[DXコラム]失敗しない企業変革とは?~ビジネスフレームワークを活用しよう~[第3回]
第1回目は日本のDXの現状、第2回目はノベルワークスのDXの取り組みについて紹介させていただきました。第3回目は、DX変革の成功確率を高める上で必要な考え方を「コッターの八変革」というビジネスフレームワークを用いて紹介します。
DXを組織で成功させるには?
いざ、組織でDXを導入しようとするとき、思い通り上手くいかず尻込みすることはないでしょうか。「面白そう。よし、DX頑張ろう!」と意欲的な態度を示すメンバーもいれば、「わざわざ導入なんて、本当に面倒な話だな・・・」と憂鬱な態度を示すメンバー。「DXの重要性は分かった、でも自分にはそのスキルが無いんだよな・・・」とスキル不足を嘆くメンバーもいれば、「わざわざ勉強する気も無い。だって失敗するのが目に見えているし」と全く無関心なメンバー。DX導入といえば、メンバー一人ひとりの反応は様々です。
しかしながらDXを推進するリーダーは、チーム全体を巻き込み、反対派の理解を得た上でDXを成功させなければなりません。このようにリーダーの意向とチームの士気に乖離がある場合、リーダーはどのようにDXを推進するべきでしょうか。
リーダーシップ論の第一人者であるハーバードビジネススクール名誉教授ジョン・P・コッターは、大規模な変革が失敗に終わる主な原因は、以下の8つであると主張し、これらを「つまづきの石」と呼んでいます。
この「つまづきの石」を乗り越え、大規模な変革を推進するためには、以下の8段階のプロセス「コッターの8段階のプロセス」が有効であると主張します。
「コッターの8段階のプロセス」から見える、DXの成功プロセス
危機意識を高める
市場や競合と比較し、自社のDXが進んでいないこと、うまくいっていないことを理解しましょう。DXが進まないことは今後の事業成長を左右すること、市場から淘汰されるリスクを理解し、まずはメンバーにそれらを周知することが第一歩です。
変革推進の連携リームを築く
DX成功のために、小規模でも構いません、変革推進チームをつくりましょう。その際、DX導入に意欲的なメンバー、DXに関するスキルは未熟であるものの、DX導入に重要性を感じているメンバーを変革チームに加えるのが良いでしょう。
ビジョンと戦略を生み出す
リーダーは、変革に導くためにビジョンを生み出し、ビジョンを実現するための戦略を立案します。コッターはビジョンを「将来のあるべき姿を示すもので、なぜ人材がそのような将来を築くことに努力すべきなのかを明確に、あるいは暗示的に説明したもの」と定義しています。要は努力次第で実現可能であり、簡潔かつ具体的、成功した暁には必ずや事業成長に直結し、チーム皆がハイタッチして喜び合える事が想起できるようなビジョンを打ち立てましょう。
変革のためのビジョンを周知徹底する
さあ、変革チームとビジョンが誕生しました。次はそのビジョンを周知徹底しましょう。社内の様々なメディアを通じて継続的にDX導入の重要性を発信することはもちろん、変革チーム自ら、期待する行動モデルとなることも大事です。
従業員の自発を生み出す
ビジョンが周知徹底されることで、DXの重要性に気づき、自発的に行動する人が増えてくることでしょう。DX導入を億劫と感じていたメンバーの意識が変わったり、スキル不足に悩んでいたメンバー同士が勉強会を開催し、理解を深め合い、自ら教師役となってスキル不足に悩む新たなメンバーを後押しする文化が醸成されるかもしれません。
そういったエンパワーメントするメンバーをDX推進リーダーは高く評価し、メンバーの潜在能力を開花させるべく、事細かく指摘や指示をせず、メンバーの成長を温かく見守ることが大事です。
短期的成果を実現する
業績上で、短期的成果を生む計画を立案し、成果を生み出します。そしてこれらの成果に貢献したメンバーについては、はっきりとリーダーは称賛し、報酬を与えます。DX導入に貢献することが評価に繋がることを組織全体に周知します。
成果を活かして、更なる変革を推進する
短期的な成果を活かして、新たなメンバー増員とそれに応じた変革チーム編成、古い慣習や古い社内制度を見直し、DX導入成功に即した慣習や制度に改革しましょう。DX人材の採用を本格的に行うほか、社内全体でデジタルリテラシーを高めるべくDXに関する講習会を開催するのも良いでしょう。
新しい方法を企業文化に定着させる
DX導入が事業成長に貢献することを周知徹底するのはもちろん、これらに貢献したメンバーは高く評価される制度を設計し、新しい企業文化を醸成しましょう。変革推進リーダーは後継者を育成し、さらにその企業文化を定着させることが大事です。
積極的なDX導入に向けて
いかがでしょうか。
一朝一夕でDXを導入することはできません。リーダーがいくら優秀な人材といえど、チームを巻き込んでDXを実行しなければ成功とはいえません。
社内全体が納得感をもって、本気でDX導入に意義を見出し行動する必要があります。
そのためには、リーダーが明確な戦略を具体的な言葉で継続的に発信することや、組織をどのように進化させたいのか、その理想を熱く語り続けることが重要です。そしてそのリーダーを支えるトップ層は理解を示し、DXを効率良く推進できる人材の登用や、デジタルツールやテクノロジーへの投資を惜しまず積極的に進めていかなければいけません。
DX導入には、沢山の障壁が待ち受けています。
困難にぶつかり、意気消沈することもあるでしょう。それでもその障壁を乗り越えた先には、必ずや成功があると信じ、私たちは努力し続けていかなければならないのです。
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