐ伸びるので、今年いっぱい伸ばせば、肩につくかもしれない。 夏は髪を結びたいなと思うのだけれど、今年はまだ難しいかもしれない。 夏が好き。 野菜や果物がみずみずしいし、酸っぱいものは身体に沁みる。

          軽ければいいというわけでもない

          空の描き方

          今日はキレートレモンを飲んだら、とてつもなくやる気がみなぎってきたので、私のnoteにいつも貼り付けている画像について書いていこうと思う。 私はnoteを投稿するときに、文末に下のような画像を貼り付けている。 一応、空を描いている、つもり…なのだけど。 ええっ、わかんなかったと思ったのなら、コメントとかで教えていただけると幸いです。 なんでこんなことをしているのかというと、100枚ドローイングという課題を自分に課しているからで、アナログで作業している絵の資料にもなるし、

          手間をかける

          今日は、とても心待ちにしていた日。 ポークビンダルーの日なのだ。(私が勝手に言っているだけ) ポークビンダルーは、西インドのゴア地方で生まれたカレーのことで、ビンダルーというのはポルトガルのワインとニンニクを使った豚肉料理のこと。現在では、ワインビネガーとニンニクを使った豚肉のカレーとして定着しているようだ。 以前、「騙されたと思って、食べてごらん」と言われて食べたら、とてつもなく美味しかったので、自分でも作ってみたくなった。 せっかくならスパイスから、と思ってネット

          好きなモノを少しだけ

          持っている服を、全て1ヶ所に集めた。 夏ものも、冬ものも、部屋着も、下着も、靴下も、ハンカチも、全部。 スーツケースの右側には夏服と部屋着と下着を。 左側には冬物と、特別なときに着る素敵な服を入れる。 スーツケースのポケットに、靴下やハンカチのような細々としたものを入れる。 1枚1枚、丁寧に畳んでスーツケースに並べていく。 途中、使い込んで傷んだ服や、ボタンが取れてしまった服などは、脇に避けておく。直せそうなら直して、手の施しようが無さそうならさよならする。 そうし

          好きなモノを少しだけ

          表現なのかな…?

          私の書いているこれってなんだろう。 ハッシュタグに日記とつけているけど、日記ってこういうことなんだろうか。きっと、その日にあった出来事を書くのだから、日記と呼ぶのであって、その日にないことを書いているから日記じゃない。最近投稿しているnoteは2、3日前から2ヶ月前くらいの間にあったことなんかを書いているから日記とは呼べない気がするので、ハッシュタグをつけることすら抵抗を感じるようになってきた。 エッセイって言われたことはあるけど、本で読んだエッセイはもっと自分の内側を曝

          表現なのかな…?

          寂しさの行き場

          夏ってさみしい。 蚊取り線香の煙の匂い。 まだ夜のじかんなのに朝陽が昇ること。 レースカーテンを撫でる微かな風。 そういうことが、いちいちさみしい。 さみしさを沈める方法をまだ知らない。 知らないけど、騒がしいところに身を置くことではないし、友達とご飯を食べて何でもない話をすることでもなかったし、異性と触れ合う事でもなかったし、アルコールを摂取しても、忙しくしていても、さみしさは余計に増すばかりだった。 そこにいてほしい。 いるだけでいい。 話し合わなくても