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水 セパン,マレーシア

シンガポールで熱中症になったが、そのままマレーシアに向った。

空港に着いたとき、リュックにはペットボトルの水がちょうど1本ある。
今晩と明日のことを考えるともう1本くらいあった方がいいなと思った。
でも、ホテルの部屋に2本くらいあるだろうと思って買わなかった。

しかし、ホテルの部屋には水がなかった。さらに、確実に熱を持った体が水を欲しまくる。

体は震えているのに、体はめっちゃ暑い状態。冷房をつけるべきなのか、消すべきなのか分からない。頼れる人は誰もいない。

そして、翌朝には水が無くなった。安易だった。

ホテルを出て駅に行けばあるだろうと思い、だるい体を引きずりながら自販機を探す。

ようやく自販機を見つけて安堵する僕に、魔の手。
なぜかお金が使えない。

5MYRを何度入れても、不味そうに吐き出す自販機。

人生で1番水を欲していたときに、あと一歩のところで水が手に入らない。
そこに、神の手。

なんとか水を手に入れたい一心で、通りかかった男性にExcuse me.

「I don't know how to use this vending machine.」
(自販機の使い方がわかりません)

こんなわけ分からんセリフはどの洋画でも見たことはないが、その男性は真摯に向き合ってくれて、自販機と格闘してくれた。

ただ、僕の5MYRは何回入れても嫌われる。

するとその人は、自分の財布から1MYRを複数枚出して入れてくれて、それはちゃんと読み込まれた。彼は好かれているようだ。

そして、水を奢ってくれた。彼が自販機に愛されている理由が一瞬でわかった。

僕にとって、一生忘れられない水になった。

その人が買ってくれた水


水から気づいたこと。

僕たち次第で、水は変わる。
馬鹿舌の僕は、水の味は基本的にどれも同じように感じる。違うのは量と値段ぐらいで、どの水もクオリティーは同じ。

ただ、味は同じでも、この水は美味しすぎた。
その理由は2つあって、1つは僕の健康状態。前日から体調不良で、且つ今朝からほとんど水を飲めていない。とにかく体が水を欲している。

2つ目は僕の精神状態。自販機に苦戦し、見知らぬ男性と一緒に格闘したストーリーが、さらに水を美味しくする。

水は変わらないけど、僕たちに変化があれば美味しくなる。


世の中には自分の価値に懐疑的な人がいるかもしれない。
でも、その価値が格段に上がるときが来るかもしれない。

世の中は、僕の健康状態や精神状態よりもきっと変化が激しい。
その変化の中で、もしかしたら必要とされるときが来るかもしれない。

変化の多い世の中だからこそ、そのまま待っていれば誰かの需要に応えられるかもしれない。価値を生めるかもしれない。


あと、人と水には違いがある。

水は自ら水以外になることはできない。
人為的に炭酸水にされたり、ジュースにされることはあるだろうが。

でも、人は自ら変われる。
自分の意思で何者かにはなれる。

だから、待つのが面倒な人は自分から変わって、変化に対応したらいい。

結局、待っても追いかけても、どっちにも可能性があるのかも。

でも僕は追いかける。ときどき待つ。
あと、待ち方もあるはず。



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