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戦争を知らない私が8.15に想うこと。

TBS『戦後76年「つなぐ、つながる」SPへいわとせんそう~戦場からのメッセージ』を観た。25歳のりゅうちぇるさんが、沖縄のおばあから聞いた話を一生懸命、彼の言葉で話していた。沖縄では、6.23沖縄慰霊の日に、”うーとーとー”というお祈りをするらしい。1年に1度、この日だけでも平和を祈ろう、と。20代の若者がその想いを発信すること、素直に素敵だと思った。

日本全国にとっては、8.15がその日になるだろうか。
私は今日、平和への想いを馳せたい。戦後76年。これからの日本が、戦争を経験せずに天寿をまっとうできる国であり続けてほしいと心から願う。

数々の名曲を生み出した作詞家、故・永六輔さんは、「終戦」という言葉を避け、「敗戦」という言葉を使ったそうだ。自分たちが仕掛けて負けた戦であること、それに目を背けてはいけないという意思だろう。

故・橋田壽賀子さんも、「お国のために」と万歳をして大勢の若者を戦場に送った自分にも戦争責任がある、と、その自戒の念を込めて「おしん」を書きあげたという。

安倍晋三さんが「今、日本がこんなことになっているのは道徳教育が欠けたからだ」と言い出した時、作家・小田実さんが「道徳道徳と言うほど怖いものはない。あんたの言っている道徳はなんだ、親を大事にすることか?だったら、親を大事にする道徳観で、満員電車で他の人を退けて自分の母親だけ座らせたら、それも道徳か?あんたが言っているのはそういうことだ。道徳ほど怖いものはないんだ。戦前教育がまさにその道徳観の植え付けだった」と論破した報道番組があった。その場で何も言い返せなかったにも関わらず、安倍晋三さんは、教育現場に介入し、道徳を盛り込むことを強行した。

作家・半藤一利さんは、2014年に安倍晋三政権が憲法九条の解釈をねじ曲げ、「集団自衛権の行使を可能とする閣議決定」を強行した際、「30年後50年後、ものすごい転換点だったと言われる事態が起きた」と苦言を呈した。日本が戦争に突入した時と同じ流れができている、と。半藤さんは2020年に他界した。

当時も、国民が気付いた時には、国の政策によって、もう戦争を始められる地固めが出来ていたという。そして、道徳教育によって、青年たちは当たり前のように国のために戦争にその身を投じた。

最近、政治家が「日本が戦争に巻き込まれる可能性がある」という表現をしているが、自衛を正当化し「そうなる前に先手を打つ」という発想こそ、悲惨な歴史の繰り返しである。侵略も自衛も同じ戦争。苦しむのは民衆だ。

戦争の悲惨さを知り、反戦を唱えていた識者たちが、この世を去っていく。戦争を知らない私たちには、思いやる想像力と見抜く目が求められている。
恐ろしいことが二度と起きないよう、「過去の戦争を学ぶ」だけでなく、「過去の戦争に今を学ぶ」ことで、「未来を守る」ことに繋げたい。


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