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看護体験談

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看護師として経験した体験談を載せています!
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感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑩

感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑩

深刻な人員不足

「あのー…そろそろ人増えないんですかね?」
「確か当初の話では感染状況を見ながら人員補充してもらえるって話だったと思うんですけど…」
と、単刀直入にスタッフ皆で病棟師長に確認した。

師長は険しい表情をしながら
「一応…全看護師に意向調査はしてあるんだけど…やはり移動してもいいと答える人はそんなに居なくて…でも、何とかするから。」

そう回答が来た。

それはそうだろうなと感じた

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感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑨

感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑨

予想外の感染

「プルルルル…プルルルル…。」
感染が日々拡大していく中で
病棟の電話が鳴った。

近くにいた看護師が電話を受けると
「え⁉︎」と驚きの声をあげた。

思わずその声に作業を止めて振り返った。

電話を受けた看護師は
「何でそんなことに⁉︎とりあえず師長と方針をと話し合いますから!折り返しを待ってください!」と言って電話を切った。

何かあったな…と張り詰めた空気が漂った。

そして

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感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑧

感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑧

少しずつ動き出す世の中

新型コロナウイルス感染者の波が少しずつ落ち着く中、感染拡大で打撃を受けた観光業への支援策としてGo To トラベルが始まっていた。

そのニュースを見て正直な感想は
(観光業界にとって朗報だけど私達には悲報かも知れない)
という事だった。

感染がまた拡大するとしか思えなかったからだ。

世間がGo To トラベルで旅行に活気付いても
さすがに旅行気分にはなれなかった。

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感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑦

感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑦

感染拡大

Aさんの感染から間も無くしてあっという間に感染が広がっていた。

連日のように新型コロナウイルスに関する報道があり、オリンピックの延期も発表されていた。

ナースステーションの休憩室で食事をしながらそのニュースを黙って見ていた。
感染を少しでも防ぐために黙食が徹底されていたのだ。

(こんな世界情勢じゃオリンピックが延期になるのも当然か…
なんか、暗いニュースばかりで気が沈むな…。)

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感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑥

感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑥

世間の反応

県内ニュースでは毎日何名の感染者が出ているか報道がされていた。
その頃には県内全域に新型コロナウイルスの患者が少しずつ広がっていた

この状況をみて、暫くは応援業務も中止となり患者対応の見直しに追われていた。

仕事を終えて帰宅すると
家の近くに
昔から顔見知りの近所の方が
集まって話していた。

私が「こんにちは」と笑顔で声をかけて会釈すると
近所の人達は驚いた表情を見せて
「こ、

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感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑤

感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜⑤

陽性患者発生

それから毎日、感染症病棟での準備、他部所への応援とバタバタした日々を過ごした。

県内でも数人ではあるが患者発生の事例が報道された。

「ついに…新型コロナウイルスがこの県にも来たか…」
「まぁ遅かれ早かれこうなったよね。そのために準備してきた訳だし…」
と感染症病棟の皆でその報道を見ていた。

そして…数日後
私の勤務する病院にも
市から新型コロナウイルス感染症疑いの患者のPCR

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感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜④

感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜④

全科受け入れ

その話は、ある日突然やってきた。

マニュアル作成をしながら病棟師長もその確認をしていた時のことだった。

「マニュアルのここだけど、何科を受け入れるかによって必要物品が変わるからそれを書き出したがいいね。手術とかで必要なものもある訳だし」

と言った師長の言葉に
皆が「ん??」といった困惑した表情になった。

師長は周囲の反応に
「え?何が変なこと言った?」と
驚いた表情をした。

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感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜③

感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜③

他部署への応援業務

幸いなことに、県内ですぐに感染者は発生しなかった。
その間に感染管理認定看護師に確認しながら、マニュアルの作成や手順の確認などに追われていた。

勤務時間を超過してもマニュアルなどを準備している私たちをみて
感染管理認定看護師はこう言った。

「みんなちょっとキリのいい所で作業を辞めてほしい。
感染対策として1日でも早く準備することは大切なんだけど…
それで体調を崩して免疫が

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感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜②

感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜②

新型コロナウイルス患者の受け入れ準備

病棟では緊急の勉強会が行われた。
そこで、新型コロナウイルスが発生するまでの経緯で現状発覚していることや、感染者の症状、そして対応方法についての説明があった。

医師が県の会議に呼ばれてから数日後
看護部長と感染管理認定看護師と呼ばれる、感染症対策に関する専門性を持つ看護師が病棟にやってきた。

そして看護部長は
「忙しいところ申し訳ないんだけど、話を聞いて

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感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜① (全⑬話)

感染症病棟〜新型コロナウイルスが変えたもの〜① (全⑬話)

あらすじ

看護師として勤務する看護師の川崎夕は、大変ながらも充実した日々を過ごしてた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大と共に業務内容も人間関係も大きく変わっていく。この物語は感染症の脅威と闘いながら過ごした日々を記したものである。

新型コロナウイルスの発生

―1964年以来の57年ぶりの東京オリンピックの開催が近づいていますね!楽しみです。では、次のニュースです。中華人民共和国湖北省武漢

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後輩看護師の真剣な悩み

後輩看護師の真剣な悩み

ある日、業務を行っていたところ
いつも元気な後輩Aちゃんが明らかに元気がない様子でした。

(どうしたのかな…でも声かけないほうがいいこともあるよね)
と少し様子を見ていました。

しかし、数日経過しても明らかに元気がなく
ため息をついていました。

そしてAちゃんにこっそり話しかけました。
「Aちゃん…なんかあった?最近元気ないよね?悩みでもある?」
するとAちゃんは顔を挙げて
「えっ…!なんで

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看護体験談~夜中に不審な物音⁉~

看護体験談~夜中に不審な物音⁉~

看護師で夜勤をしていたころの話です。

夜勤の巡視あるあるだと思いますけど
点滴確認や入眠しているかの確認の際に
どうしても患者さんを起こしてしまうことがあります。
本当に申し訳ないです。

他にも
「眠れないから」部屋を出て散歩する方や
デイコーナーで過ごされる方も居ます。

特に大部屋だと鼾などのトラブルもあります。

私が所属していた部署は
術後でなければ約2~3時間おきに巡視をしていました

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苦手な新山さん

苦手な新山さん

※登場人物の氏名はすべて仮名です。

ベテラン看護師新山さんとの勤務

「えぇっと今日の指導者は……げっ…」
私(川崎夕)は新人看護師としてある救急病院に入職し、新人研修を終えて数日前から病棟に配置されていた。
新人看護師は指導係が付く。プリセプターと呼ばれる指導者がメインだが、勤務形態が毎回同じではないため時に違う指導者が付くことがあった。

(やばい、今日新山さんじゃん…新山さんっていつも怒っ

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看護転職サイトを通じて転職したときの話

看護転職サイトを通じて転職したときの話

私は2回の転職歴があります。
と言っても看護の仕事自体は変わりません。
これは新人の時に勤めていた病院から地元の病院に転職したときの話です。

転職活動の方法

当時、家庭の事情で急に転職をすることになったので
ハローワーク等に行く余裕がありませんでした。
そこで利用したのが看護師用の転職エージェントのサイトです。

サイトを開くと

◉転職は近いうちにしたいか、情報収集目的か
◉どんな資格を持っ

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