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人生の再出発まで、あと2日


3月24日。季節は春を迎えようとしている。
この時期に外を歩くのは心地よくて好きだ。
どうして大人になると時間はこんなにも早く過ぎていくのだろう。
クリスマスイヴからもう3ヶ月が過ぎたと思うと、その速さにゾッとする。

今年の始まりは、2年ぶりに家族と共に過ごせる理想的な新年の幕開けだった。
一昨年は、大晦日まで仕事をして終電間際で帰省。ギリギリに年越し蕎麦をすすり、慌ただしくカウントダウン。去年は、幼少期から夢にみた、ニューヨークのタイムズスクエアでの感動的な瞬間の中にいた。年の終わりと始まりが隣り合わせのこの一瞬はもう20年以上繰り返しているというのに、いつまでも私を興奮させる。

唯一違ったのは、世界的なウイルスの発生にかき乱された世の中がどう前向きに回復していくかという未来への不安と期待が混じり合った言葉にし難い気持ちと、全員がそれを少なからずどこかで感じているという一体感と共に、無観客の紅白歌合戦が映るテレビを眺めていた、その瞬間を今でも鮮明に覚えている。

そんな風にして幕を開けた新時代が1ヶ月ほど過ぎたある日、タイミングを確信した。決断の時は、今だ。そう強く思った。点と点がつながったのだった。

もはや誰でも聞いたことがあるであろう、2005年の米国スタンフォード大学卒業式で行われたスティーブ・ジョブズのスピーチ「Connecting the dots(点と点を繋げる)」の話にもあるように、人生には点と点が繋ぎ合わさる瞬間が必ず存在すると思う。

その点が意味するのは、目標や夢、現状、人、環境、それぞれ自分の周りを取り囲むもの、または自分自身である。そう感じる。

スピーチの最後はこう語っている。

(略)だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。


継続は力なり。成功や夢の実現は一晩で得られるものではない。
何かを信じなければ、結果は見えない。

私は、規則や常識、世間のルールという束縛にどうも苦手意識を向けてしまう。振り返れば、学校生活も私生活(主に恋愛)も、縛られることに嫌気がさしたのがキライを生んだ原因といえる。

新入社員として入社した会社を3年で退職し、英語という無我夢中で打ち込める趣味に惚れ込み渡米を決めた。社会人時代は、英語は独学で勉強していた。それがここまでスキで続けられた理由かもしれない。当時は海外に行けば英語が身に付くと思っていたし、周りが驚くほど自分ではアメリカに行くこと自体、対したことではないと思っていた。

この道に進むことは心のどこかで、すでに決まっていたのかもしれない。
その時がきたのかも。そうとさえも感じた。だから、決断できたのかもしれない。

現実はというと、そうは甘くはない。英語という高い壁に何度も絶望を感じた。絶望というより、落胆した。ただ、負けず嫌いで好きなものにはとことんのめり込む私は諦めなかった。喋る力を身につけることは自己防衛にもつながる。アジア系で女性。明らかにマイノリティーに分類される身としては、言葉というツールを使った意思表示が必要不可欠だった。英語が伸びたのは、そうさせる環境があったからだと改めて思う。

現地で得たのは、言語だけではなかった。文化の違い。その違いから生じる価値観の差。そして、自身の成長。周りからもよく喋るようになったとか、明るくなった、とか変化を評価されることが多くなった。恥ずかしがり屋で控えめで、人の後ろを歩く安心感を好む私はもうここにはいない。
日本にいた約10ヶ月間は、どこか喪失感と隣り合わせだった。
人と会えないこの環境がそうさせたのか、または逆ホームシックにかかっていたのか。明確な理由はわからない。ただ、自分自身や人生を再び見つめ直す良い機会を与えられた気がした。

そして今、ここに座って文章を書いている私は、新しいステージに胸をときめかせて希望を抱いている。少しの不安と共に。新生活を始める社会人や学生のような新鮮な気持ちだ。

私にはまだ安定という言葉は似合わない。小さな少女が高校生に憧れて、スタイルを真似るくらいの違和感。今、この時に経験しておきたいことも、見たい景色も、知らないことがたくさんある。そして、それらは近い将来実現する気がしている。

制限をかけずに思うがまま、一度しかない自分の人生を歩んでいきたい。
そんな思いで数ヶ月の間、再びアメリカで生活することを決めた。

セルフラブやマインドコントロール( Well-being(ウェルビーング)やWell-balance(ウェルバランス))を学びたい。
Self-esteem(自己肯定感)を高める力をつけたい。
フランス語を習得したい。
カメラや動画、クリエイティブな趣味に没頭したい。
ビジネスを始めたい。
English Leaner【学ぶ英語】から Teacher 【教える英語】にシフトチェンジしたい。
そして、書くことを続けたい。いつか、この点がさらなる点と繋がって、何かを生み出せるその日まで。思い続けること。大きさは関係ない。大切なのはそこにある思い。諦めなければその夢は叶う。身をもってそれを証明できる瞬間がもうすぐ訪れようとしている。


END


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