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172.え!信じられない~映画監督には著作権がないの?そんな馬鹿な~

29.え!映画監督には著作権がないの?


 
「映画監督に著作権はない」というと驚く人は多い。

著作権法第十六条では、映画の著作者とは、「制作、監督、演出、撮影、美術等を担当して、その映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与したものとする」と明記されている。

第二十九条では、「著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する」と記されている。

実際には製作会社などが著作権を所有しているのが実状である。

しかし、国際的な著作権保護の基本規定「ベルヌ条約」(1886年制定)の精神では「著作者は自然人に限る」とされ、日本も加盟しているものの、日本では、小説家、作曲家、画家などには著作権は認められているが、映画監督には著作者人格権同一性保持・氏名表示権があるだけで著作権はない。

とても、不思議だと思う。
映画と言うものは、映画監督の采配、感性、能力などが間違いなく影響を及ぼすことがわかる。しかし、映画と言うものは「原作」があり、そのための「脚本」「ナレーションや言葉」「音響」「音楽」「映像」「写真」「衣装」「時代考証」「肖像」「演者」「編集」、その他と権利関係がとても複雑だということがわかる。映画の最終に流される関係者のテロップを見れば良くわかる。
そして、その映画のお金を支払う配給会社などにも権利があり、膨大な権利の固まりだということがわかります。

チャールズ・チャップリン  出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

ただ、チャップリンの様に、原作から脚本、音楽、演者等、撮影以外はすべて自分でこなしている場合はすべてチャップリンが著作権者になることがわかる。また、撮影から編集などもチャップリンの指示のもとに作られているため、厳密にいえば撮影なども譲渡できるものなのでチャップリンはすべての著作者であり、著作権者として名乗ることが出来る。

また、これは契約上の問題になるが、その映画に携わる関係者からすべての権利を監督が譲渡されているものはその監督に全ての権利があるものだといえるでしょう。

音楽の世界も同じ。音楽の場合は、「作詞」「作曲」「編曲」「歌手」「演奏」「録音(原盤)」「デザイン」「肖像」、その他の著作物の固まりですが、たとえ歌手であっても「著作権譲渡契約書」をそれぞれの著作者から頂ければ、その歌手の方にすべての著作権は譲渡することができる。

このように一つの作品を複数の方々とのある意味「共同著作物」の場合、それぞれの著作者から譲渡されなければ勝手に利用はできません。

30. ♪すみとも せいめい♪CM用音楽サウンドロゴは著作物?


だいぶ前ですが、みなさんは覚えておられるでしょうか?
面白い事例なので参考になるかもしれません。

日本のサウンドロゴ集↓

2006年1月4日。「すみともせいめい〜」という約2秒半のCM用「サウンドロゴ」をつくった作曲家が発注元の住友生命に対し、著作権の存在確認や使用料と賠償金計500万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。
「サウンドロゴ」とは、CMで企業や商品の名を印象づける短い音楽のことをいう。

住友生命は、「サウンドロゴは著作物ではない」と主張し、作曲家は、「短くても独立した音楽作品」と反論した。

訴えをおこしたのは、生方則孝さん(46)。生方さんは、「内容の無い音楽会」などの作品を制作する一方、「三井のリハウス」(三井不動産販売) のサウンドロゴ制作などでも知られている。

生方さんが住友生命のサウンドロゴを受けたのは、1986年。女声四重唱で「住友生命」と歌う約2秒半の音楽で制作費は15万円だったという。

契約書は交わさなかったが、生方さんによると、当時の相場では1年間使う場合の報酬の約2倍だったといい、3年から5年間は使われるだろうと思っていたという。

だが、このサウンドロゴは1987年から1995年までの8年間使われ続け、さらに2005年4月、ほぼ同じメロディで別の音楽家が編曲し直したロゴ入りのCMが再登場した。

生方さんは住友生命に協議を申し入れたが、2005年6月に同社が断ったため提訴に踏み切った。

「CM音楽業界では制作者の権利がないがしろにされがちで、誰かが声を挙げないと改善されません」と話し、「短い秒数で印象的に訴えるには経験と技術が必要です」と独自性を主張する。

住友生命の調査広報部は「訴状を確認していないのでコメントできません」としていた。

サウンドロゴに関しては、「6月の時点で著作権に詳しい複数の弁護士に照会しましたが、『漢字4文字の社名を歌っているだけで創作性はない』という見解でした」といい、著作物とは考えていないと話しているという。

さて、どういう結末を迎えるのだろう。

私見だが、サウンドロゴに関して著作物と見なすかどうかについては確かに判例はないが、極端に短い曲であろうが、メロディには変わりはない。

創作性があるかどうかが問われるのであって、弁護士のいう漢字4文字にこだわること自体がおかしいと思える。
創作性のないメロディは、つまらない。

それが今回の答えといえる。

その後、

紛争の早期解決の観点から、当事者双方が敬意を表明し合って(原告は広告媒体に使用される「すみともせいめい」と言う企業名に敬意を表明し、被告は原告による「すみともせいめい」サウンドロゴの制作に関する精神的営為に対し敬意を表明)円満解決しました。

最終的には、良かったなと思います。
著作者の「住友生命サウンドロゴ裁判」より、下記ブログの参照を。


住友生命サウンドロゴ裁判: uBuLOG2:バトルライフinフランス (sblo.jp)http://ubulog.sblo.jp/category/73908-1.html


31.「十八 歳未満おことわり」残虐ソフトには必ず表示 


2006年2月日。ゲーム業界団体・社団法人「コンピュータエンタテイメント協会」は、残虐な表現を含む家庭用ゲームソフトについて、新たに「十八歳未満禁止」と表示し、子どもへの販売規則を徹底すると発表した。
販売済みのソフトもすべて再審査し、一般ソフトと明確に区別するという。

この残虐ゲームは、識者から殺人など重大な少年事件へと影響する恐れありと指摘され、全国の自治体が規制する動きを見せ始めた。


Aerodynamik - 航空力学 Aerodynamik - 航空力学より

「十八歳未満禁止」の表示は東京都が業界に強く求めていた。
審査はNPO法人に依頼し、具体的には切り落とされた人の手から血が出たりするなどの残虐な映像を含むソフトを「十八禁」とする予定。

2006年5月以降に出荷されるものについては、メーカーがパッケージに「十八歳未満には販売しない」などと明記する。

現在、18歳以上対象として販売されている約110作品について改めて内容を見直し、過度な残虐表現を含むものは5月末までに歳未満販売禁止対象となる。

残虐な場面を含むゲームソフトの「有害」指定にかかわる主な動き (in-movement.org)


©NPО japan copyright association

「クリエイター著作権全般」特定非営利活動法人著作権協会(NCA)

 
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Character design©NPО japan copyright association Hikaru

 





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