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218.「ミシュラン」の商標を勝手に使わないでください!

1.ネーミングでまちおこし「高幡不動」の商標登録


 2008年(平成20年)12月11日、東京都日野市の高幡不動尊金剛寺は、地元のPRに役立ててもらおうと寺の代名詞「高幡不動」の4文字を商標登録した。

高幡不動尊は関東三大不動の一つに数えられ、年間約200万人の参拝客が訪れている。
この商標登録については、1年前に出入りの業者と寺側の雑談の中で生まれたという。

不思議なことに、参道周辺で売られている土産物というと「高幡まんじゅう」や「高幡せんべい」などはあるが、高幡不動という名称の商品がなかった。
寺の川澄勝貫主らが同年6月に特許庁に商標登録を申請し、登録された。
注目すべき点は、商標を使用したい店や団体は金剛寺に申し込む必要があるが、使用料は無料だという。

これは地元のPRに役立てたいという高幡不動尊金剛寺の願いからだという。これにより、地元の商店会は「高幡不動」のネーミング効果を考え、オリジナル商品を開発していくのだという。

日本全国の多くの地域、地元は、このようなアイデアをどんどんと取り入れて地域の活性化につなげていけば面白いのに…。

「高幡不動」ガンバレ!

東京おでかけガイドより
東京おでかけガイドより 
http://risoku-kan.com/hino/areanews/takahatafudoson/より


2.「着うた」装い違法配信容疑、なんと!著作権収入年間1億円、主な収入源はサイトの広告料だった!


 
2008年(平成20年)10月21日、京都府警ハイテク犯罪対策室は、一曲まるごと携帯電話にダウンロードができる「着うたフル」を装いヒット曲を違法配信したとして、兵庫県姫路市の無職男性(28)と川西市の会社員男性(53)の2人を逮捕した。

この「着うたフル」の違法配信の摘発で逮捕者を出したのは日本で初めてのこと。この無職男性は「着うたフル」を無料で配信するサイト「第③世界」を運営していた。

日本レコード協会(東京)によると、同サイトは約2万曲が登録され、利用者は100万人以上という国内最大規模の違法音楽配信サイトで人気を集めていた。
サイトの広告料として2年間で約1億2千万円の収入を得ていたというのだから驚きだ。
逮捕された2人はまったく面識はなく、メールでやりとりをしていたという。

調べによると、2008年の5月下旬から6月下旬にかけて、歌手の浜崎あゆみさんの「HOPE or PAIN」など3曲を不特定多数がダウンロードできるようにし、レコード会社などの著作権を侵害した疑いだった。


 


3.「ミシュラン」の商標を勝手に使わないで!


 「ミシュラン」の名称を使用しないことのお願い。

拝啓、貴社益々ご清栄の事とお慶び申し上げます。
この度は、フランス国クレルモンーフェラン63040、コース・サブロン12に所在するシージーイー・ミシュラン(Cimpagnie Generale des Etablissements Michelin (Name of representative director of CGEM):以下「弊社」という)の代理人として本書を差し上げております。

さて、突然ではございますが、弊社の略称「ミシュラン」はタイヤの商標として、また、世界有数のタイヤメーカーであり、F1(フォーミュラ1)自動車レースや世界ラリー選手権、およびモーターサイクルレースを協賛する会社の略称として、世界のみならず、日本市場におきましても充分に著名となっているものと確信しております。

また、ご案内の通り、弊社は毎年、複数の国において、ホテルやレストランのガイドとして「ミシュランガイド」(レッドガイド) を発行しております。その中で、レストランのクオリティを判断するために星印による評価システムを採用しております。このガイド及び星印格付システムは、おかげさまで世界中において好評を博しており、今月には東京版が発行される運びとなっております。ガイド発行前であるにも関わらず、既に日本では「ミシュラン」の名称及び星印評価システムが広く知れ渡っているものと考えております。
ところで、昨今、レストラン、およびその他の多種多様な分野で、クオリティを比較する手法またはその名称として、弊社が採用している星印格付システムとともに、弊社の略称である「ミシュラン」の商標を出版物やウェブサイトに使用している出版業者の方々や、個人ウェブサイトのオーナーの方々が数多く見受けられます。

先刻ご承知の通り、「ミシュラン」は弊社の登録商標であり、かつ社名の著名な略称でもあって、他人に無断で使用されるべきものではありません。
弊社は強い意思をもって、書籍その他関連商品並びにインターネットにおける表示等に関し、ミシュラン商標の使用を排除し、独占権の積極的な防御を図ることを考えております。無断使用に対して何ら対処を行なわない場合、弊社の業務に係る商品あるいは役務と出所の混同を生じるおそれがあり、弊社が何十年もの長期に渡り商標に化体させた業務上の信用を毀損し、著名性が稀釈化されるおそれがあります。

従いまして、弊社の略称であり、かつ世界的に著名な登録商標でもある「ミシュラン」を無断で使用しないこと、及び星印品質評定システムを使用する際には、特に許可なく「ミシュラン」の名称を併用しないように、厳にここにお願い申し上げる次第であります。〈広瀬国際特許事務所〉

法的通知 - Michelin Engineering & Services


これは各マスコミ、出版関係者に送られた「ミシュラン」の名称及び☆☆☆星評価システムに関する注意のお願い文だ。
たしかに、本屋に行くとこの手の便乗本が目立つていた時期があった。

「ミシュランが選んだお店」「ミシュランに選ばれたお店」というような表現だ。ほとんどが使用許可を取っていないという無法地帯となっていることも事実だが、すべてのものに使用してはならないと勘違いしている人も多い。
わたしの地元八王子市の高尾山はこのミシュランに選ばれ、富士山と並び認定された地域だ。
しかし、八王子市の広報やホームページ、その他大手出版社が八王子に関する本を出しているが、ほとんどがこの注意文を意識しているのか、せっかく選ばれたというミシュランの三つ星の言葉を利用していない。

ここでの注意点は「ミシュラン」という言葉を営利目的で、便乗商法的、または表現の仕方に問題があり、著作権第32条では「引用」ということも認められており、その「引用」の範囲ならば何ら問題がない。

つまり引用の定義にそって表現してあれば問題はない。

ただ法的に問題がなければそれでいいのか? ということも残るが、必要な場合は必ず許可を取ることも大切な礼儀のひとつといえる。

NPO法人著作権協会が今回発行した新刊「高尾界隈」は序文に、この「ミシュラン」のことを書いた。

もちろん、法的にはまったく問題はないが、確認・許可は礼儀として取ったものだ。ぜひ一読を!


©NPО japan copyright Association


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※注 この著作権noteは1999年からの事件を取り上げ、2000年、2001年と取り上げ続け、現在は2002年に突入。今後はさらに2003年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
これらがnoteのクリエイターさんたちの何かしらの参考資料になればと願いつつまとめ続けているものです。また、同時に全国の都道府県、市町村の広報機関、各種関係団体、ボランティア、NPО団体等にお役に立つことも著作権協会の使命としてまとめ続けているものです。ぜひ、ご理解と応援をよろしくお願い申し上げます。
                           特非)著作権協会

 
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