![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/59902020/rectangle_large_type_2_cd58d5e8b0dc432d5988ffaec182c496.png?width=800)
74.ああ、時は、なんて早いの。人生はまるで砂時計のように思えるわ!
「明日への手紙・あれから」
夜汽車に乗っていつまでも、いつまでも手をふり続けていたつばさ。
あれから2年が過ぎ、もうすぐ母になるつばさ。
私はあなたのことを、ひとり想い出しています。
花嫁になる日までのあなたの想い出をかみしめたように、もう一度あなたの幼い頃のことを味わっています。
子どもが生まれると、周りにはあたたかな、しあわせな雰囲気が生まれるのはなぜでしようね。赤ちゃんは泣きますが、周りは笑顔に包まれます。わたしはあなたの泣き声を想い出しました。
わたしもあなたと一緒に泣いていたのを覚えていますか?
その日はかみさまが与えてくれた今日という一日でした。
あれから28年以上もの年月が流れました。次はあなたが母親になる番ですね。そして、わたしが微笑む番です。
あなたが、これから誕生する赤ちゃんと一緒に泣いているのが見えます。実は、そんな情景を思い描きながら、わたしもまた泣いてしまっているのです。
いのちからいのちへ、そしてまた、
いのちからいのちへと続いていくのですね。
おばあちゃんからわたし。わたしからあなた。生まれてくる赤ちゃんは四代目になるのね。
もうすぐ三人の母親に見つめられて、四人目の母になる子が生まれます。
さあさあ、顔を見せてちょうだいな。
新しいいのちさん、あなたにふたつの詩を贈ります。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60890434/picture_pc_c09e39c1bdae170343c071b0cd24b054.jpg)
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60863209/picture_pc_b3a833880265022d0442052f4cac4d23.png)
絵本「今日」作者不詳 伊藤比呂美訳 福音館書店刊より
「TODAY(今日)」
今日、わたしはお皿を洗わなかった。
ベッドはぐちゃぐちゃ。
漬けといたおむつはだんだんくさくなってきた。
昨日こぼした食べかすが、床の上からわたしを見ている。
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい。
雨が降るまでこのままだとおもう。
人に見られたらなんていわれるか。
ひどいねぇとか、だらしないとか、今日一日、何をしていたの?とか。
わたしは、この子が眠るまで、おっぱいをやっていた。
わたしは、この子が泣きやむまで、ずうっとだっこしていた。
わたしは、この子とかくれんぼした。
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした。
それはきゅっと鳴った。
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった。
わたしは、この子にしていいこととわるいことを教えた。
ほんとにいったい一日何をしていたのかな。
たいしたことはしなかったね、たぶん、それはほんと。
でもこう考えれば、いいんじゃない?
今日一日、わたしは、澄んだ目をした髪のふわふわなこの子のために、
すごく大切なことをしていたんだって。
絵本「今日」作者不詳 伊藤比呂美訳 福音館書店刊より
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60890490/picture_pc_4451e7596932eecdbeb39d23543b9a3e.jpg)
人は生まれる時に泣き、周りをしあわせの笑顔でいっぱいにしますね。
人が逝く時、やっぱり周りは涙を流し、悲しみの渦に包まれます。
逝く人は感謝の微笑みに包まれて、この世から離れていきます。
でも、どちらも幸せと喜びと感謝の涙ですね。
「A TOUCH OF LOVE(ふれあい)」
六月の赤ちゃん。
笑顔をふりまくあなた。
わたしが瞬きするうちに、いつのまにかひとつになっていた。
ふたりでいっぱい楽しむはずだった一年なのに、
いつのまにか、あなたはふたつになっていた。
ふたつのあなたは、わたしに甘えっぱなし。
みっつになったら、自分の意志を持ちはじめた。
みっつのお誕生日、もう少しこのままでいてほしいと願ったけど、
ケーキの上のろうそくは四本になっていた。
よっつになったあなたはすくすく育ち、
ああ、もうあなたはいつつになってしまった。
今やあなたは本や規則を受け入れる時がきた。
そう、あなたはもう学校に行く歳になった。
ついにその日がやってきて、あなたはきっと不安でいっぱいのはず。
ふたりでゆっくりと名残を惜しみながらバスに向かう。
あなたがバスのステップに足をかけ、わたしにさよならと手をふる。
言葉につまり、わたしは涙が止まらなくなった。
ああ、時間はなんと早く流れていくの。
つい昨日まで、あなたと過ごした時間は夢のよう。
そして明日、バスがあなたを連れ帰り、あなたの両足が地面についたとき、
あなたは立派にキャップとガウン(卒業式)を身にまとっているのでしょう。
だからこそ、わたしはこの一瞬一瞬を握りしめておこうと想う。
次にあなたを見やるとき、あなたの横にはたくましい男が立っているのだからね。
作者不詳 創訳COUCOU
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60890537/picture_pc_fddc4de7c798f4d92882ef9d253879e2.jpg)
ああ、時は、なんて早いのでしよう。
人生はまるで砂時計のように思えます。
ある百歳の老人はいいました。
「百年なんてあっという間に過ぎる。もし人生が二百年あっても同じだろう。だがな、一日を一年、十年と想って味わえば、何百年も人は生きることができる。だがな、実際に何百年生きたとしても同じ。人生はあっという間に過ぎ去るものよ・・」
©Social YES Research Institute / coucou
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60890630/picture_pc_27e8088b079dbd03c0626f64b97efed5.jpg)
coucouです。みなさま、ごきげんよう!
このつばさの物語は、私のかけがえのない人の一人です。言葉こそ少ないけれど、娘を見続ける、見守り続ける姿を見ていたら、この物語が生まれました。夜汽車は結婚式を挙げてしあわせそうな、かなしそうな顔をしている娘さんの心を代弁したものです。
いつのまにか、私は母親となってしまいました。
みんな、いつもありがとう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?