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187.今日は私の最後の日、今日でお別れとなりました。

「夢売人⑥最後の日」

 

こんにちは!

夢売り娘です。

みなさん元気ですか?

 

今日は私の最後の日、今日でお別れとなりました。

私が宝くじ売り場の仕事を始めてからもう8年が過ぎました。すっかりお婆ちゃんになりました。本来であれば定年なのに70歳近くまで働かせていただいて心から感謝しています。

 

今日は最後の日なので私の8年間の宝くじ売り場学んだ知識を紹介しますね。

©NPО japan copyright association Hiroaki

宝くじ一等の当選確率は1000万分の1だといわれています。つまり、1000万人に1人。東京都の場合で考えると、は赤ちゃんからお年寄りまで、東京都民全員が購入すれば一人は当たるという確率です。
5万人収容の東京ドーム200個分の観客の中で当たるのはたった1人というわけですから、宝くじはやはり運ですね。

では、人は何故、宝くじに夢を追い求め、買い続けるのでしょう?ここに不思議な人間心理が隠されているのがわかります。

つまり「当らない確率の方が高い」ことをわかっていて買っていることです。
また、宝くじ売り場に並ぶ多くのお客様とスーパーに並ぶお客様とは明らかに違う点があるのがわかりますか?

注意して見ていると、スーパーに並んでいるお客様は並んだだけでかなりイライラしているのがわかります。それに対して、宝くじ売り場の行列ではとても静かな表情をしていることがわかります。私がトイレに行くために「しばらくお待ちください」という張り紙をして出かけ、戻った時に怒る人はいません。

 みなさん穏やかな顔をしています。これは宝くじの効能かもしれません。イライラしたり怒ったりすると運気を逃す、縁起が悪いと日本人は考えてしまうのでしょうか?それにしても静かで助かります。
また、もう一つの効能があります。例え当らなくとも、もしかすると当たるかも知れないという心理が働き、当選日の当日まで夢が描けるというものです。 

宝くじは100枚買えば良いものではありません。10枚でも枚でも、たった1枚でも夢を買えるからです。

「さて、当ったらあれとこれが欲しい!」

「子どもにプレゼントしたい!」

「洋服が欲しい、車が欲しい、家だって買いたい!」「私は将来の為に貯金したい!」「借金を失くしたい!」と、人によって様々な夢が叶出ます。

ある意味、とても安い買い物かもしれませんね。

©NPО japan copyright association Hiroaki

 

私の最後の1日も、宝くじを購入する人に「当たりますように~」と言い続けました。最後なので特に念力と心を込めて祈りました。私の小さなお店は最後なので室内から建物をきれいにしてあげました。考えて見たら建物を拭いてあげたのは初めてのことです。何年もいるとその場所にも情というのは残るのですね。「次の人をよろしくね!」と挨拶してあげました。

会社に戻り、最後の挨拶をしました。顔なじみの同僚などあまりいませんが、偉い人にはきちんと挨拶して最後の給金をいただき終了となりました。

 

まだ、実感はありませんが、少しばかり涙が出て来ました。人生70年近く生きていれば数多くのお別れがあったはずなのに寂しさは隠せないようです。

 

私は、明日からどう生きましょうか?

毎日、何かをやることがあることは幸せなことです。それが仕事であれば何かしら世の中や人のためになるわけですから、こんに素晴らしいことはありません。それがどんなつまらない仕事であっても、世の中の何かに役に立ち、必要とされているわけですから私の生きている価値を見出すことができるからです。

仕事がない生活、何もない生活などなんと退屈な生活なのだろう?

私は宝くじ売り場のそばのベンチで別れを惜しんでいました。

 

宝くじ売り場を眺めていたら、現実感が湧いてきました…。本当に私は明日からはここにいない、道行く人の姿を見る事ができない。道行く子どもたちの成長やこの場所の風景や四季を感じる事ができない、それだけで涙が出てきてしまいました。

 

翌日、私は恥ずかしい勘違いをしてしまいました。

©NPО japan copyright association Hiroaki

それはいつもと同じ時間に起きて、バスに乗り宝くじ売り場に出勤してしまいました。売り場にいる別の人の姿を見て、我に返りました…。私は昨日で終わっていたのです。私は恥ずかしくてその場を一瞬離れようとしましたが、宝くじ売り場のそばにあるベンチに座りジュースを飲むことにしました。しばらく眺めていると、お客様が列をなし、私の後継者(30歳ぐらい)がぎこちなく窓口で応対していました。ああ、私もあんな感じで働いていた。この場所から自分の姿を見ているような錯覚を覚えました。

お客様の列がなくなり、私は宝くじを買うことにしました。窓口の女性はやさしそうな笑顔で私に接してくれました。

「いらっしゃいませ!」、いいね、若い人は。

「宝くじを下さい…」

「どれにしますか?」

「その100円の宝くじを下さい」

「はい、何組、御入用ですか?」

「ごめんなさいね、1枚で良いです!」

彼女は変な顔一つせず、

「100円券1枚でよろしいのですね。承けたまわりました」

「はい、100円になります」

「悪いね、1枚だけで!」

「あたりますように…」

一瞬、涙が出てしまいました。わずか100円券1枚だけの購入なのに、当りますようになんて言ってくれるなんて。私には嬉しかったのかもしれない。

「あなた、頑張りなさいね…」

「はっ、はい。ありがとうございます!」

私は、安心したのかもしれない。素敵な女性で良かった。

 

私はこの日から、毎日、1日1枚、100円分宝くじを買い続けています。1か月で約30枚、3000円の出費ですが、30回、30日分の夢を買い続けている。1年経てば365回、365回の夢を見ることができる。

宝くじの楽しさはここにあるのかもしれない。

 

私は「夢売り娘」から「夢買い娘」となった。

 

あたりますように!

幸せでありますように、

素敵な世の中でありますように、

平和でありますように、

 

世の中が喜びに満ち溢れますように、と。

 

人生はあなたが思うほど悪いものじゃあないわね。

福をもたらす招き猫「マコ」

 史上最高10億円年末ジャンボをもたらす「招き猫」売り場。


福をもたらす招き猫「マコ」

ついに「史上最高」の年末ジャンボ宝くじの発売がスタートした。当せん金額は一等・前後賞合わせてなんと10億円!

売り場には連日長蛇の列ができている。

どうにか高額当せんを目指したい──そんな期待に応えるべく各売り場では幸運グッズを配ったり、縁起物を置いたり、開運祈願に神社にお参りしたりとさまざまな願掛けを行っている。

「なかでも今年とくに注目されているのは“猫”“犬”売り場です。動物は生命エネルギーにあふれていますが、その中でも猫と犬は人間と共に歩んできた長い歴史がありますから、エネルギーが開運パワーにつながりやすいといえます。昨年の年末ジャンボで7億円の当せん金額を出したのも“猫売り場”ですからね」(風水師・高村実久さんのコメントより)

昨年の年末ジャンボ宝くじで1等・前後賞合わせて7億円、3等100万円を7本出した東京都江戸川区の京葉交差点宝くじセンター。この幸運を招いたのは売り場の看板“猫”、全身がふんわり真っ白のマコ(メス・5才)だ。

「うちにマコが来たのは5年前。生まれたばかりの赤ちゃん猫をお客さんから譲ってもらったんです。そうしたらその年の年末ジャンボで1等・前後賞合わせて3億円がいきなり当せん。その後、ドリームジャンボでも1等が2本も出ました。マコが高額当せんを運んできたと話題になったんです」売り場責任者の吉田俊秋さんのコメントより。

その隣にマコがおとなしく座っている。

「この売り場は戦後間もない昭和20年にたばこ屋としてスタートしました。宝くじの販売はもう30年以上になります。これまでの当せん金額は、56億円を超えますが、マコが来てからの運気アップには驚かされますね」(前出・吉田さんのコメントより)

今年に入ってからも、グリーンジャンボ3等やドリームジャンボ3等など、100万円の当せんを11本も出している。

「最近はマコに触ろうとする列が売り場の列より長くなることもあるんですよ。マコはお客さんに触られてもニコニコしていて、営業向きの猫なんです(笑い)。みなさん喉や額とか肉球を触って癒されてますね」(前出・吉田さんのコメントより)

遠方からマコの好きなマタタビや食べ物をもって売り場にやってくる人もいるという。

そんなマコにライバル宣言するのは1才年下の看板娘、茨城県水戸市・糸久たばこ店のハチ(メス・4才)。額に、まるで八の字眉のような模様があり、「末広がりで縁起がいい」と評判だ。

                2015.11.26 07:00  女性セブンより引用

coucouです。みなさん、ごきげんよう!
本作はすべて実話です。残念ながら夢売り娘のおばちゃんは引退していなくなってしまいました。いつもの売り場を見るたびに寂しく思います。それでも年末ジャンボ宝くじとジャンボミニを購入しました。
本年12回目、12か月目の宝くじ購入です。

買うたびに思うのですが、当たったらどうしょう?といつも頭の中がくるくると回るのですが、よく考えてみるとすぐさま欲しいものがありません。
それでも当たったらどうしましょう?

さんざん考えたあげく、弟や子どもたちにあげる以外使い道がないことがわかりました。でも、大金をあげたらその人は駄目になってしまうかもしれません。
心配が先立ちます。

ならば寄付が一番喜ばれるかもしれない、と寄付先を探しました。
それでもどうしたらいいのかわからないので市役所に相談したところ、「それは、宝くじが当たった場合のことですよね…」と冷たく足われてしまいました…。

頭に来たので、寄付のことをやめようと断念したのですが、冷静に考えれば、まだ当たってもいないのですから、私は単なる冷やかしに思われたことに気づきました。

でもね、当たったらどうするのですか?とその担当者に問いたい!

やはり、私はおかしいのですかね…。 

夢売り娘のいない宝くじ売り場に出向いたら30歳ぐらいのきれいな女性が、「当りますように!良い年をお迎えください!」と笑顔で言われてしまい、もう当たらなくとも、当たっても通い続けようと再び決心したcoucouさんでした。


※シリーズ6部作「夢売人」

160.①「私のような老婆でも、少しは世の中に役立つ場合もあるのかもしれないわ。」
161.②「ああ、神さまなんて、この世にはいないのよ!」
184.③「私はね、花売り娘、いえ夢売り娘です。」
185.④「兄さん、兄さん、100万円、100万円当たったんだよ!」
186.⑤「私の若い頃はね、とても可愛くて人気者だったのよ!」
187.⑥「今日は私の最後の日、今日でお別れとなりました。」

187.の本作で最終回となりました。



今日も、最後まで読んでくれて

みんな~
ありがとう~




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