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第85回忘バワンドロライ「太陽」

 お陽さまの暖かさを感じられる季節になってきましたね、今日はめちゃくちゃ寒いですし数日前は汗がでるぐらい暑かったですけど。  そんな太陽の絵を幼き頃に描かれた人は多いはずです。楽しそうに笑っている女の子と三角屋根のおうち、お空にはぐるぐる赤いクレヨンで塗られた太陽のテンプレのあの絵です。今もちびっこ達はそんな絵を描いてるんでしょうか。  この子どもたちが描く「太陽の色」が実は国によって異なるんだそうです。  日本のように赤色で塗られるのは少数で、多くは黄色や金色、白色です

    • 第84回忘バワンドロライ「逃げ足」

      「やり直したい過去にもどしてあげるっピ!」  ぼくは知ってるっピ。  ニンゲンは昔にもどったらハッピーになれるっピ。 「うおっ、カービィか! いや、タコか? なんだオマエ」  ニンゲンが驚いてるっピ、そーゆー反応はうれしいっピ。仲良くなりたいっピ。 「ぼくはタコピー。このハッピーカメラで過去に戻してあげるっピ」 「は?」 「本当はカメラで写真を撮った日にしか戻れないっピけど、今回だけ特別に写真がなくても好きな時間に戻れるっピ」 「なに言ってんだオマエ」  信じてないっピね

      • 第83回忘バワンドロライ「好き嫌い」

        「オマエって世の中に嫌いなモンばっかだよな、好きなモンってねェよな」  ある日の昼休み、なんの前触れもなく藤堂が千早にふっかけた。 「なんですか、そのアニメに出てくるヤバい奴みたいな言い方は」 「好きなモンあんのか?」 「そりゃありますよ、たとえばこの……」  言いかけて、千早は手にしている紅茶を見て考えた。  俺が紅茶を好きになったきっかけは何だった? 大好きだった野球を嫌いだと言ったあのとき。他人の努力を認めず、自分自身を信じることもできずに一人で殻に閉じこもっていたあ

        • 第82回忘バワンドロライ「ホワイト」

           それまでは話題になっていなくても、始まってしまえば盛り上がるのがオリンピックだ。  イベントにはもれなく便乗するのが要くんのいいところだと山田は思う。  くるくる回転しながらジャンプして走ったり、上履きの底にロウを塗って廊下を滑って先生に怒られたり、公園で小学生と一緒に立ったまま滑り台を降りてテレマークで着地したり、一人スポーツの祭典を楽しんでいる。   「っつーか4年とか8年ってのは長いもんだな」 「ええ、チャラっとした長めの金髪だったのに」  なんの話だろう? 「まんま

        第85回忘バワンドロライ「太陽」

          第81回忘バワンドロライ「益村重光」

           帝徳高校野球部寮の食堂には常に花が飾られている。  常勝軍団帝徳野球部の監督は高野連との会議などで外に出ると、必ず帰りに花束を買う。買ってきた花は、動物や子どもと同じぐらい花が大好きな久我にお土産として渡され、カップやボウルを選び鮮やかに生けられる。  今も久我が玄関で嬉しそうに監督から花束を受け取っているところだ。 「もうこの花の季節なんですね」 「そうなんだよ、いいよねこの色」  久我が頬を緩めて大好きな花束を両手で握りしめたまま、監督と笑い合っている。いつもの光景だ

          第81回忘バワンドロライ「益村重光」

          第80回忘バワンドロライ「(笑)」

          「千石さん、教えていただいてよろしいでしょうか?」  帝徳高校、野球部寮の談話室で野球部ノートをめくっていた国都が声をあげた。談話室のテーブルには「野球部ノート」と呼ばれているノートがある。昔は監督やコーチからの連絡に使われていたらしいが、今では皆が思い思いに絵を描いたりやマンガの感想を呟く落書き帳になっている。 「これはどういう意味でしょうか?」  国都の指先を見ると“サインコサイン盗塁サイン(笑)”と汚い字で書かれていた。 「サインコサインについてなら教科書を読むがよい

          第80回忘バワンドロライ「(笑)」

          第79回忘バワンドロライ「抱負」

          「抱負って“負けを抱く”って書くんですよね」 「なんだテメェ、気の利いたこと言ってるつもりか? メランコリックか」  新年になって数日が過ぎ、やっと都立高校の新年初練習が始まった。  二遊間の会話を聞くと日常が戻ったことを実感する。 「いえ、藤堂君は俺といると抱負だらけになるんだなぁと思っただけです」 「ぁあ?」 「テストの点数も、1番打者としての出塁率も全部俺のせいで“抱負”にさせてしまいますね」  千早がピンポイントで藤堂にダメージを与えている。千早の突然の容赦ない攻撃に

          第79回忘バワンドロライ「抱負」

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!!⑦「絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男」

           お正月です。  このnoteって閲覧数がわかるんですね、びっくりしました。 「壁に向かって喋ってる感じで」とは書いてましたが、ワタシ本当に一人ぼっちでした。びっくりしたww  世界に広がる電子のネットワークじゃないのこれって?   オープンなインターネットで秘密の日記を書いている状態でした。手が滑ってタップぐらいしてもいいんやで。  こんな日記を読んでいただいてる数名のアナタ、相手してもらってありがとうございます! 好きなBL小説を教えて下さい❤  で、マンガ「絶対BLに

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!!⑦「絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男」

          第78回忘バワンドロライ「贈り物」

           わかってたんだ、わかってたんだよ。  もうすぐお正月のこの時期、まもなく家族のもとへ帰省できるという浮足立ったこの時期の恒例だ。あの人がイジらないわけがない。わかってたことだ。  でもこんなに真っ直ぐなネタが来るなんてな。 「こーんにーちわあーー!!」  巻田が腰を落として両手を前に出して叫んでる。  いつも通りの巻田なのにそっくりだ。桐島さんがゲラゲラ大喜びしてしている。 「巻田クン坊主にしてや、テッカテカにしてや」  先週末あたりから、桐島さんにしては珍しくソワソワし

          第78回忘バワンドロライ「贈り物」

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!!⑥凪良ゆう・一穂ミチ

          【凪良ゆう】と【一穂ミチ】 「BL小説のオススメ教えて」と聞かれたときにまず名前が挙げられるのがこのお二人です。舞台が現代日本で暴力シーンが少ない、軽やかな文章で登場人物たちの心の変化がしっかり描かれていて所々に笑いも入っている。そしてハッピーエンド。 読みやすい! オススメしやすい!!  敬称略で続けますが、凪良ゆうさんといえばドラマにもなった「美しい彼」です。  スクールカースト(好きじゃない言葉ですよねー)の頂点と最底辺の二人が近づいてく話です。最底辺の平良が頂点の清

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!!⑥凪良ゆう・一穂ミチ

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!!⑤凪良ゆう「美しい彼」原作とドラマと

           私が初めて触れたBL小説です。  本屋大賞の「流浪の月」の少し投げやりな優しさがと空気感がとてもよかったので作家買いをしたらBLでした。  BL小説最高じゃん! から始まるBL小説ライフ!!  BL小説を読み始めて知ったサイト「ちるちる」でも、不朽の名作の1位に選ばれていた小説です。 「流行りモノはちょっと」「アカデミー賞よりカンヌ派」とか斜に構えるお年頃は終わりました。多くの人が「いい」というものはやっぱり「いい」んです。「美しい彼」は端的に「最高にいい!」小説でした。

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!!⑤凪良ゆう「美しい彼」原作とドラマと

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!!④BLに振りかけられている魔法の粉

           今さらなんですけど、いいですよね。BL小説。  ふぅ、心のオアシス!!  一瞬で心に羽がはえて3cmぐらいふわふわ浮いたまま日常を過ごせます。  フツーのBLカテゴリーでないラノベ小説、転生モノでも魔術モノでも近未来モノでも神様モノでも好きなんですけど、このふわふわ感は「BLならでは」です。何故なのか。  わからん。  わからないんですが、ふわふわするパターンの1つに「主人公が傷ついている」というものがあります。  主に現代が舞台のものですが、一般的ラノベ主人公たちと違っ

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!!④BLに振りかけられている魔法の粉

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!! ③BL界の中世とモフモフとアルファとオメガ

           BL小説を読み始めてしばらくは現代日本が舞台のモノばかり手にしていましたが、ちょっと手を広げていくと現代だけでない日本だけでない色んな世界がありました。  まぁ多いのが「中世ヨーロッパっぽい」異国です。  中世ヨーロッパ、日本でいえば鎌倉時代あたりですね。荒くれ共が簡単に人を斬っていた頃です。  ヨーロッパあたりだって「人権」なんて単語もなかった時代ですがBLおよびラノベ界の「中世っぽい時代」は倫理観が確立されています。  王族・貴族制があるゴリゴリの階級社会なのに貴族

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!! ③BL界の中世とモフモフとアルファとオメガ

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!! ②BL小説を手にしたきっかけ

          BL小説との出会ったときの話をしていいですか? このnoteは、BLトークをする友人がいない私がイマジナリーな友人と喋ってるつもりで書いてるので、この「していいですか?」の問いかけはファミレスで「きっかけの話していい?興味ないかもだけどさ…」って言ってる感じです。  きっかけは本屋大賞の「流浪の月」(著:凪良ゆう)でした。 一般文芸小説ってカテゴライズなのかな、地に足がついてないふわふわした雰囲気でコーヒーとウイスキーが飲みたくなる小説です。その雰囲気がすごくよかったので

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!! ②BL小説を手にしたきっかけ

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!! ①BLが好きな理由

           BL小説に初めて触れたのは1年少々前、「美しい彼」でした。  そして即落ちでハマりました、ウソみたいにハマりました。ハマったとは言っても、読んだ小説は1年で60冊足らずです。  そして最近、キャンペーンをしていたAmazonの読み放題にお試し加入してみました。加入して1ヶ月半ほどで60冊以上のBL小説を読み漁りました。この間にWEBオンリーのアンソロを書いたり2週間に1度のアンソロ企画に参加しながらの、1ヶ月半で60冊以上です。  そりゃもう隙あらばBLです。洗い物をし

          BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!! ①BLが好きな理由

          第77回忘バワンドロライ「1」

           夏が終わると高校野球は3年生が引退し世代交代となる。  春の甲子園を目指す秋季大会とは別に、地域ごとの大会も行われる。  西東京でも夏の公式戦上位4チームで行われる「西東京交流戦」が開催される。「人数が足りない」というベスト4とは思えない理由で都立小手指高校は大会を辞退し、その日は観戦することになった。  夏の甲子園をかけて戦いあったチーム同士である。グラウンド外では個々の交流が行われていた。 「陽ノ本また背が伸びたんじゃないか」 「千石!千石じゃないか、千石、千石だろ千石

          第77回忘バワンドロライ「1」