いつか、電子の海に消えていく─ Twitter休眠アカウント削除に思うこと
Twitterにおける“長期間休眠アカウント”の削除が決定したそうだ。
サーバーの負荷軽減やbot対策等々を鑑みれば、確かにやむを得ない処置かもしれない。
一方、この処置に伴う大きな懸念も存在する。とりわけ問題視されているのは、更新したくても更新できない“故人のアカウント”の消滅。一応「著名な故人のアカウントは削除されない」との情報もあるが、その判断基準は現在のところ不明となっている。
上記のニュースを聞いて、俺の脳裏にひとりの作家が現れた。
その作家とは高畠エナガ先生(以下、エナガ先生)。
数多くのWeb漫画を執筆しプロデビューを果たしたにも関わらず、28歳という若さで2017年に急逝された漫画家である。
エナガ先生の詳細や作品紹介に関しては、上に挙げたインタビュー・投稿をご参照頂きたい(以下、「あなたは〜」の三行要約)。
Webサイトを活動拠点としていたエナガ先生の代表作「VIPPERS」「閃光のライトニングハイド」等は、残念ながらもう読むことができない。先述の記事において、俺はそれらを“電子の海に消えた作品”と称させて頂いた。
遺されていた創作物はサルベージすらも叶わず、0と1の中に溶けていった。かつて夢中で読み耽ったページには、今はただ“404”の文字が虚しく浮かぶのみ。作品の保存を怠った過去の自分に対する悔恨の念は、日に日に強まり続けている。
Webサイトは消えてしまった。しかし、Twitterアカウントはまだ健在である。
生前の活動記録の縁。ひとりの人間が確かに存在していた証明。
そんな故人の言行録に、刻一刻とタイムリミットが迫りつつあるかもしれない……。
Web上に存在するデータは、投稿者の存命如何に関わらず、いつか無くなってしまう運命にある。
サーバー・ドメイン料の支払いが滞れば、Webサイトは自然消滅する。それらの手続きが不要な、大手企業が運営する無料Webサイトの存続期間も有限だ。
例を挙げると2019年に「Yahoo!ジオシティーズ」のサービスが終了した。決して認めたくはないが、noteも永久には続かないだろう(だからこそ、最近導入された“記事エクスポート機能”は大変有り難い)。
エナガ先生の漫画やTwitterだけではない。諸行無常──。いずれ全ては消えるのだ。
俺は少しずつTwitterのログを遡り、印象深いイラストや呟きをスクリーンショットで保存することにした。
全てが消えてしまう、その瞬間が訪れる前に。
朧げな記憶を、どうにか繋ぎ止めておくために。
大好きな作家と作品を、歳を経ても思い出せるように。
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